目次
- 1 『レ・ミゼラブル』の作者ユゴーとおすすめ作品、考察記事まとめ ドストエフスキーとのつながり
- 1.1 フランスの偉人ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』とドストエフスキーの深い関係
- 1.2 今こそ『レ・ミゼラブル』の原作を!ミュージカルとも違うその魅力とは
- 1.3 名作ミュージカルの原作はやはり圧倒的傑作だった ユゴー『レ・ミゼラブル㈠ 第一部 ファンチーヌ』
- 1.4 どうしてもっと早くに出会っていなかったのだろう!感動必至!ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』
- 1.5 ジャヴェールこそレミゼのもう一人の主人公である!愛すべき悪役ジャヴェールを考える
- 1.6 ジャヴェールはなぜ死んだのか。『レ・ミゼラブル』原作からその真相を探る。
- 1.7 長編小説を読む3つのメリット~いざ読書マッチョへ!―『レ・ミゼラブル』を読んで感じたこと
- 1.8 ディズニー映画『ノートルダムの鐘』の原作 ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』
- 1.9 ユゴーによる、死刑反対への思いを託した小説『死刑囚最後の日』
- 1.10 人間愛はすべてに勝るのか!フランス革命期の混乱を描いたユゴー渾身の名作『九十三年』
- 2 おわりに
『レ・ミゼラブル』の作者ユゴーとおすすめ作品、考察記事まとめ ドストエフスキーとのつながり
日本においてユゴーは『レ・ミゼラブル』で有名でありますが、フランスでは大詩人としてのユゴーの存在があり、激動のフランスを生き抜いた指導者としての顔があります。
そして国葬でパンテオンに葬られたことからもわかるように、単なるひとりの作家の域を超えて、フランスを代表する偉人として尊敬を集めている人物であります。
そのフランスの偉大なる文学者ヴィクトル・ユゴーとドストエフスキーは切っても切れない関係があります。
今回の記事ではユゴーについて書いたこれまでの記事をまとめています。
フランスの偉人ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』とドストエフスキーの深い関係
この記事ではドストエフスキーがユゴーの『レ・ミゼラブル』をいかに愛していたかをお話ししています。
その中でも最も有名なエピソードは1862年のドストエフスキー初めてのヨーロッパ旅行に見出すことができます。
1862年、41歳のドストエフスキーは初めてのヨーロッパ旅行に出発します。
ドストエフスキーにとってヨーロッパ旅行は長きにわたって憧れの存在でした。
しかしその憧れの地での彼の行動は一風変わったものでした。
せっかく憧れのヨーロッパに来たのにドストエフスキーはまったく観光しようとしないのです。ただぶらぶら街を歩き、人々を観察するだけ。
そして極めつけが当時発売されたばかりのユゴーの『レ・ミゼラブル』を読みふけるという行動でした。
ドストエフスキーの変わった旅のスタイルとユゴーへの愛がうかがわれるエピソードです。
ドストエフスキーは10代の頃からユゴーを愛読していました。
ロシアの上流階級や文化人はフランス語を話すのが当たり前でしたので、ドストエフスキーも原文でユゴーの作品に親しんでいました。
そんな大好きな作家ユゴーの話題の新作『レ・ミゼラブル』が1862年にブリュッセルとパリで発売されます。
ちょうどその時にヨーロッパに来ていたドストエフスキーがその作品を見つけた時の喜びはいかほどのものだったでしょうか!
