
『レ・ミゼラブル』といえば日本でも大人気のミュージカルとして有名な作品です。私もミュージカルが大好きで何度も観劇し、その度に号泣しています。
さて、そんな『レ・ミゼラブル』でありますが、私がこの作品と出会ったのは何を隠そう、ロシアの文豪ドストエフスキーがきっかけでした。
私は2019年から2023年にかけて「親鸞とドストエフスキー」をテーマに研究を続けていたのでありますが、このドストエフスキーが愛してやまなかった作品こそこの『レ・ミゼラブル』だったのです。
詳しくはここではお話しできませんが、私にとっての『レ・ミゼラブル』はまず、「あのドストエフスキーが愛した作品」であったのです。
そしてそれはやがて「私の大好きなミュージカル作品」となり、今や「私のインドのテーマソング」となっています。
ーインドのテーマソング?
そうなのです。
私は2024年にインドの仏教遺跡を巡る旅に出たのですが、その時にひたすら聴いていたのがレミゼのサントラだったのです。
インドの仏跡はとにかく広大なエリアに点在しています。そのため車での移動時間が1日10時間以上の日が何日もありました。5、6時間で済んだ日は「今日は移動が少なくて助かったな」と思ったものです。
そしてそんな車中でひたすら聴いていたのがこのレミゼだったのです。
このサントラはストーリーの展開に沿って曲が配置されていて、ほとんどミュージカルそのものを見ているかのように音楽を聴くことができます。
つまり、私は車中でインドの風景を見ながらひたすらレミゼの世界に浸り続けていたのです。
こういうわけで、今や私にとってレミゼはインド旅のテーマソングと化してしまったのでありました。
ただ、そこはさすがはレミゼです。単なるBGMでは終わりません。
やはりレミゼは偉大なる物語です。その音楽を通してありありとジャン・ヴァルジャンの人生を追体験することになります。インドという異国の地でその生涯に思いを馳せた体験は私にとっても忘れられないものとなりました。
そして今、私は「カラマーゾフを読む」という記事を当ブログで連載していますが、実は原稿自体はすでに全て書き終えています。記事総数は90を超える大部になってしまいましたが、この連載によってより深く作品と向き合えたのは間違いありません。「親鸞とドストエフスキー」研究をしてきた中で、改めてその核である『カラマーゾフ』をじっくり読めたのは実にありがたい機会でありました。
で、あるならば、レミゼもぜひやってみたい。ドストエフスキーも愛したこの小説を今一度しっかりと読み直したい。
そんな思いが私の中に生まれてきたのでありました。
この連載ではそんなユゴーの原作を1から丁寧に読んでいきます。なかなか読まれることのないレミゼの原作ですが、ミュージカルファンの皆さんにも、まだ観たことも読んだことのない方にも楽しんで頂ける構成にしていますので気軽に楽しんで頂けましたら幸いでございます。
目次
第一部

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連載「ユゴーの原作『レ・ミゼラブル』を読む」
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(1)主人公が全然登場してこない小説。それが『レ・ミゼラブル』である。
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(2)ミリエル司教と『カラマーゾフの兄弟』のゾシマ長老の共通点とは
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(3)唯物論者への反論が見事すぎるミリエル司教~ユゴーとドストエフスキーの違いについて
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(4)ジャン・ヴァルジャンの登場シーンが映画的!ユゴーは時代を先取りしていた?
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(5)「お前」ではなく「あなた」と呼んでくれた司教…ジャン・ヴァルジャンの人生を変えた一言について
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(6)ミリエル司教の灯した蝋燭の火にこれほどの意味があったと誰が想像できようか
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(7)寝ているだけでも偉大なミリエル司教。そしてそれを見事に描写するユゴーがすごすぎる
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(8)ジャン・ヴァルジャンはミリエル司教にとって特別な存在だったのだろうか
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(9)「俺はみじめな男だ!」ジャン・ヴァルジャンの回心を決定づけたプチ・ジェルヴェ事件
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(10)恋はあやまちである~ファンチーヌよ、なぜそんなクズ男に惚れてしまったのか・・・
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(11)運命を変える「たまたま」が頻発する『レ・ミゼラブル』
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(12)「本は冷静だが確実な友人だった」~読書家のジャン・ヴァルジャン
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(13)「世の中で最も曲りくねったものの中に、直線を取入れた」男、ジャヴェール
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(14)フォーシュルヴァン事件と「葛藤の人」ジャン・ヴァルジャン~レミゼにおける最重要ポイントのひとつがここに
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(15)噂好きな善人がファンチーヌを破滅させた~ある種の人々はただおしゃべりをしたいために意地悪になる
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(16)ファンチーヌの惜しみない愛にも葛藤があった
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(17)もしファンチーヌが何人もいたらどうなっていただろうか?
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(18)ジャヴェールはなぜシャンマチウをジャン・ヴァルジャンと勘違いしたのだろうか
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(19)「Who am I ?」シャンマチウ事件における絶望的な葛藤~ミュージカル版との決定的な違いについて
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(20)ジャン・ヴァルジャンが大切な燭台を燃やそうとした⁉まさかの大事件
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(21)英雄とは、そうせざるをえない運命を背負った人間である
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(22)真に正しい人は狂人か?ドストエフスキーの『白痴』との関連性について
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(23)ジャヴェールがファンチーヌを殺した?彼女の死は幸福なものだったのだろうか
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(24)こんな人たちのためにマドレーヌ氏は生きていたのか~逮捕後掌返しをする町の人々に思う
目次
第二部

