シェイクスピアおすすめ作品12選~舞台も本も面白い!シェイクスピアの魅力をご紹介

シェイクスピア 名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピアおすすめ作品12選~舞台も本も面白い!シェイクスピアの魅力

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)Wikipediaより

シェイクスピアは言わずと知れた世界で最も有名な劇作家です。

シェイクスピアは世界中の文学者に多大な影響を及ぼしてきました。

これまで当ブログでも紹介してきましたプーシキンやツルゲーネフ、チェーホフもシェイクスピアの影響を強く受けていますし、ドストエフスキーも当然ながら若い頃から親しく読んでいました。

世界文学を考えていく上でシェイクスピアの影響ははかりしれません。

そして何より、シェイクスピア作品は面白い!

本で読んでも素晴らしいし、舞台で生で観劇する感動はといえば言葉にできないほどです。

シェイクスピア作品は日本で最も上演されている演目の一つなのではないでしょうか。

というわけで、観てよし、読んでよしのシェイクスピアのおすすめ作品をここでは紹介していきたいと思います。

それぞれの記事でより詳しくお話ししていきますので、ぜひリンク先もご参照ください。

『ハムレット』

城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う。道徳的で内向的な彼は、日夜狂気を装い懐疑の憂悶に悩みつつ、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる―。恋人の変貌に狂死する美しいオフィーリアとの悲恋を織りこみ、数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作である。

新潮社、福田恆存訳『シェイクスピア』表紙裏

『ハムレット』は1600年にシェイクスピアによって書かれた劇作品です。

『ハムレット』は私も大好きな作品でこれまでも何度も読み、舞台にも観に行ったりしていました。

この作品の舞台はデンマーク。主人公ハムレットはその王子様です。

彼の目の前に現れた父の亡霊がきっかけで彼の運命は動き出すことになるのです。

ストーリーそのものも面白く、引き込まれてしまうのはもちろんなのですが、私が個人的に感じた『ハムレット』の魅力はそのセリフの格好良さにあります。舞台ならではの演劇がかったセリフがすごくいいんです。思わず声に出して読みたくなるような、マネしたくなるようなセリフです。

この記事において具体的にお話ししていきますが、演劇っぽい言葉となんとも勇ましいリズム。口に出して読んでみればそれが特に感じられます。

シェイクスピアの演劇はこうした言葉のオンパレードです。

このセリフの格好良さ、心にグッとくる響きがなんともたまりません。

これは「読んでみればわかる。舞台を観ればわかる」感覚ですのでぜひシェイクスピアに触れて頂きたいなと思います。

シェイクスピアの演劇というと小難しいイメージもあるかもしれませんが、実際はまったくそんなことはありません。現代人たる私たちが見てもとても楽しめる作品です。その中でも『ハムレット』は特にドラマチックで感情移入しやすい作品となっています。一旦見てしまえば引き込まれること請け合いです。とてもおすすめです。

シェイクスピアの代表作『ハムレット』あらすじ解説―名言「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」を生んだ名作

『ロミオとジュリエット』

モンタギュー家の一人息子ロミオは、キャピュレット家の舞踏会に仮面をつけて忍びこんだが、この家の一人娘ジュリエットと一目で激しい恋に落ちてしまった。仇敵同士の両家に生れた二人が宿命的な出会いをし、月光の下で永遠の愛を誓い合ったのもつかのま、かなしい破局をむかえる話はあまりにも有名であり、現代でもなお広く翻訳翻案が行われている。世界恋愛悲劇の代表的傑作。

新潮社、中野好夫訳『ロミオとジュリエット』裏表紙

『ロミオとジュリエット』は1595年頃に成立した作品と言われています。

『ロミオとジュリエット』といえば「ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」というあの名セリフを思い浮かべるのではないでしょうか。

私はといいますと、不思議なことに何のCMだったかは忘れてしまったのですがバルコニーで「ローミオー!」、「ジューリエーット!」と互いに呼び合っているCMが妙に頭の中に残っています。あれは一体何だったのでしょうか。

とにかく、あらすじにもありましたようにバルコニーで2人が交わす愛の言葉は世界中で最も有名なシーンの一つと言えるのではないでしょうか。

恋は障害があればあるほど燃え上がります。二人の生れの違い、越えられぬ壁は恋愛劇の王道中の王道です。ど真ん中のストレートです。

『ロミオとジュリエット』はそんな恋愛劇の王道を味わうことができるすばらしい作品です。

ただ、この記事ではそんなロミオとジュリエットについての意外な事実についてお話ししていきます。ロミオとジュリエットといえば純粋な恋のイメージがありますが、ロミオに関しては「ん?」となるエピソードがあります。私も実際に読んでみて驚きました。シェイクスピアの力技をここで知ることになります。