だからこそドストエフスキーは憧れのヨーロッパ旅行中にもかかわらず、『レ・ミゼラブル』に貪りついたのではないかと私は想像しています。
フランスの偉人ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』とドストエフスキーの深い関係
今こそ『レ・ミゼラブル』の原作を!ミュージカルとも違うその魅力とは
『レ・ミゼラブル』は1862年、ヴィクトル・ユゴーによって発表された言わずと知れた名作です。
この小説を原作に、数多くの舞台化や映画化もされていてむしろそちらの方が印象が強い作品かもしれません。
『レ・ミゼラブル』は「みじめな人々」という意味です。『レ・ミゼラブル』はユゴーのヒューマニズムの結晶であり、みじめな人々をめぐる作品です。
主人公のジャン・ヴァルジャンはそんなみじめな人々を生み出す世の中と戦い、自らの内にもあるみじめさとも戦います。
ですが、分厚い原作を読むより、そもそも映画や舞台がすでに面白いのでそっちで十分という方がほとんどであると思います。『レ・ミゼラブル』はミュージカルでも大人気です。私の妹も大ファンです。いつか私も生のミュージカルを見に行きたいと思っています。
とはいえ、やはり原作も面白い!この記事ではそんな原作の魅力を紹介しています。
今こそ『レ・ミゼラブル』の原作を!ミュージカルとも違うその魅力とは
名作ミュージカルの原作はやはり圧倒的傑作だった ユゴー『レ・ミゼラブル㈠ 第一部 ファンチーヌ』
この記事では原作の『レ・ミゼラブル』のあらすじと感想を紹介しています。
新潮文庫の『レ・ミゼラブル』ですとちょうど一部ずつ五巻に分かれているので、この記事をはじめに五巻すべてのあらすじと見どころを紹介しています。
わずか一片のパンを盗んだために、19年間の監獄生活を送ることになった男、ジャン・ヴァルジャン。
ジャン・ヴァルジャンという名を聞けば、おそらくほとんどの人が「あぁ!聞いたことある!」となるのではないでしょうか。この人ほど有名な主人公は世界中見渡してもなかなかいないかもしれません。
しかしこれまでにもお話ししましたように、レミゼの原作を読んだ人がほとんどいない以上、実際彼が原作ではどのように描かれているのかはかなり謎に包まれています。
そのジャン・ヴァルジャンの過去や彼の心の支えとは何なのかということがこの第一部「ファンチーヌ」で明らかにされます。
同じように、それぞれの登場人物が原作には実際にどう描かれているのか、第一部から第五部まで5回の記事にわたって紹介していきます。
名作ミュージカルの原作はやはり圧倒的傑作だった ユゴー『レ・ミゼラブル㈠ 第一部 ファンチーヌ』
どうしてもっと早くに出会っていなかったのだろう!感動必至!ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』
レミゼといえばミュージカル!そしてその大人気ミュージカルを忠実に映画化したのがこの作品!
歌と音楽があまりに素晴らしい!一度聴いたら耳から離れません!
やはり音楽の力はすごい。有無を言わせず人間を奮い立たせる何かがあります。
これはきっと、もはや人間の本能なのでしょう。
直球ど真ん中。心にズドン!と来ます。
一度聴いたら頭から離れない。映画を観終わった後も何度も何度も勝手に脳内でリピートされています。それほど素晴らしい楽曲たち!
この映画の最大の魅力はやはりこの音楽でしょう。名曲ぞろいです。
さすが『レ・ミゼラブル』。
ミュージカルとして長きにわたってたくさんの人から愛されている理由がよ~くわかりました。
この記事ではこの作品の感想と原作との違いについても紹介しています。
どうしてもっと早くに出会っていなかったのだろう!感動必至!ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』
ジャヴェールこそレミゼのもう一人の主人公である!愛すべき悪役ジャヴェールを考える
『レ・ミゼラブル』の悪玉、ジャヴェール。
主人公ジャン・ヴァルジャンを追いかけ苦しめる悪役として描かれたジャヴェール。
