F・シャムー『ヘレニズム文明』~古代ローマや仏教とも繋がるヘレニズム文明とは何かを知るのにおすすめな解説書!

なぜ私たちは『ミロのビーナス』や『サモトラケのニケ』にこんなにも心惹かれるのか。そこにはヘレニズム文明のコスモポリタン的性格があったのです。

ギリシア文明、ヘレニズム文明を学ぶと「歴史と文化」の大きな流れを知ることができます。私達が生きる現代社会の土壌を作ったのがこれらの文明です。そのことを学ぶことは現代を生きる私たちにとっても大きな意味があるのではないでしょうか。

前回紹介した『ギリシア文明』とセットで読むことを強くおすすめします。ものすごく面白いです。これは名著です。自信を持っておすすめできます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

F・シャムー『ギリシア文明』~ローマ帝国に巨大な影響を与えたヨーロッパ文明の源泉を学ぶのにおすすめの解説書!

この作品は古代ギリシアを様々な視点から総合的に見ていけるのでローマとギリシアのつながりを知りたかった私にとって非常にありがたいものがありました。古代ローマに興味のある方にもぜひおすすめしたい作品です。

実際にこの本に何が書かれているのかということまでは盛りだくさん過ぎてこの記事では紹介しきれませんが、古代ギリシアの芸術について書かれた箇所はまさに目から鱗でした。

なぜ古代ギリシア芸術はこんなにも素晴らしいのか。世界中たくさんの文明がある中でなぜギリシアが圧倒的美を生み出すことができたのか。これは面白かったです。鳥肌ものでした。

『Pen BOOKS ルネサンスとは何か』~フィレンツェやベネチアなど、ルネサンスの名画を幅広く学ぶのにおすすめの入門書

ルネサンスというとまず思い浮かぶのはフィレンツェですが、いかんせん芸術家の数が多すぎる!ルネサンスといえばビッグネームの名はすぐに浮かんでくるものの、他にもたくさんの芸術家がいます。正直、あまりに数が多すぎてどう見ていけばいいのか、誰がどんな流れで作品を作ったのか混乱してしまいます。

そんなややこしいルネサンス美術ではありますが、この『PenBOOKS ルネサンスとは何か』では歴史の流れに沿ってそれぞれの名画をわかりやすく解説してくれます。図版も非常に充実していますのでビジュアル的にも非常にイメージしやすいです。

『Pen BOOKS 美の起源、古代ギリシャ・ローマ』~ヨーロッパ芸術の源流を概観するのにおすすめの入門書

私はここ一か月半ほどローマ帝国について学んでいます。そんな私にとって古代ギリシャ、ローマ美術について概観できるこの本は非常にありがたいものがありました。

この本はとにかく写真が満載で、ビジュアル的に非常にわかりやすい作品となっています。

古代ギリシャやローマの歴史の展開もざっくりとではありますが解説されますし、時代背景や当時の人々の生活まで学ぶことができます。

これを読めば古代ギリシャ、ローマ美術が身近に感じられます。そして実物を観たくなってきます。

入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。

マルクス・アウレーリウス『自省録』~古代ローマのストア派哲人皇帝による人生訓。名言の宝庫!

宇宙規模で世界を捉え、それに対置して自らが「今、ここ」で何をしているのかを問いかける圧倒的なスケール!

あまりに巨大な人間観に私は度肝を抜かれました。これが古代ローマの哲人皇帝です。

今から1900年以上も前に、これほどの偉人がいたのです。

そしてこの『自省録』を読めば気づくことになるのですが、この作品、実はものすごく原始仏教の思想に近いのです。

僧侶である私にとって古代ローマの哲人皇帝とブッダのつながりには非常に興味深いものがあります。

そんなストア哲学と仏教との繋がりを考えながら読むのはとても刺激的な体験になりました。

エピクテトス『人生談義』~本当の自由とは。奴隷出身のストア派哲学者による驚異の人生論。清沢満之とのつながりも

エピクテトスは古代ローマのストア派哲学者で、奴隷出身という驚きの出自を持つ人物です。彼の思想は後のローマ皇帝マルクス・アウレリウスにも大きな影響を与えたことでも知られています。

『人生談義』の中で有名なのはやはり「君は私の足を縛るだろう。だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない」という言葉でしょう。エピクテトスはこの作品で自由とは何かについて述べていきます。奴隷という最も自由のない人間だったエピクテトスが一体何を語るのか。これは非常に興味深かったです。

セネカ『生の短さについて』~時間の浪費を戒め、今を生きよと述べるローマのストア派哲学者の人生哲学

セネカは一貫して「今を生きよ」と述べます。そして自分の外のことに時間を奪われてはならないと主張します。

時間を浪費している場合ではない。あなたはあなたの人生をどう生きるのかとセネカは問いかけてきます。

この作品を読んで感じたのはセネカはブッダなのかというくらい、仏教的な要素があるという点でした。教えそのものだけでなく、ひとりひとりの読者に問いかけてくるかのような文体も似ています。

ローマのストア派哲学と仏教との類似性というのは私としても非常に興味深いものがありました。

中野孝次『ローマの哲人 セネカの言葉』~セネカ入門におすすめ!暴君ネロの教師にして後に自殺させられたストア派の哲学者とは

セネカはローマ帝国を代表する哲学者であの暴君ネロの教師を務めていたという驚きの経歴の持ち主です。

意外なことにあの暴君ネロも皇帝となってすぐの5年間は善政を行い、良き君主としてローマ帝国を治めていたのでした。その善政の背後にセネカの教育があったと言われています。

セネカは『論語』や仏教とも共通するような思想の持ち主で、これは僧侶である私にとっても非常に興味深いものがありました。

この作品はローマの偉大な哲学者、人生の先達とも言えるセネカの入門書としてぜひおすすめしたい作品となっています。

ルクレーティウス『物の本質について』あらすじと感想~古代ローマのエピクロス派哲学者による驚異の自然科学論!

ルクレーティウスは古代ローマのエピクロス派の哲学者です。同時代人にはあのカエサル(前100-44)やキケロ(前106-43)がいます。

私はこの作品を読み衝撃を受けました。

「2000年以上も前にすでにこんなことを言っていた人がいたのか!」とそれこそ度肝を抜かれました。

本紹介で「エピクロス哲学の原子論的自然観を詳述した科学的啓蒙書として現在無二の史料的価値をもつ作品である」と述べられているように、この作品は科学的思考が書かれた作品です。

恐るべき人物が古代ローマにいました。

古代ローマの文化水準の高さに改めて驚いた読書になりました。

オウィディウス『変身物語』あらすじと感想~ヨーロッパ芸術に巨大な影響を与えた古代ギリシア・ローマ神話の短編集!

ウェルギリウスとオウィディウスという二人のローマ詩人の存在は後のヨーロッパ文化に凄まじい影響を与えることになりました。まさにヨーロッパ芸術の源泉たる二人です。その二人の作品を読むことができてとても興味深い体験になりました。

これらを読めばヨーロッパの絵画や彫刻、文学と接した時に「あ、これか!」となる機会が増えること間違いなしです。すでにわたしはそんな場面にどんどん遭遇しています。これは面白いです。
この記事ではそんな『変身物語』とベルニーニ、ドストエフスキーとのつながりもお話ししていきます。