シェイクスピア『ロミオとジュリエット』あらすじ解説~誰もが知る傑作恋愛悲劇

『オセロー』

ムーア人の勇敢な将軍オセローは、サイプラス島の行政を任され、同島に赴く。副官に任命されなかったことを不満とする旗手イアーゴーは、策謀を巡らせて副官を失脚させた上、オセローの妻デズデモーナの不義をでっちあげる。嫉妬のあまり、妻を自らの手で扼殺したオセローは、すべてが、イアーゴーの奸計であったと悟り自殺する。シェイクスピアの後期の傑作で、四大悲劇の一つ。

新潮社、福田恆存訳『オセロー』裏表紙

『オセロー』は1604年頃に発表された作品です。

今作の主人公はオセローというアフリカ系の将軍です。

彼は戦で類まれなる武勇を示し、その地位まで出世しました。そしてそれだけでなく高潔で真っすぐな性格で人望の厚い将軍です。

そんな将軍が妻として迎えたのが美しきデズデモーナという由緒ある貴族の娘でした。デズデモーナとオセローはなかば駆け落ちに近い形で結ばれます。そんな強い愛によって結ばれていたはずの2人ですが、イアーゴーというオセローの側近の策略によって引き裂かれることになるのです。

イアーゴーといえば『アラジン』のオウムのキャラクターを思い浮かべる方も多いかもしれません。そのイアーゴの名前の元になったのがこの『オセロー』のイアーゴーなのだそうです。

というのもこの作品のイアーゴーはとにかく口が上手くて人を騙すのが驚くほど巧みなのです。彼の人を騙す能力は読んでいて末恐ろしくなるほどです。

この作品はオセローが主人公ではありますが、実はイアーゴーの方が出番が多く、しかも生き生きと描かれます。イアーゴーがタイトルでもいいくらい彼の奮闘ぶり、策の鮮やかさが描かれています。

そうしたイアーゴーの悪役っぷりもこの作品の大きな見どころです。『アラジン』のイアーゴもそうですが、人を騙す悪役ではあるのですがなぜか憎めない不思議な魅力があります。そんなイアーゴーの立ち回りもぜひ楽しんでみてください。

個人的にこの作品は大好きな作品です。人間の狂気、混沌を覗くかのような感覚を味わうことが出来ます。シェイクスピア作品でも屈指のおすすめ作品です。

シェイクスピア『オセロー』あらすじ解説~勇将オセローの嫉妬と激情の悲劇―イアーゴーの巧みな騙しのテクニック

『ヴェニスの商人』

ヴェニスの若き商人アントーニオーは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。ところが、彼の商船は嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当てのなくなった彼はいよいよ胸の肉を切りとらねばならなくなるのだが―。機知に富んだ胸のすく大逆転劇が時代を越えてさわやかな感動をよぶ名作喜劇。

新潮社、福田恆存訳 『ヴェニスの商人』裏表紙

『ヴェニスの商人』は1596、7年頃に書かれた作品です。

さて、この作品の大筋は上のあらすじにありますように借金を返せなかったアントーニオーと高利貸しシャイロックとの対決なのですが、そこはシェイクスピア。このメインストーリーと並行して続いていくお話がこれまた面白いのです。

そもそもアントーニオーの借金の原因となったのは恋に悩む友人でした。彼は恋する女性に求婚しに行こうとしていたのですがお金が足りなかったのです。

そこで友人思いのアントーニオーはなんとか金を用意しようとシャイロックのもとへ向かったのでした。そしてどうなってしまったかはすでに述べました通りですが、この作品では友人バサーニオーの恋の物語も語られていくのです。

彼が恋したのは莫大な遺産を相続したばかりの美しい女性、ポーシャ。

そんな彼女のもとには多くの求婚者がやって来ていました。しかし彼女が結婚する条件として彼らに掲示したのはある不思議な謎解きだったのです。

その内容は金、銀、鉛の箱の中からひとつを選び、正解を選ぶことができたなら結婚は認められるというものでした。

実はこれは亡き父の遺言であり、ポーシャは自ら結婚相手を選ぶことが出来ず、「この箱に委ねるしかないなんて」と嘆いていたのでありました。

そして物語のお約束通り、何人もの男がこの謎解きに挑戦しますが見事に玉砕していきます。間違いの箱の中にはそれを選んだ男を痛烈に非難する亡き父の言葉がしたためられていて、この言葉がまたとんちが効いていて実に面白いです。

求婚に来た男たちがどの箱を選ぶかで頭を悩ませているシーンも面白いですがこのこっぴどくやられる場面も素晴らしいです。

そもそも「金、銀、鉛の箱からひとつを選べ。正しき箱を選んだ者にポーシャを与えよう」という謎解きがもう面白さ満載ですよね。金の斧、銀の斧を彷彿させます。もし自分だったらどれを選ぶかなと考えてしまいます。

さて、何人も敗退していく求婚者の中にいよいよ、あの男が現れます。

さあ、バサーニオーは正しい箱を選べるのか、彼は結婚することができるのでしょうか!