ですが彼の最後のシーンを読むと、そんな彼の振る舞いの意味合いがまったく変わってきます。私は『レ・ミゼラブル』の中で、このジャヴェールの壮絶な最期が最も心に残っているシーンとなっています。
映画ではそのジャヴェールのシーンが少し物足りなく、なぜジャヴェールが苦しみ、そして死を選ぶのかがわかりにくい展開になっています。
映画のレビューを見ても、そのような感想が目につきました。
というわけでこの記事ではジャヴェールという男が本当は一体何者なのだろうかということを考察していきます。
ジャヴェールこそレミゼのもう一人の主人公である!愛すべき悪役ジャヴェールを考える
ジャヴェールはなぜ死んだのか。『レ・ミゼラブル』原作からその真相を探る。
映画やミュージカルをご覧になった方にはもうお馴染みのジャヴェール。
物語の後半、バリケードで彼はジャン・ヴァルジャンに命を救われます。
そのショックで、もはや彼はジャン・ヴァルジャンを無意識に「きみ」と呼びかけるようになっていました。
彼の心に何かとてつもない衝撃が与えられていたのです。
そして瀕死のマリユスを担いで地下水道から脱出したジャン・ヴァルジャンを待ち構えていたジャヴェール。
映画ではここでの会話の後、すぐに絶望し、苦悩の歌を歌い、川に身を投じます。
しかし原作ではジャン・ヴァルジャンの願いを聞き入れ、まず馬車を呼び、マリユスを家まで送り届けます。
かつての彼なら問答無用でひっ捕らえ、ジャン・ヴァルジャンを警察に突き出していたことでしょう。
しかし彼はあろうことか犯罪人のジャン・ヴァルジャンを馬車に乗せ、彼の願いを聞き入れマリユスを送り届けたのです。
さらにジャン・ヴァルジャンの家まで彼を送り、ここで待っていると言っておきながら、彼はそっと姿を消します。
ジャン・ヴァルジャン自身も捕まることを受け入れていた中、これには彼も驚きます。
あの厳格なジャヴェールが、罪人を許し、解放してしまったのです。
そしてこの後に、善悪に引き裂かれたジャヴェールはそれこそ死ぬほど葛藤し、自身の存在意義、これまでの人生、これからの人生について苦しむのです。
この苦しみの描写は鬼気迫るものがあります。文庫版にして20ページ、それが延々とつづられます。ここにこそジャヴェールの死の真相があるのです。
その一部をここで抜粋してもきっとそれは不十分で断片的なものにしかなりません。やはり20ページにもわたる彼の葛藤を知らなければその真の理由はわかりません。
『レ・ミゼラブル』の原文を20ページもなんて読めないよとお思いのあなた。
ここは騙されたと思ってまず試しに読んでみてください。
レミゼは文庫でおよそ2500ページ超の大作です。そのうちのたった20ページだけと思ったら、なんかいけるような気がしてきませんか?
しかもこのシーンは第5巻の後半にあるシーンです。普通に読んでたら1巻からは遠い遠い道のりです。
全部読むのはきついなぁと足踏みされていた方にはこのシーンはきっと永遠に出会うことがない場面かもしれません。
そういう意味でもここでジャヴェールの最大の見せ場であるこのシーンを読んでみる価値は十分あると思います。
読んでみれば意外と読みやすいことにきっと驚くと思います。古典だから難しいという先入観もきっと壊れるのではないでしょうか。
では、早速読んでいきましょう。
ジャヴェールはなぜ死んだのか。『レ・ミゼラブル』原作からその真相を探る。
長編小説を読む3つのメリット~いざ読書マッチョへ!―『レ・ミゼラブル』を読んで感じたこと
皆さんは長編小説と言えばどのようなイメージが浮かんできますか?
古典。難しい。長い。つまらない。読むのが大変・・・などなど、あまりいいイメージが湧いてこないかもしれません。
特に一昔前の有名な作家の古典となると、それは余計強まるのではないでしょうか。
トルストイの『戦争と平和』、ドストエフスキーの『罪と罰』、セルバンデスの『ドン・キホーテ』、そしてここまで紹介してきたユゴーの『レ・ミゼラブル』などなど。
ドストエフスキーが愛していた小説ということで読み始めた『レ・ミゼラブル』。
新潮社版の文庫で5巻、計2500ページを超える大作です。
とにかく長い!
