プーチン

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

R・ヴァナガイテ、E・ズロフ『同胞 リトアニアのホロコースト 伏せられた歴史』~歴史修正主義を考えさせられる衝撃の一冊

リトアニア国内にいた約20万人ユダヤ人の90%~95%がホロコーストで亡くなった・・・

これは衝撃的な数字ですよね・・・

この本ではそんなリトアニアのホロコーストがなぜ起こったのか、そのメカニズムは何だったのか、また、その歴史をめぐる現在のあり方について鋭いメスを入れた作品になります。

この作品はリトアニア人のホロコースト加担について書かれた本で、リトアニア国民の中に大論争を引き起こしました。

歴史修正主義とは何かを考える上でも非常に重大な示唆を与えてくれる作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

富樫耕介『コーカサスの紛争』~チェチェン、ナゴルノ・カラバフ、ジョージアにおける紛争とロシアについて知るのにおすすめ

「本書は、コーカサス地域の理解にしか役に立たないのではなく、現在の国際社会において様々な地域で出現している民族や国家をめぐる問題を理解する際にも役立つことを目指している。(「はじめに」より)」

まさにこの作品は複雑なコーカサス情勢を学ぶことで「他の地域の紛争を見る眼」も養うことができる参考書です。

しかもコーカサス地方の紛争はどれもロシアと関わりの深い紛争です。

ロシア・ウクライナ戦争を考える上でも新たな視点を授けてくれるおすすめの参考書です

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安武塔馬『シリア内戦』~アサド政権の実態と内戦の経緯を知るのにおすすめ。ロシア・ウクライナ戦争とのつながりを学ぶためにも

この本は複雑怪奇なシリア内戦の流れを時系列に沿って解説してくれます。

解説はかなり丁寧で、この内戦について全く知らない方でも読み進めていくことができます。この内戦がなぜこんなにも入り組んだ構図になってしまったのかという流れがとてもわかりやすかったです。

また、この内戦に対するアメリカとロシアの駆け引きを知れたのも大きかったです。この内戦がなぜロシア・ウクライナ戦争において重要だったかがよくわかりました。

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A・クルコフ『ウクライナ日記』~2014年マイダン革命とクリミア編入、東部紛争の経緯を知るのにおすすめ

著者のクルコフはマイダン革命が起きた広場のすぐ近くに住んでおり、この革命の流れを最も近くで見ていたひとりです。そんな作家による混乱の日々の記録が本作品になります。

日記体で書かれているので当時の状況がかなりリアルに感じられます。

この本に書かれているのは現在のロシア・ウクライナ戦争に直接繋がる出来事です。この戦争をより知るためにもこの作品はぜひおすすめしたいです。

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木村汎『プーチン 外交的考察』~ロシアはなぜ戦争をするのか。ウクライナへのハイブリッド戦争を知るのにおすすめ

国民からの支持を得るために外敵を設定し、戦争を行う。そのためには手段を選ばない。

ただ、全面戦争ではアメリカやNATOから猛攻撃を受けるのでそうならないように細心の注意を払い、政治経済システムが脆弱な旧共産圏の国を狙いハイブリッド戦争を仕掛け自国に有利な展開を作ろうとする。

こうしたプーチン大統領の外交姿勢を学ぶのにこの作品はうってつけです。

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木村汎『プーチン 内政的考察』~プーチン大統領はなぜロシア国民に支持されているのか、その仕組みを知るのにおすすめ!

この作品はかなり細かくプーチン大統領の国内政治を見ていきます。

その中でも特に印象に残ったのはやはりメディア統制によるプロパガンダです。なぜプーチン大統領が国民からここまで支持され、長期政権を可能にしているのかがよくわかります。

また、ナワリヌイ氏についての分析も非常に興味深かったです。

そして本の後半ではプーチン政権が抱える問題点が考察されていきます。「強いロシア」を掲げて他国への圧力を強めるプーチン大統領ですが、その副作用に苦しむ実態が明らかにされます。

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木村汎『プーチン 人間的考察』~プーチン大統領とはいかなる人物か、その経歴や特徴を知るのにおすすめの大著

この作品では彼の幼少期からKGB時代、ペテルブルク、モスクワでの官僚時代、大統領時代とじっくりとその道筋を見ていきます。ニュースではなかなか知ることのないプーチン大統領の姿を知ることができます。

また、プーチン大統領の政治のキーポイントとなる彼のメンタリティーについての分析も非常に興味深いです。

プーチン大統領とはいかなる人物かということを学ぶのにぜひぜひおすすめしたい作品です。

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真野森作『ルポ プーチンの戦争』概要と感想~現地取材から見えてくるウクライナ情勢とは

真野森作『ルポ プーチンの戦争』概要と感想~おすすめ本!現地取材から見えてくるウクライナ情勢とは 今回ご紹介するのは2018年に筑摩書房より発行された真野森作著『ルポ プーチンの戦争「皇帝」はなぜウクライナを狙ったのか』…

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W・トーブマン『ゴルバチョフ その人生と時代』~ゴルバチョフのペレストロイカとは。その生涯とソ連崩壊の時代背景を学ぶのにおすすめの伝記!

この本ではゴルバチョフが生まれた1931年からソ連崩壊後まで、その時代背景と共にゴルバチョフの謎に満ちた生涯を辿っていきます。

ゴルバチョフ自身の生涯も非常に興味深いものなのですが、この本でやはりありがたいのはソ連の時代背景を知れる点にあります。特にソ連が崩壊に向かっていく流れは読んでいて頭を抱えたくなるほどの混迷ぶりでした。ソ連がいかに出口のない迷路に迷い込んでいたかがわかります。

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M・ラリュエル『ファシズムとロシア』~ファシスト、非ナチ化という言説はなぜ繰り返されるのか。ロシアは欧州の何に反発しているのか

私がこの本を読もうと思ったのは、プーチン大統領がウクライナに対して「非ナチ化のために我々は戦っている」という旨の発言があったからでした。正直、その言葉を初めて聞いたときは全く意味がわかりませんでした。なぜプーチンにとってウクライナと戦うことが非ナチ化なのか、私にはどうしてもわからなかったのです。

というわけで手に取ったこの本でしたが、これがなかなか興味深く、「なるほど」と思えることが満載の一冊でした。