そしてこの二人の出会いが結果的に親友アントーニオーを救うことにもなっていくのです。見事な大団円。さすがシェイクスピアです。

ェイクスピア『ヴェニスの商人』あらすじ解説―機知に富んだ見どころ満載の名作喜劇

『リア王』

老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。シェイクスピア四大悲劇のうちの一つ。

新潮社、福田恆存訳『リア王』裏表紙

『リア王』は1605年頃に書かれた作品です。

この物語は上の姉2人の甘言を安易に信じ、最も心優しき末娘の率直さに激怒したリア王の愚行から始まります。それまで思うままに力を振るってきたリア王がいざ地位と権力を姉2人に譲った途端、もはや用済みと邪険に扱われてしまうのです。

そこから姉二人の陰謀はますますエスカレートし、国を巻き込む大事件になっていきます。そしてリア王はもはや乞食同然にまで落ち込み、国土を放浪する身となってしまうのです。王という権力の絶頂から何も持たぬ乞食へと転落し、さらには愛する娘からも裏切りを受けるというこの落差。

『リア王』はそんなリアの苦悩と嘆きが圧倒的な迫力でもって描かれる作品です。

訳者の福田氏は、この作品がギリシャ悲劇の影すら薄くなるほどの傑作悲劇であると述べます。それほどの完成度がこの作品にはあるということなのですね。さすがシェイクスピア悲劇の最高峰です。

シェイクスピア『リア王』あらすじ解説~世界最高峰の傑作悲劇!「誰が言えよう、『俺も今がどん底だ』などと?」

『マクベス』

かねてから、心の底では王位を望んでいたスコットランドの武将マクべスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と激しく意志的な夫人の教唆により野心を実行に移していく。王ダンカンを自分の城で暗殺し王位を奪ったマクべスは、その王位を失うことへの不安から次々と血に染まった手で罪を重ねていく……。シェイクスピア四大悲劇中でも最も密度の高い凝集力をもつ作品である。

新潮社、福田恆存訳『マクベス』裏表紙

『マクベス』は1603年から1606年の間に書かれたとされる作品です。

今作の主人公は勇猛な武将マクベス。彼は数々の武勲を上げ、王の信頼も厚い将軍です。

そのマクベスがある日荒野で3人の魔女と出会うことになります。

この魔女たちの「マクベス殿!いずれは王ともなられるお方!」という不思議な予言によってマクベスの運命の歯車は動き出すことになるのです。

あらすじにもありますように、マクベスは表向きは王に忠実な男でした。しかし心の奥底では王位を狙っていたのです。その本音が魔女たちの予言によって彼の全存在に引き出されてしまったのです。

もし本当に野心がなかったならば魔女の預言になど耳を貸さなかったでしょう。魔女の預言が頭から離れなかったのは意識的にも無意識にも彼が王位を狙っていたからなのです。

そしてマクベスは自らの城に王を招き、護衛に罪を着せて王を暗殺し、自らが王となります。

しかし、ここから彼はその地位を守るために手を汚し続けなければならなくなってしまったのでした・・・悲劇の始まりです。

クライマックスはマクベス軍と先王の息子マルコム軍との戦闘です。

この戦闘の前に不安に駆られたマクベスは再び魔女のもとへ赴き、預言を求めます。

そこで彼が得たのが有名な「バーナムの森がダンシネインにやって来るまでは」という預言だったのです。

魔女にそそのかされて王位を狙ったマクベスの悲劇、それがこの作品のメインテーマです。

ストーリー展開もスピーディーで息もつかせません。魔女の不思議な預言も絶妙な伏線となっていて、それがどう回収されるのかは本当に面白いです。

「バーナムの森が動くまでは」という言葉のインパクトも絶妙ですよね。

この作品も私の中で特に好きな作品のひとつです。ぜひおすすめしたい作品です。

シェイクスピア『マクベス』あらすじ解説―「バーナムの森がダンシネインにやって来るまでは」

『ジュリアス・シーザー』

“おれはシーザーを愛さぬのではなく、ローマを愛したのだ〟高潔な勇将ブルータスは、自らの政治の理想に忠実であろうとして、ローマの専制君主シーザーを元老院大広間で刺殺する。民衆はブルータスに拍手を送ったが、アントニーの民衆を巧みに誘導するブルータス大弾劾演説により形勢は逆転し、ブルータスはローマを追放される……。簡潔、明皙な文体で、脈々と現代に生き続ける政治悲劇。

新潮社、福田恆存訳『ジュリアス・シーザー』裏表紙

『ジュリアス・シーザー』は1600、1601年頃によって書かれた作品です。

このあらすじを読んで「あれ?」と思われた方も多いかもしれません。

私も初めて読んだ時そうでした。

タイトルは『ジュリアス・シーザー』なのに主人公はブルータスかのような流れです。実際この作品を読んでみるとシーザーの出番はそうは多くなく、ブルータスがメインとなっていきます。

実を言いますと私はこの作品に一度挫折しています。

話の筋が全く見えず、何がなんだかわからないまま話が進み、物語に入り込めなかったのです。

そんな時に読んだのが阿刀田高氏の『シェイクスピアを楽しむために』という本でした。(この記事でもこの後紹介します)

