資本論

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

R・セイラー『行動経済学の逆襲』概要と感想~従来の経済学と行動経済学は何が違うのかを知るのにおすすめの作品

すべてを合理的に考え、数式によって経済を理解し、実際にそれを適用しようとしてもそううまくはいきません。もしそれが可能なら経済はもっとうまく回せるはずではないか。うまくいかないならばそもそも前提からして間違っていたのかもしれない。

ということで著者の長年の研究と行動経済学者のグループが辿った道のりを知ることができます。

これまで私がブログで更新してきましたマルクスについて考える上でも非常に興味深い視点を与えてくれました。これはありがたい作品でした。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

ヘンリー・メイヒュー『ヴィクトリア時代 ロンドン路地裏の生活誌』~ロンドンの下層民の生活を取材したルポ作品!

この本はイギリスヴィクトリア朝、特に1800年代半ばのロンドンの下層民の生活に密着し、彼らがどんな生活をしているのかを描いた作品です。まるで小説のように描かれたこの作品を読んでいると、彼らが当時のロンドンでどんな生活をしていたかが目の前に浮かんでくるかのようです。イラストも豊富な点もありがたいです。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

松村昌家『大英帝国博覧会の歴史 ロンドン・マンチェスター二都物語』~万博とマンチェスターのつながりを知れる1冊!

この本はロンドン万博とマンチェスター名宝博のつながりを大きな視点で見ていき、さらにはそこから日本とのつながりも見ていく作品になります。

産業革命の悲惨な結果として見られがちなマンチェスターですが、実はこのマンチェスター名宝博こそ、国民の生活向上を目指す運動とも関わってくるものでした。

マルクスは1849年から、エンゲルスに関してはそれよりもはるかに長くイギリスに滞在しています。彼らの思想が生まれてくる背景にはイギリスの社会情勢があります。そうしたイギリスの社会事情を知る上でもこの本は非常に参考になりました

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

『写真で見る ヴィクトリア朝ロンドンの都市と生活』~ディケンズも見た19世紀後半のロンドンを知るのにおすすめ!

この本では19世紀中頃から後半にかけてのロンドンの姿を大量の写真で見ることができます。
この本の特徴は19世紀イギリスの偉大な文豪ディケンズと絡めてロンドンの街が語られる点にあります。
たくさんの写真と一緒にディケンズ作品との関わりも解説されていきますのでディケンズファンにはたまらない構成となっています。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

カール・B・フレイ『テクノロジーの世界経済史』~産業革命の歴史と社会のつながりを学ぶのにおすすめ!

私がこの本を手に取ったのは、マルクスを学ぶ上で産業革命の歴史と現代に至るテクノロジーの歴史を知りたいと思ったからでした。

この本ではなぜイギリスで産業革命が起きたのか、そしてそれにより社会はどのように変わっていったのかを知ることができます。

マルクスとエンゲルスは、機械化が続けば労働者は貧しいままだという理論を述べました。

たしかに彼らが生きていた時代にはそうした現象が見られていましたが、現実にはその理論は間違っていたと著者は述べます。

この伝記は産業革命とテクノロジーの歴史を知るのに非常におすすめな1冊となっています。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『人類の知的遺産49 バクーニン』~ロシアの革命家バクーニンの生涯を知るのにおすすめの伝記

前回の記事で紹介したゲルツェンと同じく、マルクスを知るために同時代の革命家たちのことを知ろうということでこの本を取りました。バクーニンもマルクス伝記を読めば必ず出てきますし、ドストエフスキー伝にも出てくる人物です。

バクーニンはロシアの大貴族の家に生まれました。前回紹介したゲルツェンもそうでした。19世紀ロシアを代表する革命家の二人が共に大貴族の息子という事実は驚きでした。ちなみに1917年のロシア革命の立役者になるレーニンも貴族の生まれです。

とにかくぶっ飛んだ強烈な個性を目の当たりにすることになります。

この伝記もとても面白かったです。この本もおすすめです!

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『アウグスティヌス『神の国』を読む―その構想と神学』~マルクスの歴史観にもつながるキリスト教教父の思想とは

ローマ帝国の崩壊のきっかけとなる蛮族の侵入とアウグスティヌスの『神の国』が関係しているというのはとても驚きでした。

そしてアウグスティヌスが歴史を「神の永遠の計画が実現される歩み」であるとしている点は非常に重要です。これはまさしくヘーゲルの歴史観とつながってくるところです。マルクスも神ではありませんがそうした歴史観に非常に影響を受けています。

この本を読むことでヘーゲル、マルクスがいかにプラトンやアウグスティヌスに影響を受けていたかがよくわかります。これは非常に興味深い読書になりました

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

プラトン『ソクラテスの弁明 クリトン』あらすじと感想~ソクラテス・プラトン師弟と法然・親鸞師弟の類似に驚く・・・

プラトンが『国家』を書いたのは、尊敬する師ソクラテスが不当に処刑されてしまったことに対する反発からでした。

そしてそのソクラテスがなぜ処刑されねばならなかったのかについて書かれているのがこの『ソクラテスの弁明』という作品です。

親鸞自身もプラトンと同じように、尊敬する師が理不尽にも処罰を受けなければならないのを身をもって体感しています。

親鸞もそうした理不尽に反論するために主著『教行信証』を書いたという側面があります。

プラトンと親鸞が体験した「無念」という共通点が私にはドキッとくるものがありました。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

プラトン『国家』あらすじと感想~エリートによる国家運営の原型。ここからすでに管理社会は始まっていた

私が今回この本を読みたいと思った最大の理由は彼の国家観がユートピア思想の先駆けともいえるものだったという点にあります。

プラトンの『国家』がヨーロッパ人の精神に多大な影響を与え、後のトマス・モアの『ユートピア』につながり、そこからさらに空想的社会主義者たちやマルクス、レーニン、スターリンの世界にも繋がっていくというのは非常に興味深いものがありました。

かつては挫折したこの本ですが、やはり「今読まねばならぬ」という目的意識があると全然違ってきますね。

「目的があること」は読書における良いスパイスであることを実感した読書になりました。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

ユートピア社会主義者フーリエとドストエフスキー~なぜドストエフスキーはフーリエに惹かれたのか

この記事では空想的社会主義者フーリエとドストエフスキーのつながりについて考えていきます。

私の中で「これは」と思った3つのポイントがこちら。

1 フーリエの美的センスとクロード・ロラン

2 フーリエのほとんど狂気じみた同情の能力

3 フーリエの著述の才能~圧倒的なファランジュ(ユートピア)の描写力

これらがドストエフスキーがフーリエに惚れ込んだ背景としてあったのではないかと私は感じました。

また、ドストエフスキーをはじめとしたロシアの青年たちがフーリエ思想をキリスト教の延長として見ているのは非常に興味深い点だと思います。