上田隆弘『ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行』~文豪の運命を変えた妻との一世一代の旅の軌跡を辿る旅
この旅行記は2022年に私が「親鸞とドストエフスキー」をテーマにヨーロッパを旅した際の記録になります。
ドイツ、スイス、イタリア、チェコとドストエフスキー夫妻は旅をしました。その旅路を私も追体験し、彼の人生を変えることになった運命の旅に思いを馳せることになりました。私の渾身の旅行記です。ぜひご一読ください。
この旅行記は2022年に私が「親鸞とドストエフスキー」をテーマにヨーロッパを旅した際の記録になります。
ドイツ、スイス、イタリア、チェコとドストエフスキー夫妻は旅をしました。その旅路を私も追体験し、彼の人生を変えることになった運命の旅に思いを馳せることになりました。私の渾身の旅行記です。ぜひご一読ください。
この作品は心理学者フランクルがアウシュヴィッツやミュンヘンのダッハウ収容所での経験を綴ったものです。
前回の記事でご紹介したワシーリー・グロスマンの『トレブリンカ収容所の地獄』では絶滅収容所の悲惨さが描かれたのに対し、『夜と霧』では強制収容所という極限状態においてどのように生き抜いたのか、そしてそこでなされた人間分析について語られていきます。
この本は絶望的な状況下でも人間らしく生き抜くことができるという話が語られます。収容所という極限状態だけではなく、今を生きる私たちにとっても大きな力を与えてくれる本です。
この本がもっともっと多くの人に広がることを願っています。
訳者は「多くの人に、とくに若い人たちにグロスマンの作品を読んでもらいたい」、「全体主義の問題は今日でも大きな問題ですし、いつの時代にも権力と個人の問題は誰も避けては通れません。そして、そうしたものに対するグロスマンの投げかけた問いは、今日でも色あせてはいないのです。」と述べます。
『人生と運命』もそうでしたがこの小説も読むのがつらかったです。ですがその分衝撃もものすごかったです。よくぞこんなにえげつないものが書けるものだなとため息しかありません。読んでいてその厳しさに何度も固まってしまいました。「じゃあいったいどうすればいいんだ・・・」と呻くしかなくなってしまいます・・・
そうした状況に実際に当時の人たちは置かれていたのかと思うと戦慄してしまいます。
この作品は劇作品です。しかもこの解説に述べられているようにチェーホフと同じくわかりやすい筋もありません。そのため本としてこれを読んでもなかなかその流れを掴むのが難しいです。私も一度読んだだけではわからず、何度も読み返しました。
この作品もチェーホフと同じく、演劇として舞台で観るときっとものすごいインパクトがあるのだと思います。
この作品はかなりパワーがあります。チェーホフは静かな雰囲気の劇ですが、ゴーリキーはどん底にいる人たちの魂の叫びを表現します。言葉のパワーがものすごいです。本で読むだけでこれですから舞台で聞いたらこれはものすごいものなのではないでしょうか。
前回の記事「『スターリン伝』から見たゴーリキー~ソ連のプロパガンダ作家としてのゴーリキー」でお話ししましたように、ゴーリキーはソ連を代表する作家であり、スターリン政権下ではソ連のプロパガンダの宣伝にも大きな役割を果たしました。
そのゴーリキーがドストエフスキーのことをどう言うのか。
これはすなわちソ連がドストエフスキーをどう見るかということにもつながっていきます。
というわけで、佐藤清郎氏の『ゴーリキーの生涯』の中にゴーリキーがドストエフスキーに言及している箇所がありましたのでこの記事ではそちらを見ていきたいと思います。
この本ではゴーリキーの人生が幼少期からかなり詳しく書かれていますが、公的記録が乏しい若きゴーリキーに関してはその多くの部分がゴーリキー自身によって書かれた自伝的小説が基になっています。ですのでゴーリキーをもっともっと知りたい方は『人々の中で』など、自伝的小説を読むのをおすすめします。
ゴーリキーが幼少の頃からいかにとてつもない生活を送っていたかがこの伝記では明らかになります。
彼の代表作『どん底』はまさしく彼自身が社会のどん底で生き抜いた経験があったからこそでした。そこから作家として大成するというのは驚くべきことです。この伝記を読んで本当に驚きました。並の人物ではありません。
今こそチェーホフとゾラを読もう!―時代と世の中の仕組みを冷静に見る視点 これまで当ブログではおよそ1カ月にわたってチェーホフについてご紹介してきました。 ドストエフスキーを学ぶ上では必須という作家ではないチェーホフをここ…
松下裕氏の言葉はとてもわかりやすく、読んでいて引き込まれるような魅力があります。百年前の偉大な作家の解説書というと小難しいイメージがあるかもしれませんがまったくそういう雰囲気はありません。とにかく読みやすいです。
この本を読んでいるともっとチェーホフを知りたい、早くチェーホフの作品を読みたいという気持ちになります。
また、最初にお話ししましたように松下氏は『評伝ドストエフスキー』を翻訳された、ドストエフスキーにも造詣が深いロシア文学研究者です。
そのためこの本の中でも何度もドストエフスキーが登場します。
ドストエフスキーとチェーホフを比較して解説してくれますので、チェーホフだけでなくドストエフスキーのことも知ることができます。
この本ではチェーホフがいかに優れた作家か、そしてその特徴がどこにあるのかということがこの上なくわかりやすく書かれています。
そしてチェーホフだけではなく、ドストエフスキーとの対比も書かれているので、チェーホフを知りたい方だけではなく、ロシア文学や演劇を知りたい方にとっても非常に面白い知見がたくさん説かれています。
この本を読めばチェーホフだけでなくロシア文学の特徴、そしてそれらが現代日本を生きる私たちにどのような意味があるのか、どのような問いかけをしているかまで学ぶことができます。
この本はとにかくおすすめです。チェーホフ関連の本で何を読もうか迷っている方がいればまずこの本をお薦めしたいです。
この本の特徴ですが、タイトルにありますようにチェーホフの劇に特化して解説された参考書です。同氏の『チェーホフ芸術の世界』では小説作品のみを取り上げていたのに対し、こちらの本では小説作品は取り上げません。
チェーホフ四大劇の『かもめ』、『ワーニャ伯父さん』、『三人姉妹』、『桜の園』だけでなく、『イヴァーノフ』という作品についてもかなり詳しく解説されています。
演劇とは何か、小説とは何が違うのかということまでじっくり考察された盛りだくさんな本です。四大劇だけでなく、舞台演劇に興味のある方にもおすすめしたい内容となっています。