この本を読んでから改めて『ジュリアス・シーザー』を読んでみるとこれが面白いのなんの!この本ではこの作品の時代背景や物語の流れをわかりやすく解説してくれています。

これがあまりにも素晴らしかったので少し長くなりますがこれからご紹介していきます。

ヨーロッパ史に名を残す英雄を挙げよ、と求めたら、ナポレオン、アレキサンダー大王、そしてシーザー、この三人はかならず上位を占めるにちがいない。日本でもよく知られたビッグ・ネームズである。

三人とも名言を残している。

ナポレオンは、「余の辞書に不可能はない」と豪語し、エジプト遠征では「ピラミッドの頂上から四千年の歳月が私たちを見ている」と告げて兵士たちの士気を鼓舞した。アレキサンダーもまた参謀から夜襲を勧められたとき「私は勝利を盗まない」と恰好よく拒否し、臨終の床で後継者を尋ねられ「もっとも強い者へ」と呟いて息を引き取っている。

しかし、この点では、なんと言ってもジュリアス・シーザーが際立って優れている。「賽は投げられた」と不退転の決意でルビコン川を渡って政治の中枢になぐり込みをかけ、小アジア戦線からは「来た、見た、勝った」と簡潔な書簡を送り、最後は「ブルータス、お前もか」と嘆いて暗殺されている。雄弁家であり、文筆家としても一流であった。

新潮社、阿刀田高『シェイクスピアを楽しむために』P200

「賽は投げられた」、「ルビコン川を渡る」、「来た、見た、勝った」、「ブルータス、お前もか」

これらを見てピンとくる方もおられると思います。

私自身、ジュリアス・シーザーという名ではピンと来なかったのですが、この人物のローマ式の本名はと言いますと、ガイウス・ユリウス・カエサルとなります。ローマ字表記ですと、JULIUS CAESAR。これの読み方の違いがジュリアス・シーザーとユリウス・カエサルという違いなのですね。

なるほど、カエサルと聞くと「あぁ、そういうことか」となる方も多いかもしれません。

こうした背景がわかるとこの作品が一気に面白くなってきます。

『ジュリアス・シーザー』は私の中でも強烈な印象を残した作品でした。あらすじや背景を知ってから読むと最高に面白い作品でした。非常におすすめです。

シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』あらすじ解説~カエサルの名言「ブルータス、お前もか」で有名な傑作

『アントニーとクレオパトラ』

『アントニーとクレオパトラ』は上で紹介した『ジュリアス・シーザー』の続編にあたる作品です。

前作でのアントニーの活躍は凄まじいものがありました。彼の名演説は聴く者を熱狂させる圧倒的なものでした。彼の有能な政治家ぶりがまざまざと感じられるシーンで、これは私にとっても非常に印象に残ったのでありました。

そして今作『アントニーとクレオパトラ』はそんな有能な政治家アントニーが主役の物語なのですが、前回とは打って変わってダメダメなアントニーを目の当たりにすることになります。

なぜあんなにも有能だったアントニーが運命の坂道を転がり続けるのか、その原因が何を隠そう、クレオパトラなのです。

この作品は『ジュリアス・シーザー』からの流れで読んでいくと、ローマ帝国の壮大な栄枯盛衰を感じられて非常に面白い作品となっています。ぜひ『ジュリアス・シーザー』とセットで読んで頂きたい名作です。

シェイクスピア『アントニーとクレオパトラ』あらすじと感想~シーザー亡き後のローマ帝国が舞台!愛に溺れた男の栄枯盛衰の物語

『夏の夜の夢』

この作品は若い男女4人の恋の四角関係と、それをさらにかき回す妖精たちが織り成すドダバタ喜劇になります。

タイトル通り、この物語ではまさに夢を見ているかのような不思議な展開が繰り広げられます。

訳者の福田恆存は解説で『読後の印象は「夢」のように豊穣である』と述べていました。

実際この作品はそんな満足感を味わえる作品です。『リア王』『マクベス』などのように重厚なストーリー展開を追っていくというよりは、気軽に笑って楽しめる作品となっています。

そしてこの作品において特にお伝えしたいのはドイツの作曲家メンデルスゾーンについての関係です。

以前当ブログでも紹介した19世紀の偉大な作曲家メンデルスゾーンはこの作品を子供の頃から愛していました。彼は16歳の時には兄弟や友人たちとこの作品を演じて遊んだり、17歳の時にはなんと、『夏の夜の夢』の序曲を完成させてしまいました。

17歳の段階でこの曲を完成させるメンデルスゾーンの圧倒的な才能には驚くしかありません。モーツァルトに匹敵する才能と称賛されるのも納得です。

そしてこの動画のコメント欄を見て驚いたのですが、この曲はドラえもんの映画にも使用されていたとのことです。たしかによくよく思い返してみればそんな気がしてきました。これには驚きでした。

