ゾラ

ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

エミール・ゾラの小説スタイル・自然主義文学とは~ゾラの何がすごいのかを考える

ある作家がどのようなグループに属しているのか、どのような傾向を持っているのかということを知るには〇〇主義、~~派という言葉がよく用いられます。

ですが、いかんせんこの言葉自体が難しくて余計ややこしくなるということがあったりはしませんでしょうか。

そんな中、ゾラは自分自身の言葉で自らの小説スタイルである「自然主義文学」を解説しています。それが非常にわかりやすかったのでこの記事ではゾラの言葉を参考にゾラの小説スタイルの特徴を考えていきます。

ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

僧侶が選ぶ!エミール・ゾラおすすめ作品7選!煩悩満載の刺激的な人間ドラマをあなたに

世の中の仕組みを知るにはゾラの作品は最高の教科書です。

この社会はどうやって成り立っているのか。人間はなぜ争うのか。人間はなぜ欲望に抗えないのか。他人の欲望をうまく利用する人間はどんな手を使うのかなどなど、挙げようと思えばきりがないほど、ゾラはたくさんのことを教えてくれます。

そして何より、とにかく面白い!私はこれまでたくさんの作家の作品を読んできましたが、ゾラはその中でも特におすすめしたい作家です!

この記事では名著揃いのゾラ作品の中でも厳選した7作品を紹介していきます。

パスカル博士ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『パスカル博士』あらすじと感想~ゾラ思想の総決算!ゾラは宗教や科学、人間に何を思うのか 

24年の間、ほぼ1年に1作のペースで長編小説を20巻も書き続けたゾラ。

1冊1冊の重みを考えると、まさしく異常とも言えるエネルギーでゾラは執筆し続けていたのでありました。

その集大成がこの『パスカル博士』であり、「ルーゴン・マッカール叢書」の締めくくりとしてゾラの思想が最もはっきりと見える作品となっています。

この作品は20作ある叢書の中でも私の中でもベスト3に入る作品です。叢書ラストを飾るこの作品も名著中の名著でした!

壊滅ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『壊滅』あらすじと感想~フランス第二帝政を崩壊させた1870年普仏戦争を見事に活写! 戦争文学の傑作!

今作は日本ではあまり知られてはいませんが戦争文学の金字塔と評価されている作品です。

ゾラ得意の五感を刺激する文章はまるで自分が間近で戦争を見ているかのような感覚にさせます。

ゾラはやはり芸術家です。読む者に恐るべきインスピレーション、イメージ、ショックを与えます。彼は単に世の中の相を写し取っただけではなく、それを芸術に昇華させています。

『壊滅』は叢書のクライマックスにふさわしい重厚な作品でした。戦争文学の傑作、金字塔という名声は疑いようもありません。素晴らしい作品でした。

金ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『金』あらすじと感想~19世紀パリで繰り広げられたロスチャイルドVSパリ新興銀行の金融戦争!

『獲物の分け前』で主に土地投機によって巨額の金を稼いだ主人公のサッカールでしたが、今作では巨大銀行を設立することで新たな戦いに身を投じていく様子が描かれています。サッカールのライバルのユダヤ人はあのロスチャイルド家がモデルになっています。フランス第二帝政期では実際に新興銀行とロスチャイルド銀行との金融戦争が勃発していました。ゾラはこうした事実を丹念に取材し、この作品に落とし込んでいます。

獣人ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『獣人』あらすじと感想~『罪と罰』にインスパイアされたゾラの鉄道サスペンス!殺人は理性か本能か!

理性で殺したラスコーリニコフ、本能で殺したジャック。

この二人の主人公の対比はドストエフスキーとゾラの人間観の違いを最も明確に示しているのではないでしょうか。

『罪と罰』にはまった人ならぜひともこちらの作品も読んで頂けたらなと思います。

バルザックの『ゴリオ爺さん』(以下の記事参照)と共におすすめしたい一冊です。

夢想ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『夢想』あらすじと感想~ゾラの描くファンタスティックな夢想と少女の恋。ゾラらしからぬ作風に驚きです

正直に申しまして、この作品は「ルーゴン=マッカール叢書」20巻中、読んでいて最も困惑する作品でした。

と、言いますのも、アンジェリックの夢想があまりにエキセントリックであり、しかもその夢想に沿う形で本当に王子様が現れて恋に落ち、さらにさらに王子様が駆け落ちまで申し込んでくるという、ゾラらしからぬファンタジー要素があまりに多い筋書きだったからなのです。

私にとってよくも悪くもこの作品は不思議なインパクトを与える作品でした。

大地ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『大地』あらすじと感想~農村の陰鬱な世界をありのままに書きすぎて物議を呼んだ問題作

『大地』はフランスの地方農民の生活を描いた作品です。そしてこれまで見てきた作品からわかりますように、フランスは急速な経済発展を迎え、『ボヌール・デ・ダム百貨店』で描かれたように人々のライフスタイルが変わっていく時代でした。

この小説は読んでいて辛かったです。あまりの生々しさ、そして悲惨さ、救いのなさに何度ため息をつかされたことか…

ゾラはそれだけ農村が抱える問題を真摯に、ストレートに表現したかったということなのでしょう。名作と言われるだけの価値は十分すぎるほどあると思います。

制作ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『制作』あらすじと感想~天才画家の生みの苦しみと狂気!印象派を知るならこの1冊!

この物語はゾラの自伝的な小説でもあります。主人公の画家クロードと親友の小説家サンドーズの関係はまさしく印象派画家セザンヌとゾラの関係を彷彿させます。

セザンヌと言えば印象派の巨匠です。なんとゾラは彼と15歳の時から学校の同級生で、パリに出てからも互いに深い交流を持ち続けていたのです。印象派の発展のためにゾラは美術評論を数多く書き、ゾラ自身も天才画家セザンヌから多くのことを学んでいたのでありました。いわば二人は芸術界を切り開く盟友だったのです。

芸術家の生みの苦しみを知れる名著です!