ゾラ

バルザックフランス文学と歴史・文化

バルザック『ウージェニー・グランデ』あらすじと感想~守銭奴の父と素朴な愛を貫く高潔な娘の物語

この作品はドストエフスキーと非常に関係の深い作品で、1843年、彼が22歳の頃、この作品をロシア語に翻訳して出版しようとしていた作品でした。

ドストエフスキーは若い頃からバルザックに傾倒していて、強い影響を受けています。

その彼がロシア語に翻訳する作品として目を付けたのがこの『ウージェニー・グランデ』だったのです。

この作品は強烈な守銭奴のフェリックス爺さんとその娘のウージェニーを中心にした物語で、金銭に象徴される物欲と精神的な高潔との戦いが描かれています。

レ・ミゼラブル第4部『レ・ミゼラブル』をもっと楽しむために

「第四部 プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩」あらすじと感想~大迫力のバリケード戦!物語は一気に佳境へ

第4巻からクライマックスに向けて一気に物語は動いていきます。

第4巻、第5巻と続くバリケード戦の迫力は圧倒的です。まるでハリウッド映画のようです。映像ではなく言葉でこれを表現できるというのは驚くべきことだと思います。

読んでいて本当に物語の世界観に没入させられます。こういう読書体験は一度体験すると病みつきにさせられてしまうほどです。

さて、いよいよ次で最終巻。ジャン・ヴァルジャンの物語もフィナーレを迎えます。

ドストエフスキー作品

ドストエフスキー『永遠の夫』あらすじと感想~美人妻と寝取られ亭主、不倫男の奇妙な三角関係

『永遠の夫』は何をしでかすかわからない深層心理の混沌を描くという、ドストエフスキー得意の心理描写が冴えわたった作品です。ドストエフスキー入門としては少々厳しいものがありますが、ドストエフスキーにはまり出した方にはぜひおすすめしたい作品です。

小説の分量も中編小説ということでドストエフスキーにしてはお手軽なページ数になっています。

冬に記す夏の印象ドストエフスキー作品

ドストエフスキー『冬に記す夏の印象』あらすじと感想~西欧社会を厳しく批判!異色のヨーロッパ旅行記

この『冬に記す夏の印象』はドストエフスキーのヨーロッパ観を知る上で非常に重要な作品です。

また「奇妙な旅行者」ドストエフスキーの姿を見ることができる点もこの作品のいいところです。小説作品とはまた違ったドストエフスキーを楽しむことができます。

文庫化された作品ではありませんが、『冬に記す夏の印象』はもっと世の中に出てもいい作品なのではないかと強く感じます。

日本人には特に共感できる内容なのではないかと思います。

ゾラとドストエフスキーブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

エミール・ゾラとドストエフスキーまとめ―「ルーゴン・マッカール叢書」を読んで

この記事ではゾラとドストエフスキーについての所感をまとめています。

私自身、フランスのことをここまでやるとは考えていなかったので、遠回りになってしまったなと思いつつ、思いがけない収穫があったのでとても満足しています。

正直、私はフランスのことがあまり好きではなかったのですが、今はむしろ好きになってきている自分がいます。恥ずかしながら今やパリに行きたくて仕方がないほどになっています。

食わず嫌いだったというわけではありませんが、相手のことをよく知ってみると意外といいところも見えてくるなと改めて思わされた体験となりました。

木村泰司ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

木村泰司『印象派という革命』ゾラとフランス印象派―セザンヌ、マネ、モネとの関係

前回までの記事では「日本ではなぜゾラはマイナーで、ドストエフスキーは人気なのか」を様々な面から考えてみましたが、今回はちょっと視点を変えてゾラとフランス印象派絵画についてお話ししていきます。

私はゾラに興味を持ったことで印象派絵画に興味を持つことになりました。

それとは逆に、印象派絵画に興味を持っている方がゾラの小説につながっていくということもあるかもしれません。ぜひともおすすめしたい記事です

ゾラとドストエフスキーブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラとドストエフスキーの人間観の違い・空白の有無について考えてみた

この記事ではゾラとドストエフスキーの人間観、そして空白の有無という切り口から2人の作家を考えていきます。

空白の有無が謎を呼び、その謎が議論を生み、議論が議論を拡大する。

ゾラとドストエフスキーの違いがこうした面からも見れたのは私にとっても非常に興味深いものでありました。

ゾラとドストエフスキーブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラから見るフランス人と日本人の道徳観の違いと時代背景

ヨーロッパと日本という関係性、道徳観の違い。

これもゾラが日本でマイナーであった大きな要因であるように思います。

ですが現代はかつてのように貧しい社会や強力な「家の論理」が支配する日本ではありません。

何度もこのブログで申していますように、フランス第二帝政期は私たちのライフスタイルに直結しています。

現代を生きる私たちの生活はまさにゾラの描く世界がベースにあるのです。

であるならば、日本においては今こそゾラの描く小説が最も意味を持つ時代なのかもしれません。

ゾラとドストエフスキーブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

日本ではなぜゾラはマイナーで、ドストエフスキーは人気なのか―ゾラへの誤解

前回の記事ではフランスでの発行部数からゾラの人気ぶりを見ていきました。

その圧倒的な売れ行きからわかるように、ゾラはフランスを代表する作家です。

ですが日本で親しまれている大作家が数多くいる中で、ゾラは日本では異様なほど影が薄い存在となっています。

なぜゾラはこんなにも知名度が低い作家となってしまったのでしょうか。

今回の記事では日本でゾラがマイナーとなってしまった理由と、それと比較するためにドストエフスキーがなぜ日本で絶大な人気を誇るのかを考えていきたいと思います。

獣人ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラはどれほどすごい作家だったのか~フランスでの発行部数から見るゾラの人気ぶり

ゾラは日本ではあまり知名度が高くはありませんが、フランスでは最も愛されている作家の一人です。

日本にいるとその偉大さは伝わりにくいですが、ちょうど私が読んだ『獣人』藤原書店、寺田幸德訳の訳者解説にフランスでのゾラ作品の発行部数が載っていたので、この記事ではその数字を参考にいかにゾラがフランスで人気だったのかを見ていきます。