メンデルスゾーンはその後も『夏の夜の夢』に愛着を持ち続け、1841年から1843年にかけて本格的にこの作品の付帯音楽の制作に取り掛かりました。

そして完成した曲の中でも特に有名なのがこちらです。

「結婚式といえばこの曲!」という誰もが知るこのメロディーはメンデルスゾーンが『夏の夜の夢』のために作ったものだったのです。私もこの事実を知った時は本当に驚きました。

大好きなメンデルスゾーンが愛した作品ということで、私も『夏の夜の夢』がもっともっと好きになりました。

『夏の夜の夢』は『ハムレット』『オセロー』『ヴェニスの商人』などの有名どころの作品と比べて、たしかに影の薄い作品かもしれませんが、私は大好きな作品です。いや、メンデルスゾーンにはまっている今、この作品が一番好きとすら言えるかもしれません。とにかく笑える愛すべき作品です。この作品に出てくる「スパニエル」、「石垣」がもう愛しくてたまりません。心がふっと軽くなる夢のような楽しい劇です。

シェイクスピア作品でこんなに笑える劇と出会えるなんて思ってもいませんでした。なぜこの作品がそんなに笑えるのかはこの記事で詳しくお話ししていますのでぜひリンク先もご覧になって頂ければなと思います!

ぜひぜひおすすめしたい作品です!

シェイクスピア『夏の夜の夢』あらすじと感想~恋人たちと妖精のドタバタ喜劇!メンデルスゾーンの序曲でも有名なおすすめ作品

『あらし(テンペスト)』

ここでご紹介する『あらし』は上で紹介した『夏の夜の夢』と一緒に収録されています。

『夏の夜の夢』は私にとってシェイクスピアの中で一番好きな作品で、それと一緒に収録されている今作『あらし』も同じく読みやすくて楽しい作品となっています。

この作品は弟の奸計によって地位も財産も、全てを奪われたミラノ公プロスペローが主人公の物語です。

プロスペローは元々ミラノ大公という実質国王のような地位にありました。しかし彼は政治にあまり関心を持っておらず学問の研究に没頭していました。そして元々人を疑うことを知らない善良な気質があったため、地位を狙う者からすれば隙だらけという状態だったのです。案の定その隙を狙われ弟に地位を奪われ追放されるという憂き目に遭うことになります。

そして時は流れ、弟たる現ミラノ大公やナポリ大公一行が乗る船が嵐に巻き込まれ難破します。絶体絶命かに思われた彼らでしたが奇跡的にとある島に漂着します。

そしてその島こそプロスペローの住む島であり、この嵐も漂着もすべてプロスペローの魔法によって仕組まれたものだったのでした。

プロスペローは長年の研究で魔法を使えるようになっていました。そして風の妖精エーリアルの活躍もありこの物語はプロスペローの思惑通りに進んでいきます。

プロスペローは何を求め、どんな筋書きを描いていたのか。それを私達読者は追っていくことになります。

また、『あらし』には『リア王』の悲劇がその背後に流れています。

プロスペローの境遇は娘たちに裏切られたリア王や息子に裏切られたグロスター伯を彷彿とさせます。

『リア王』ではそんな彼らが救いようのない絶望に叩き込まれて物語は終わるのですが、『あらし』ではなんと、プロスペローはその地位を回復し、さらには敵とまで和解するという離れ業までやってのけます。

「魔法を使う」という現実世界では反則的な方法を使いはするも、シェイクスピアがこのようなフィナーレを書いたというのは非常に大きな意味があると思います。ましてこの作品はシェイクスピアが単独で書いた最後の作品になります。自身の演劇人生のフィナーレにこうした物語を持ってきたというのも何とも味わい深いですよね。

『リア王』と合わせてぜひおすすめしたい作品です。

シェイクスピア『あらし(テンペスト)』あらすじと感想~『リア王』と対をなす大団円!爽やかな読み心地が魅力の傑作劇!

『お気に召すまま』

この作品はアーデンの森を舞台に才気煥発の女性ロザリンドが大活躍する物語です。シェイクスピア作品の中でも女性主人公が活躍する作品はそう多くはありません。この作品はそうした意味でも異彩を放つ作品となっています。

『リア王』『マクベス』などの悲劇群は読んでいて正直重いです。その重さがそれらの最大の魅力でもあるのですが今作『お気に召すまま』や『夏の夜の夢』、『あらし』は非常に読みやすく明るい作品です。軽やかさがあります。

シェイクスピアの含蓄溢れる名言を味わうもよし、ストーリーの軽やかさを堪能するもよし、それこそ「お気に召すまま」です。

気軽に親しむことができるのがこの作品のありがたいところではないかと私は思います。

ぜひおすすめしたい作品です。

シェイクスピア『お気に召すまま』あらすじと感想~「この世はすべて舞台」の名言で有名な名作!才気煥発のロザリンドの大活躍!

