蜷川幸雄

ギリシア悲劇名作の宝庫・シェイクスピア

丹下和彦『ギリシア悲劇』~ギリシア悲劇の奥深さを学べるおすすめ入門書

この作品ではギリシア悲劇の起源やその流れをまず序章で学ぶことになります。

そこから時代順に、アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスというギリシア悲劇の重鎮たちの作品を通してその奥深さを考察していく流れになります。時代を経ていくにつれて悲劇の内容がどう変わっていったのかが非常にわかりやすく説かれているのでこれはとてもありがたかったです。

名前は知っていてもなかなかその中身までは知らないギリシア悲劇。そのギリシア悲劇の奥深さを知れるおすすめの入門書です。

名作の宝庫・シェイクスピア

扇田昭彦『蜷川幸雄の劇世界』~長年舞台を追い続けた批評家から見た蜷川演出の真髄とは

この本では蜷川さんをずっと追い続けた扇田さんだからこそ見える蜷川さんを知ることができます。演出家デビューから円熟していくにつれてどう演出が変わっていったのか。そしてそれを貫く彼の演劇の本質はどこにあるのかということを深く掘り下げていきます。

ただ、この本は蜷川さんの入門書としてはちょっと難しいです。蜷川さんの舞台作品をいくつか観たり、他の本でその人となりや作品制作の流れを知っておいてから読むのがおすすめです。

蜷川幸雄演出やその人となりについてもっと知りたい方にこの作品は非常におすすめです。ものすごく刺激的な一冊でした。

名作の宝庫・シェイクスピア

扇田昭彦『舞台は語る』~日本のシェイクスピア・ブームの背景を知れる1冊!現代演劇の流れを知るのにもおすすめ!

この本は前回の記事で紹介した『日本の現代演劇』と対になる作品です。

劇団四季や『レ・ミゼラブル』など私も大好きなミュージカルの話も聞けるのは嬉しい限りでした。

そして何と言っても日本におけるシェイクスピア演劇の流れを知れたのが大きかったです。シェイクスピアが日本でブームになっていった歴史的背景は非常に興味深かったです。翻訳家の小田島雄志や演出家出口典雄の登場、あの吉田鋼太郎さんも所属していたシェイクスピア・シアターの存在。ピーター・ブルックやトレバー・ナンら海外の著名な劇作家の影響。そして蜷川幸雄さんの斬新な演出。

こうした流れを扇田さんの名解説で聴くことができます。

名作の宝庫・シェイクスピア

扇田昭彦『日本の現代演劇』~戦後日本と演劇の流れをリンクして学べるおすすめ参考書

この本では1960年代に始まった小劇場運動からバブル経済を経た90年代の演劇までその歴史の流れを概観することができます。

特に思想の吹き荒れた安保闘争、学生紛争時代における演劇界には強い関心があったのでこのことについて詳しく知ることができたのは非常にありがたいものがありました。

そしてこの本を読んでいてとにかく感じたのは演劇人たちの熱気です。しかも並大抵の熱気ではなく、それこそ「すべてを賭けて戦う」という恐るべき本気さ・・・

時代の空気感と演劇の関係を重ねながら学べる本書は非常に興味深い作品でした。

名作の宝庫・シェイクスピア

蜷川幸雄演出『天保十二年のシェイクスピア』あらすじと感想~井上ひさしの名作を蜷川ワールドで堪能!

「卑俗で猥雑で混沌としたエネルギーにあふれた音楽劇」

まさに蜷川さんの演出エッセンスをまさに凝縮した舞台をこのDVDで観ることができます。蜷川さんの特徴がかなり明確に出ているのでがこの作品ではないかと思います。

そして出演陣の豪華さにもやはり圧倒されます。どこに行っても主役級の役者さんがどんどん出てくるこの舞台。演技の迫力に呆然とするしかありませんでした。すごすぎます・・・!

