ゾラ

ジェルミナールブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ジェルミナール』あらすじと感想~炭鉱を舞台にしたストライキと労働者の悲劇 ゾラの描く蟹工船

『ジェルミナール』では虐げられる労働者と、得体の知れない株式支配の実態、そして暴走していく社会主義思想の成れの果てが描かれています。

社会主義思想と聞くとややこしそうな感じはしますが、この作品は哲学書でも専門書でもありません。ゾラは人々の物語を通してその実際の内容を語るので非常にわかりやすく社会主義思想をストーリーに織り込んでいます。

難しい専門書を読むよりずっとわかりやすく、面白く学ぶことができることかと思います。

生きる歓びブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『生きる歓び』あらすじと感想~ゾラ流のショーペンハウアー的ペシミズムへの回答とは

概要とあらすじでは主人公の少女ポリーヌがダメ人間ラザールに恋をしてしまう可哀そうな物語とお話ししましたが、そこはゾラ師匠。単なる優しい女の子の残念な恋愛で終わらせません。

実はゾラはラザールに当時大流行していたショーペンハウアー的なペシミズム(悲観主義、厭世主義)を意図的にまとわせ、それに対置する形で生きる歓びを体現するポリーヌを立たせているのです。

そうしてゾラは当時大流行していたペシミズムに対する反論を述べようとしているのでした

ボヌール・デ・ダム百貨店ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』あらすじと感想~欲望と大量消費社会の秘密~デパートの起源を知るためにも

この作品はフランス文学者鹿島茂氏の『 デパートを発明した夫婦』 で参考にされている物語です。

ゾラは現場での取材を重要視した作家で、この小説の執筆に際しても実際にボン・マルシェやルーブルなどのデパートに出掛け長期取材をしていたそうです。

この本を読むことは私たちが生きる現代社会の成り立ちを知る手助けになります。

もはや街の顔であり、私たちが日常的にお世話になっているデパートや大型ショッピングセンターの起源がここにあります。

非常におすすめな作品です。

ごった煮ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ごった煮』あらすじと感想~ブルジョワの偽善を暴く痛快作!貴婦人ぶっても一皮むけば…

この作品は『ボヌール・デ・ダム百貨店』の物語が始まる前の前史を描いています。

主人公のオクターヴ・ムーレは美男子で女性にモテるプレイボーイです。そして彼がやってきたアパートでは多くのブルジョワが住んでいてその奥様方と関係を持ち始めます。

そうした関係はもちろん危険な火遊びで、彼は何度も痛い目に遭います。

ですがそうした女性関係を通してオクターヴは女性を学び、大型商店を営むというかねてからの野望に突き進もうとしていきます。

ナナブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラの代表作『ナナ』あらすじと感想~舞台女優の華やかな世界の裏側と上流階級の実態を暴露!

ゾラの代表作『ナナ』。フランス帝政の腐敗ぶり、当時の演劇界やメディア業界の舞台裏、娼婦たちの生活など華やかで淫蕩に満ちた世界をゾラはこの小説で描いています。

欲望を「食べ物」に絶妙に象徴して描いた作品が『パリの胃袋』であるとするならば、『ナナ』はど直球で性的な欲望を描いた作品と言うことができるでしょう。

ゾラ得意の映画的な描写も健在で、読みやすいことこの上なしです。

世界文学屈指の名作に数えられる『ナナ』。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

愛の一ページブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『愛の一ページ』あらすじと感想~美しきパリの情景と許されぬ恋

「平凡な女の、生涯一度だけの情熱が、女の心理を緻密にたどるゾラの描写で、いま甦る!

夕暮のパリ、嵐のパリ、夜景のパリ、―心情をなぞるような都市の描写でも有名な、印象派絵画を思わせる悲恋の物語」

前作の『居酒屋』はあまりに強烈な作品だったため、ゾラ自身にも大きな精神的負担がのしかかることになりました。そこで心機一転して甘く叙情的な世界観を描き出そうとして生まれた作品がこちらになります。(それでもかなりの狂気、毒気が描かれていますが・・・)

ゾラブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラの代表作『居酒屋』あらすじと感想~パリの労働者と酒、暴力、貧困、堕落の必然的地獄道。

『居酒屋』は私がゾラにはまるきっかけとなった作品でした。

この作品は発表当初から圧倒的な反響を呼び、賛否両論飛び交う凄まじい状況になりました。パリの場末の悲惨な生活をここまでリアルに描いた作家はこれまでいませんでした。

ゾラの『居酒屋』はフランス文学界にセンセーションを起こし、この作品がきっかけでゾラは作家として確固たる地位を確立するのでありました。

ゾラ入門におすすめの作品です!

ウージェーヌ・ルーゴン閣下ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』あらすじと感想~政治家もつらいよ。パリの政治家の生態と駆け引き

主人公である大物政治家ウージェーヌが戦う場のなんと難しいことか。

あまりに複雑な人間関係、利害関係。

支援してくれる人間にどのように恩恵を施すか。

窮地に陥った時でも彼らに約束した恩恵を与えなければならない。でもできない。さあどうする!と常に彼は戦い続けています。

政治家は政治家で求められる資質がある。この小説を読んでそう思わせられました。

ムーレ神父のあやまちブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ムーレ神父のあやまち』あらすじと感想~厳格な神父と純粋な乙女との禁じられた恋と悲劇的結末。

この書は作者のゾラとロシアの文豪ツルゲーネフとのつながりによって前作の『プラッサンの征服』と同じくロシアでいち早く紹介され人気を博した書だったそうです。

今回は前回ほど気分が悪くなるようなものではありませんが、主人公セルジュの信じるキリスト教が生きながらにして「死んだもの」であり、人生を否定しているというゾラの主張を知ることとなりました。

ゾラの言うように、キリスト教は本当に死んでいるのか。宗教は単なる現実逃避なのか、とても考えさせられる作品でした。

プラッサンの征服ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『プラッサンの征服』あらすじと感想~宗教による洗脳、そして破滅を描いた先駆的作品

この物語は私の中で「ルーゴン・マッカール叢書」中、読んでいて最も辛い作品でした。

宗教者による洗脳がここまで露骨に書かれているのは読んでいて苦しいものがありました。

ですが辛くても目を反らしてはいけない真実がこの作品には描かれていると思います。この時代のヨーロッパにおいて宗教がどのように見られているのか。その大きな手がかりのひとつになったのではないかと私は思います。

とにかく凄まじい作品でした。