『ヘンリー八世』

ヘンリー八世は1509年から死去する1547年までイングランド王として在位した実在の人物です。

そして男の世継ぎを生めなかったキャサリン妃との離婚問題からバチカンと対立しそのままイギリス国教会を設立したという、イギリス史においても屈指の重大事件を巻き起こした人物でもあります。

ちなみにキャサリン妃との間に生まれたメアリーは血まみれのメアリーと呼ばれるあの女王ですし、二番目の妻アン・ブーリンとの間に生まれたのがイギリス繁栄を導くエリザベス女王になります。

今作『ヘンリー八世』ではそんな彼の離婚問題を中心に王の苦悩と側近たちの栄枯盛衰の物語が語られることになります。

シェイクスピア『ヘンリー八世』あらすじと感想~世継ぎを求め苦悩する王と側近たちの栄枯盛衰。エリザベス女王誕生までの物語

番外編 阿刀田高『シェイクスピアを楽しむために』

シェイクスピアの代表作といえば、『ハムレット』や『マクベス』、『ロミオとジュリエット』『ヴェニスの商人』などが挙げられますが、ここには挙げきれないほどの名作傑作を彼は生み出しています。

ただ、いきなりそれらの名作を読もうと思っても意外と苦戦することになります。

なぜなら日本の歌舞伎と一緒で、その演目の時代背景や人物、あらすじを知っていないとなかなかすぐには物語には入り込めないということが起こるのです。

シェイクスピア作品は基本的に舞台で演じられるものですので、読み始めるといきなり物語が幕を開け、登場人物の会話から始まります。

せっかく舞台が始まったのに、そこから舞台背景をわざわざ説明調で演者に解説させるのも演劇として無粋な話。

最初の段階でおおまかなあらすじや舞台背景を知れなければそのまま誰が何を言いたいのやらがまったくわからないまま物語が進んでしまいます。これだとやはり物語の面白さもわからず、読むのも挫折してしまうということになってしまうでしょう。

というわけでシェイクスピア作品を読むときにはあらかじめある程度の知識が必要となってくるのです。

そこでおすすめなのがこの阿刀田高氏の『シェイクスピアを楽しむために』という本です。

これを読めば早くシェイクスピア作品を読みたくなりうずうずしてくるほどです。それほどシェイクスピア作品を魅力たっぷりにお話ししてくれます。

私自身もこの本にとても助けられました。

特に『ジュリアス・シーザー』では最初何の解説もなしに読み始めたのですがなかなか物語に入り込めず挫折してしまったのですが、この本を読んであらすじや舞台背景を知った後に読み返して見るとこれが面白いのなんの!

今では『ジュリアス・シーザー』が特にお気に入りになったくらいです。

それほどこの本はシェイクスピアを読むにあたって大きな助けになります。

ぜひシェイクスピアを読む前にこの本を読んでみてください。物語の楽しみが何倍にもなること請け合いです。

シェイクスピア入門におすすめ!阿刀田高『シェイクスピアを楽しむために』―これを読めばシェイクスピアが一気に読みやすくなります!

番外編 札幌発のオススメ演劇!弦巻楽団『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』

ここまでシェイクスピアの作品を紹介してきましたが、私の中でシェイクスピアと言えばこの『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』は外せない舞台です。

ふとしたきっかけから2018年に札幌で初めてこの舞台を観て以来すっかりはまってしまい、2019年も東京まで出向いて2日連続で観に行ってしまうほど私のお気に入りの作品となってしまいました。以下簡単なあらすじです。

「恋愛は幻想に過ぎない」が自説のシェイクスピア専門の大学教授・奥坂雄三郎は、ある日、ラジオから流れる気象予報士の声に「恋」をする。初めての感情に戸惑い、周りが見えなくなる奥坂は、これまでの持論を放り捨て、ひたすら恋に向かって暴走する!教え子や助手を巻き込んだ遅すぎる初恋は、果たして成就するのか?

弦巻楽団HPより

この作品を初めて観た日の帰り道の満足感、幸福感たるや!

冬の札幌の夜です。当然、雪も降り、身体が縮こまるような寒さです。

ですが、なんと爽やかな足取りだったことか!あの何とも幸福感に満ち溢れた冬の夜道を私は未だに忘れることができません。

この作品には不思議な魅力があります。観る者の心をふっと軽くしてくれるような爽やかさがあります。

私もその時以来何度もこの舞台を観させて頂いておりますが何度観ても色あせない魅力です。

まったく飽きません。行く度に元気をもらって帰ってきます。

これはもう不思議としかいいようのない魅力です。

観ればわかります。ぜひ弦巻楽団さんの『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』を観に行かれてはいかがでしょうか。元気をもらえること請け合いです。本当におすすめです。

札幌発のオススメ演劇!弦巻楽団『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』―堅物シェイクスピア学者のドタバタラブコメ

番外編 福田恆存『人間・この劇的なるもの』

著者の福田恆存はシェイクスピア作品の翻訳で有名で、私もいつもお世話になっています。私は上で紹介してきた新潮社版のシェイクスピアが好きで格好いいセリフや言葉遣いにいつも痺れています。