役者さんたちのすごさ、演劇の面白さも知れる素晴らしい作品です。たしかに時間があっという間の作品です。エンタメ性抜群、とにかく楽しませてくれる作品です。

ロマンス名作の宝庫・シェイクスピア

井上ひさし『ロマンス』あらすじと感想~チェーホフの生涯を喜劇化した傑作!私はこの作品に嫉妬する…!

タイトルに書きましたように、私はこの作品を読みながら「なんて見事な作品だろう・・・!こんな作品を生み出してしまうなんて!」と嫉妬してしまいました。

この作品はあまりに素晴らしすぎます。私もチェーホフが好きです。ですが井上さんはもっともっとチェーホフを深く理解し、愛している。そして彼の人生、思想をこんなに楽しく、深く表現しているのです。この劇で展開されるひとつひとつのエピソードや舞台展開の美しさ、どれをとっても「やられた!もうだめだ!すごすぎる!」とため息が出てしまうほどでした。どうしてこんなに楽しくも美しい劇を思いつけるのか!

私は今まで読書している最中にこんなにメラメラと嫉妬の炎が燃えるなんてことは経験したことがありませんでした。

名作の宝庫・シェイクスピア

井上ひさし『ムサシ』あらすじと感想~人は報復の連鎖を断ち切れるのか。蜷川幸雄演出舞台の戯曲

それにしてもこの物語の見事さたるや・・・!

まず日本人の誰もが知る宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘の後日譚を書くという大胆さ。そしてこの勇ましい二人をどう戦わせないかという真逆の発想!普通なら血沸き肉躍る再戦を書きたくなるでしょう。いやあすごい!

最後の大団円もまたいいんですよね。ものすごくぐっと来ました。ネタバレになるのでここでお話しできないのが口惜しいです。

私はこの作品が大好きです。自分のクソ真面目さを再認識できたのもいい機会になりました笑 

名作の宝庫・シェイクスピア

蜷川幸雄演出『ムサシ』あらすじと感想~武蔵、小次郎の舟島の決闘の後日談を描いた衝撃の舞台!圧倒的面白さ!

藤原竜也さん、小栗旬さんをはじめとした役者さんたちの演技にはとにかく圧倒されっぱなしでした。シリアスシーンでは息もつけぬほどの緊張感、喜劇的なシーンでは思わず笑ってしまうコミカルな演技。

「とんでもないものを見てしまった」

この一言に尽きます。

後半の大団円に向かうシナリオも脱帽です。お見事すぎてため息が出ました。井上ひさしさんのすごさを感じずにはいられません。

いやあ、とんでもないものを見てしまいました。このDVDを観れて本当によかったなと思います。

名作の宝庫・シェイクスピア

ピーター・ブルック『なにもない空間』~シェイクスピア演劇に革命をもたらした演出家の演劇論。蜷川幸雄にも大きな影響

著者のピーター・ブルックはイギリスの演出家で演劇界で絶大な影響力を持つ人物です。

特に1970年のシェイクスピア『夏の夜の夢』の演出では世界中の度肝を抜き、シェイクスピア演劇に革命をもたらしたことでも知られています。

ピーター・ブルックと蜷川さんの演劇論の重なりには読んでいて驚くしかありませんでした。

演劇論としての枠組みを超えて人生を考える上でもこの本は大きな示唆を与えてくれます。この本が名著として受け継がれている理由がよくわかりました。ぜひ皆さんも手に取ってみてはいかがでしょうか。

名作の宝庫・シェイクスピア

網野善彦『異形の王権』~バフチンの理論にもつながる中世の日本文化を知るのにおすすめ

これまで「親鸞とドストエフスキー」をテーマに世界文学を含めて学んできましたが、やはり最後は日本の歴史・文化とも繋がってきます。海外のことを学んだ上で日本の歴史・文化を改めて見直してみることで新たなものが見えてくることでしょう。私も楽しみです。

シェイクスピア、蜷川幸雄、バフチン、日本の中世と様々な人物・文化が繋がった興味深い読書になりました。かなりマニアックな内容ですが、日本の文化を知る上でも興味深い作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。