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(25)ワーテルローの戦いをこれでもかと描くユゴー。その真意は?
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(26)ジャン・ヴァルジャン、軍艦から海へ飛び込み決死の脱獄!
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(27)原作のテナルディエ夫妻がミュージカルと違って恐ろしすぎる
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(28)コゼットとジャン・ヴァルジャンのドラマチックすぎる出会い~作中屈指の名場面!
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(29)コゼットの救出がなかなか進まない?テナルディエの宿屋で一泊するジャン・ヴァルジャン
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(30)救われたのはジャン・ヴァルジャンの方だった?コゼットの存在が彼に与えた大きな影響とは
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(31)乞食に扮したジャヴェールと目が合った瞬間の衝撃たるや!パリでの宿命的な再会があまりにサスペンス!
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(32)パリでの緊迫の逃走劇!ユゴーのカメラ・アイが冴えわたる!
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(33)ジャン・ヴァルジャンが逃げ込んだ建物が謎過ぎる…!
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(34)皆さんはフォーシュルヴァン爺さんを覚えておいでだろうか?ユゴー得意の「偉大なるたまたま」がここに
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(35)なぜジャヴェールはパリにいたのだろうか~彼のあっぱれな働きぶりとは
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(36)ジャヴェールの致命的な油断!肝心なところでへまをするジャヴェールにむしろ人間味を感じて味わい深い
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(37)なぜユゴーは修道院をめぐって80ページも語るのか~ジャン・ヴァルジャンが逃げ込んだプチ・ピクピュス修道院
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(38)生まれ変わったフォーシュルヴァンのあっぱれな心意気~ミュージカルでは知り得ない彼の人柄とは
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(39)棺桶に入って脱出!? ミュージカルでは描かれないジャン・ヴァルジャンの奇策
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(40)ジャン・ヴァルジャン、生きたまま埋葬され仮死状態に!?
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(41)墓堀人のグリビエもレ・ミゼラブルではないのか?~このまま悲惨な生活を続けるであろう苦労人について一言
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(42)コゼットは醜いのか、美しいのか?~修道院長の意味深な言葉について
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(43)修道院生活で浄化されるジャン・ヴァルジャン~彼はそこで何を知ったのか
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第三部

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第四部

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第五部

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『レ・ミゼラブル』をもっと楽しむためのおすすめ本4選
ここまで『レ・ミゼラブル』を読んできて、さらにその世界を深く知りたいという方におすすめしたい本をご紹介します。
作品の背景や成立過程、ミュージカル、漫画など、それぞれ違った角度から『レ・ミゼラブル』の世界を楽しめる4冊です。




『レ・ミゼラブル』をもっと深く楽しむために
ここでは『レ・ミゼラブル』をもっと深く楽しむための記事をご紹介します。
物語の時代背景や当時のパリの文化、ユゴーの生涯や実体験、さらにはドストエフスキーをはじめとした文学者とのつながりなど、本編を読むだけではなかなか見えてこない『レ・ミゼラブル』の世界を掘り下げていきます。
気になる記事がありましたらぜひ読んでみてください。
→ 『レ・ミゼラブル』の時代背景をざっくり紹介~フランス革命からナポレオン時代、七月革命まで
→ パリのお針子グリゼットと学生の関係とは~19世紀フランスの若者達の出世コースと恋愛
→ なぜフランス人男性はモテるのか~パリの伊達男「ダンディー」の存在から考えてみた
→ ファンチーヌの連行、釈放事件はユゴーの実体験だった~ユゴー『私の見聞録』より
→ 小倉孝誠『『パリの秘密』の社会史』~この作品がなければレミゼも生まれなかった?
→ アンドレ・モロワ『ヴィクトール・ユゴー《詩と愛と革命》』~ユゴーの圧倒的なスケールを体感できるおすすめ伝記
→ ドストエフスキーも愛した『レ・ミゼラブル』~レミゼとドストエフスキーの深い関係
→ 長編小説と読書の3つのメリット~今こそ名作を読もう!『レ・ミゼラブル』を読んで感じたこと
→ レミゼの主人公ジャン・ヴァルジャンの意義~神々やキリストを象徴する世界文学史上に輝く英雄像
→ ユゴーを批判したゾラが世紀の傑作『レ・ミゼラブル』をどう見るだろうか考えてみた
『レ・ミゼラブル』の舞台を訪ねて
『レ・ミゼラブル』をより深く知るため、私自身も作品ゆかりの地を訪ねました。
ジャン・ヴァルジャンが歩いたパリの下水道や、物語の冒頭で詳しく語られるワーテルローなど、実際に現地を歩いた時の様子を写真とともにご紹介します。