この本について裏表紙には次のように書かれています。

人間はただ生きることを欲しているのではない。現実の生活とはべつの次元に、意識の生活があるのだ。それに関らずには、いかなる人生論も幸福論もなりたたぬ。一胸に響く、人間の本質を捉えた言葉の教々。愛するということ、自由ということ、個性ということ、幸福ということ……悩ましい複雑な感情を、「劇的な人間存在」というキーワードで、解き明かす。「生」に迷える若き日に必携の不朽の人間論。

新潮社、福田恆存『人間・この劇的なるもの』裏表紙

翻訳家、劇作家、批評家として第一線で活躍してきた福田恆存の人間観、人生論がこの本で語られます。

この本は1956年に初めて刊行され、今でも重版されている名著中の名著です。現代においてもまったく古さを感じません。

自分とは何か、個性とは何か、自由とは何か。

私たちの根源に迫るおすすめの1冊です。非常におすすめです!ぜひ手に取って頂ければなと思います。

この記事でより詳しくこの本の面白さをお話ししていきますのでぜひご覧ください。

福田恆存『人間・この劇的なるもの』シェイクスピア翻訳で有名な劇作家による名著!「個性などというものを信じてはいけない」「人間は必然を求める」

番外編 熊井明子『シェイクスピアの町 ストラトフォード=アポン=エイヴォンの四季』

この本はシェイクスピアの故郷、イギリスのストラトフォード=アポン=エイヴォンについて語られた作品です。

シェイクスピアの故郷はロンドンとマンチェスターのちょうど中間あたりにある町です。

この本ではそんなシェイクスピアの故郷の春夏秋冬をこの町を愛してやまない著者が楽しく紹介してくれます。

この本を読んでいて常に感じるのは著者のこの町への愛です。本当にこの町が好きなんだなということがものすごく伝わってきます。読んでいて思わず微笑んでしまうような、ほっこり感満載の素敵な一冊です。

私もシェイクスピアが好きなのですが、この本を読んだらもうものすごく現地に行ってみたくなります。そういう意味ではある意味危険な書物かもしれません(笑)行きたくて行きたくて仕方なくなります(笑)

この本でありがたいのはこの町の風景やおすすめポイントだけでなく、滞在時に役立つ情報もたくさん書かれている点です。

どのホテルがおすすめか、どのお店がおいしいか、どんな過ごし方がおすすめかなどなど、実践的なお役立ち情報が満載です。これはありがたいです。旅人として現地で長い時間を過ごした著者だからこその情報はとても貴重なものだと思います。

そういう面でもこの本はとてもおすすめな1冊となっています。

ほっこりした心地よい時間を過ごせた読書になりました。

熊井明子『シェイクスピアの町 ストラトフォード=アポン=エイヴォンの四季』これを読めば現地に行きたくなる!

番外編 松岡和子『深読みシェイクスピア』

この本は筑摩書房のシェイクスピア全作品翻訳で有名な松岡和子氏による作品です。

松岡和子氏の作品については以前「松岡和子『すべての季節のシェイクスピア』~シェイクスピア演劇の奥深さ、楽しさを学べる珠玉のエッセイ集!」の記事でも紹介しました。

私はこの本を読んで「もっと松岡さんの本を読んでみたい」強く思い、本書『深読みシェイクスピア』を手に取ったのでした。

そしてこの本もものすごかった・・・!正直、シェイクスピアに対する見方がまたぐっと変わっていくほどのものでした。

そしてタイトルにも書きましたが、何より超一流の役者さんたちの凄まじさたるや!私は以前から役者さんに対する憧れ、尊敬の念があったのですがこの本を読んでますますその思いが強くなりました。

シェイクスピアがいかに人間の機微を緻密に捉えていたかがよくわかります。私自身もこの作品でハッとしたことが満載でした。

シェイクスピア、演劇、いや文学そのものについても目が開かれた思いでした。2023年早々、ものすごいショックを受けた作品でした。これはぜひぜひおすすめしたい名著中の名著です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

松岡和子『深読みシェイクスピア』~翻訳・演劇の奥深さ、そして役者の力に驚くしかない名著!

番外編 河合祥一郎『シェイクスピアの正体』

実は、私はこの作品を実際に手に取るまでその内容を勘違いしていました。

巷に溢れる、「〇〇の真実」、「誰も知らない〇〇」「真の〇〇」という刺激的なタイトルの作品たち。「我こそは真の〇〇を語っている!これまでの通説は嘘だ!」のような、そんな流れの本のように私はこの本も見てしまっていたのです。

たしかに、タイトルだけを見れば『シェイクスピアの正体』という、まさに上で述べたようなタイトルです。

河合祥一郎先生については、これまで翻訳書やシェイクスピアの解説などでお世話になっていたので疑いを持ったことはなかったのですが、この本にはどうも手が伸びないでいたのです。

ですが、いざこの本を読んでびっくり。なんとこの本はそんな巷に溢れる「〇〇の真実」的なゴシップ、陰謀論的なものに真っ向から立ち向かった最高にハードボイルドな作品だったのです!これには驚きでした。

そして読みながら何度「ブラボー!」と喝采を送りたくなったことか!(サッカーのおかげで逆にこのブラボーが使いにくくなりましたが笑)

こんなに痛快な本はなかなかないです。今まで手に取らなかったのが本当にもったいなかったと後悔しています。

いやぁ素晴らしい作品です!これはぜひぜひおすすめしたい名著です!ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

河合祥一郎『シェイクスピアの正体』~時代背景や丁寧な資料読解を用いて異説や陰謀論と正面から向き合った名著!