もしこれを読み始めたら一体どれだけ時間がかかるのだろう。
正直、ドストエフスキーが愛していたということがなければ私は読むことがなかったかもしれません。
ですが、いざ読み終わってみると長編小説ならではのいいところがたくさんあることを感じました。
今回は普段敬遠しがちな長編小説のメリットと効能を考えていきたいと思います。
長編小説を読む3つのメリット~いざ読書マッチョへ!―『レ・ミゼラブル』を読んで感じたこと
ディズニー映画『ノートルダムの鐘』の原作 ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』
この作品はディズニー映画やミュージカルで知っている方も多いかと思います。
ディズニー映画の『ノートルダムの鐘』はユゴーのこの作品を原作として制作され、劇中の歌は『アラジン』や『美女と野獣』の音楽を手掛けたアラン・メンケンの作曲ということでものすごくいい歌揃いの映画となっています。
私もこの原作を読んでからアニメ映画を観ましたが、歌のシーンは本当に素晴らしかったです。
また劇団四季でもミュージカル上演がされていて、こちらはディズニー映画の『ノートルダムの鐘』をベースに作られています。
アニメやミュージカルの原作となったユゴーの『ノートル=ダム・ドパリ』ですが、実はドストエフスキーとかなり強いつながりがあります。そのつながりについてもこの記事では言及しています。
ディズニー映画『ノートルダムの鐘』の原作 ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』
ユゴーによる、死刑反対への思いを託した小説『死刑囚最後の日』
ユゴーの『死刑囚最後の日』も『ノートル=ダム・ド・パリ』と同じく若き日のドストエフスキーが親しんだ作品です。
この作品は死刑囚が処刑される直前までのシーンを描いた作品でありましたが、ドストエフスキー自身もまさか同じ体験を後にするとはその時は思っていなかったことでしょう。
ドストエフスキーも禁止されていた社会主義サークルに出入りしていたという罪で1849年に逮捕され死刑を宣告されています。
そして銃殺刑に処されるほんの直前に、皇帝からの恩赦が宣告され、そのままシベリアに流刑となったのです。
ドストエフスキーはまさしくこの作品の主人公と同じように、死の寸前まで行った男なのです。あと5分で自分は死ぬ!そういう極限状況にいたのです!
ドストエフスキーは後に、彼の傑作小説『白痴』で主人公のムイシュキン侯爵にその時の体験を語らせています。
ユゴーによる、死刑反対への思いを託した小説『死刑囚最後の日』
人間愛はすべてに勝るのか!フランス革命期の混乱を描いたユゴー渾身の名作『九十三年』
1793年は1789年に始まったフランス革命が進み、フランス国王ルイ16世がギロチンで処刑され、ロベスピエール、マラ、ダントンなどによる恐怖政治が始まりだした年でありました。
自由・平等・友愛を掲げた革命が、その革命を守るために今度は互いに互いを敵だと密告し合いギロチン送りにする恐怖の時代に突入する恐るべき時代だったのです。
ユゴーはそんな悲惨な内紛が起こっていた1793年を題材にこの小説を書き始めます。
『九十三年』はユゴーの思想がぎゅっと濃縮された作品です。
人間愛はすべてに勝るのか!フランス革命期の混乱を描いたユゴー渾身の名作『九十三年』
おわりに
ドストエフスキーとのつながりをきっかけに読み始めたユゴーの作品でしたが、ユゴーと出会えて本当に良かったと心の底から思えます。
特に『レ・ミゼラブル』と出会えたことは本当に大きかったです。
『レ・ミゼラブル』の原作も素晴らしかったですし、ミュージカル映画版も最高でした。号泣です。今でも脳内リピートが続いています。
2021年にはレミゼの舞台が再開するそうですのでぜひ行ってみたいなと思っています。
ドストエフスキーがレミゼを愛してくれていて本当によかった!
これに尽きます。
素晴らしい作品と出会えて幸せでした。
ぜひ皆さんも『レ・ミゼラブル』の原作を手に取って頂けましたら嬉しく思います。
以上、「読んでわかった面白さ!『レ・ミゼラブル』の作者ユゴーとおすすめ作品、考察記事まとめ」でした。