ドストエフスキー資料データベース

ドストエフスキー論

T.G.マサリク『ロシアとヨーロッパⅠ』チェコの哲人大統領による貴重なロシア論!

農奴の父、料理番の母の子として生れ、そこから苦学して哲学教授になり、初代チェコ大統領にまでなったという驚異の経歴の持ち主、マサリクによるロシア・ドストエフスキー論。

そもそも哲学者として超一流。そしてそこに政治家として世界情勢や政治経済の現場を見た経験も加わったマサリク。さらに人格者としてチェコ国民だけでなく世界中の人から敬愛されていた偉大なる人物。

そんな大人物が語るロシア史、ドストエフスキー論はものすごく刺激的でした。

ドストエフスキー作品

ペローフ『ドストエフスキーの肖像画』制作のエピソードをご紹介!画家の見た作家の素顔とは

私は2019年夏より『親鸞とドストエフスキー』をテーマにこれまで学んできましたが、学べば学ぶほど愛着が湧き、ついには額縁に入った肖像画を購入し部屋に飾るほどになってしまいました。

そしてこのドストエフスキーを描いた画家こそ今回紹介するペローフになります。

この記事ではこの肖像画が生まれたエピソードを見ていきます。子供を愛したドストエフスキーならではの姿を知ることになりました。

ドストエフスキー作品

ドストエフスキーおすすめ作品4選!ロシア文学の面白さが詰まった珠玉の名作をご紹介!

あのトルストイと並ぶロシアの文豪、ドストエフスキー。

ドストエフスキーといえば『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』など文学界では知らぬ者のない名作を残した圧倒的巨人です。彼は人間心理の深層をえぐり出し、重厚で混沌とした世界を私達の前に開いてみせます。そして彼の独特な語り口とあくの強い個性的な人物達が織りなす物語には何とも言えない黒魔術的な魅力があります。私もその黒魔術に魅せられた一人です。

この記事ではそんなドストエフスキーのおすすめ作品や参考書を紹介していきます。またどの翻訳がおすすめか、何から読み始めるべきかなどのお役立ち情報もお話ししていきます。

ドストエフスキー論

星野立子『シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たち』~ドストエフスキーやトルストイとのつながりを知れるおすすめ作品!

この本はタイトル通り、シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たちとのつながりについて書かれた作品です。

この本ではプーシキンやドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、スタニスラフスキー、パステルナークと、ロシア文学界の大御所がずらりと並んでいます。

ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフと、ロシア文学を考える上で絶対に避けることのできない重鎮たちとシェイクスピアのつながりをじっくり見ていけるこの本はとても貴重です。

ドストエフスキー論

藤澤房俊『「イタリア」誕生の物語』~ドストエフスキーがなぜ妻とローマに行かなかったのかを知るために読んだ1冊!

ドストエフスキー夫妻はイタリアにも長期滞在しました。ですが私はこれまでずっと気になっていたことがありました。それが「なぜドストエフスキーはローマに行かなかったのだろうか」ということです。

せっかくイタリアまで来てローマに行かないというのはよくよく考えてみれば不思議ですよね。

この本のおかげでドストエフスキーが避けたローマ周辺の政治状況を知ることができました。私にとって非常にありがたい1冊でした。

イタリアという国について知る上でもこの本は非常に興味深い内容が満載でした。ぜひおすすめしたい作品です。

ドストエフスキーとキリスト教

高橋保行『迫害下のロシア教会―無神論国家における正教の70年』~ソ連時代のキリスト教はどのような状態だったのか

ソ連時代のことは現代を生きる私たちにはなかなかイメージしにくいかもしれません。同時代を生きていた人にとっても情報が制限されていたため限られた範囲でしかその実態を知ることができませんでした。

そんな中ソ連政権下でタブー視されていた宗教については特に秘密にされていた事柄だと思います。

ソ連が崩壊した今だからこそ知ることができるソ連とロシア正教の関わり。

そのことを学べるこの本は非常に貴重な一冊です。

ドストエフスキーを知る上でもこの本は非常に大きな意味がある作品だと思います。

ドストエフスキー論

G・ルカーチ『トルストイとドストイェフスキイ』~「ドストエフスキーは答えではなく問いを与える作家である」

「文学者の任務は答えを与えることでなく、問いを与えるところにある」とルカーチは述べます。そしてそれに最も成功した人物の一人としてドストエフスキーを挙げるのでした。

たしかにドストエフスキーは答えを与えてくれません。読者を混沌に叩き込むがごとく複雑怪奇な世界に私たちを引きずり込みます。

ですがそれこそドストエフスキーの最大の魅力でもあります。

訳者あとがきにもありますようにたしかに問題がある作品であるかもしれませんが、この作品で説かれていることはドストエフスキーをまた違った視点から見られるいい機会になったのではないかと思います。

ドストエフスキーとキリスト教

エフドキーモフ『ロシア思想におけるキリスト』~『悪霊』ティーホン主教のモデルになったザドンスクの聖ティーホンとは

この作品はタイトルにも書きましたようにロシアにおけるキリスト教の歴史や思想の概略を示してくれる作品となっています。

そしてこの本で一番ありがたかったのはザドーンスクの聖ティーホンについての解説の存在です。

この人物はドストエフスキーの『悪霊』に出てくる主教ティーホンと『カラマーゾフの兄弟』のゾシマ長老の造形に大きな影響を与えた人物として知られています。

この作品ではドストエフスキーについても語られますしトルストイやゴーゴリなどロシア文学を代表する人物達とキリスト教の関係を知ることができます。

ドストエフスキーとキリスト教

ローテル『無名の巡礼者 あるロシア人巡礼の手記』~ドストエフスキーに大きな影響を与えた巡礼の精神を知るのにおすすめの作品

この本はドストエフスキーやトルストイにも大きな影響を与えた「ロシアの巡礼」について知るためにうってつけの作品となっています。この本が初めて出たのはドストエフスキーが亡くなった1881年より数年後ですので直接彼がこれを読んでいたわけではありませんが、当時ロシアにいた巡礼者がどのような教えの下生きていたのかということを知ることができます。

私はこの作品を読んで何度も驚かされました。

この本で語られる祈りや瞑想の方法が仏教で説かれることとそっくりな部分がいくつもあったのです。信仰と祈りについて学ぶのに素晴らしい作品です。ぜひおすすめしたい一冊です。

ドストエフスキー論

山城むつみ『ドストエフスキー』~五大長編を深く読み込むための鋭い解説が満載のおすすめの参考書!

五大長編を幅広い視点から深く鋭く論じていくこの作品は圧倒的です。 そして私はこの本を読んですぐに感銘を受けました。特に冒頭、二葉亭四迷がドストエフスキーやロシア文学について語った箇所があるのですがこれがもう素晴らしいのなんの。 この二葉亭四迷の言葉で始まった本書はまさにその言葉通りの姿勢が貫かれた素晴らしい作品です。

特にバフチンのポリフォニーについての解説は非常にわかりやすいです。

ドストエフスキーの解説などでよく目にする「ドストエフスキー小説はポリフォニーである」という、わかるようでわからない難しい概念が山城さんの解説によって非常にクリアになります。これはおすすめです