番外編 中野好夫『シェイクスピアの面白さ』

この作品は「名翻訳家が語るシェイクスピアの面白さ」という、直球ど真ん中、ものすごく面白い作品です。

「シェイクスピアを読む読者は、彼が曠古の文豪だの、その作品が不朽の古典などということを、まず一切念頭から拭い去ってしまうがよい。そして誰か、せいぜい浅草あたりの大衆芝居の座付無名作者が書き下した新作をでも読むような、つもりで読むことである。」

「文豪だから」とか、「古典の傑作だから」とか、そういう肩肘張った姿勢でシェイクスピアは読まなくていい!ただシンプルに観て、読んで感じたままでいいのだ!当時の人たちはそうやってシェイクスピア劇を楽しんでいたのだから。

そう言われてみると、「あぁ!なるほどなぁ!」と強く感じますよね。

この本はシェイクスピアを楽しむ上で非常にありがたい作品となっています。シェイクスピアが身近になること間違いなしです。ぜひおすすめしたい作品です。

中野好夫『シェイクスピアの面白さ』~シェイクスピアがぐっと身近になる名著!思わず東京03を連想してしまった私

おわりに

ここまでシェイクスピアのおすすめ作品をご紹介してきました。

ここで紹介したのはかなり王道な作品ばかりです。知名度もあり、舞台で上演されることが多いのもこれらの作品がほとんどです。

ですがシェイクスピアにはまだまだたくさんの作品があります。そしてそれらの作品も舞台で上演されています。

昨年(2021年)の5月には藤原竜也さん、石原さとみさん主演の『終わりよければすべてよし』が上演されました。

公式HPよりこの公演の概要を紹介します。

1998年のスタート以来、芸術監督蜷川幸雄のもとで、国内外に次々と話題作を発表してきたシェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指す彩の国シェイクスピア・シリーズは、2016年10月にシリーズ二代目芸術監督に俳優・吉田鋼太郎が就任し、翌年12月に『アテネのタイモン』でシリーズを再開させました。昨年2月に上演した『ヘンリー八世』では、その演出手腕が高い評価を受け本シリーズに更なる弾みをつけたといえるでしょう。

しかし、世界的に大流行となった新型コロナウイルス感染症の感染拡大の余波を受けて、さいたま公演終盤4公演が中止、その影響は6月に上演を予定していたシリーズ第36弾『ジョン王』にも及び、全公演中止を余儀なくされました。

未だに続く前代未聞の状況下で、本シリーズはいよいよ最後の作品となる第37弾『終わりよければすべてよし』を迎えます。若き伯爵バートラムに恋する身分違いの孤児ヘレンを中心に、シェイクスピア喜劇で欠かせない魅力的なキャラクターたちが登場します。バートラムが縦横無尽に駆け巡り、ヘレンの一途な恋の行方に、最後まで釘付けになる本作品。シェイクスピア作品に造詣の深い吉田鋼太郎とフィナーレに相応しい豪華キャストによってお贈りします。

“終わりよければすべてよし” と、幕が下りる、その瞬間をお見逃しなく!

舞台『終わりよければすべてよし』公式HPより

この舞台は蜷川幸雄監督の下スタートした演劇シリーズで、現在は吉田鋼太郎さんが監督を引き継ぎ公演されています。上の解説にあるように、毎年シェイクスピア作品を公演しています。

※2023年1月16日追記

今年2023年1月に私はこの彩の国シェイクスピア・シリーズの『ジョン王』を観劇してきました。その感想を以下の記事でお話ししています。

ちなみに上で紹介した『ヘンリー八世』も昨年観劇することになりました。阿部寛さん主演の素晴らしい舞台でした。ぜひ二つ合わせて読んで頂けますと幸いです。

他にも東京ではほぼ毎日何かしらのシェイクスピア劇が上演されています。今はコロナの影響でなかなか難しい状況ですが、シェイクスピアの世界は私達の思っている以上に身近にあります。

東京近郊 シェイクスピア劇スケジュール」というサイトさんでその講演日程が出ているのでぜひチェックして頂けたらと思います。

シェイクスピアの世界がこんなに身近にあるのかときっと驚くと思います。

ぜひシェイクスピアの世界に触れてみてはいかがでしょうか。

以上、「シェイクスピアおすすめ作品12選~舞台も本も面白い!シェイクスピアの魅力をご紹介」でした。

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