シェイクスピア『お気に召すまま』あらすじと感想~「この世はすべて舞台」の名言で有名な名作!才気煥発のロザリンドの大活躍!

『リア王』や『マクベス』などの悲劇群は読んでいて正直重いです。その重さがそれらの最大の魅力でもあるのですが今作『お気に召すまま』や『夏の夜の夢』、『あらし』は非常に読みやすく明るい作品です。軽やかさがあります。

シェイクスピアの含蓄溢れる名言を味わうもよし、ストーリーの軽やかさを堪能するもよし、それこそ「お気に召すまま」です。

気軽に親しむことができるのがこの作品のありがたいところではないかと私は思います。

ぜひおすすめしたい作品です。

V・ハヴェル『謁見』あらすじと感想~「何もかもクソくらえ」な世の中で私達は何をすべきかを問う不条理劇

ハヴェルの作品はプラハの春以後の抑圧体制を痛烈に批判していますが、それはこの時代だけでなく現代にも通ずる批判です。人間はいつどこであってもこうなりうる。そうならないために私たちは何をすべきなのかということを問いかけてきます。

これもまたものすごい作品でした。ハヴェル作品はどの作品も強烈です。ぜひ日本でももっと知られてほしいなと心の底から思います。

ぜひぜひおすすめしたい作品です。

V・ハヴェル『通達』あらすじと感想~官僚組織と人工言語をテーマに人間性の喪失を描いた傑作不条理劇!

「とんでもないものを見てしまった・・・!」

これが私の感じた一番の印象です。

もしこの戯曲を生で観たらどんなことになってしまうのか想像もつきません。

これはかなりの衝撃作でした。ぜひおすすめしたい作品です。「とてつもない作品」ですが阿部賢一先生の解説もありますのでその辺はご安心ください。楽しく読むことができる素晴らしい解説です。ぜひ解説を読んだ上でこの作品を楽しまれることをおすすめします。

レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』感想~教養という切り口から見る現代日本の闇。インフルエンサーの人気のメカニズムに切り込む刺激的作品

ファストフードのごとく教養を摂取しようとする現代人の闇とは

Twitterのタイムラインに流れてきてすごく気になってた本!

この本は単に「ひろゆき、中田敦彦、カズレーザー、DaiGo、前澤友作、堀江貴文」をはじめとしたインフルエンサーを批判したいがために書かれた作品ではありません。

それよりも、そのようなインフルエンサーになぜ私たちは魅力を感じてしまうのかという現代社会のメカニズムを丁寧に追っていく作品となっています。

読書好きの私にとって本当にありがたい一冊になりました。おすすめです!

J・グラスコック『メガネの歴史』~眼鏡はいつから始まった?時代背景や文化も学べる刺激的な1冊!

この作品は単にメガネの歴史をたどるだけでなく、文化、特にファッションという切り口からメガネの変遷を見ていくユニークな作品となっています。

1267年に歴史上初めてメガネについての記述が現れてから今や700年以上もの時が過ぎています。

その時代その時代でどんなメガネが求められていたのか、そしてそのメガネを着用することにはどんな社会的意味があるのかという考察は非常に興味深かったです。

知っているようで意外と知らないメガネの歴史を知れるこの本はとても刺激的でした。

シェイクスピア『アントニーとクレオパトラ』あらすじと感想~シーザー亡き後のローマ帝国が舞台!愛に溺れた男の栄枯盛衰の物語

今作『アントニーとクレオパトラ』は以前紹介した『ジュリアス・シーザー』の続編にあたる作品です。

この作品は『ジュリアス・シーザー』からの流れで読んでいくと、ローマ帝国の壮大な栄枯盛衰を感じられて非常に面白い作品となっています。

この作品だけを単独で読むのはかなり厳しいとは思いますが『ジュリアス・シーザー』を読んだ後にこの作品を読めばその面白さを感じることができるのではないかと思います。

ぜひ『ジュリアス・シーザー』とセットで読んで頂きたい名作です。

シェイクスピア『あらし(テンペスト)』あらすじと感想~『リア王』と対をなす大団円!爽やかな読み心地が魅力の傑作劇!

『あらし』には『リア王』の悲劇がその背後に流れています。

プロスペローの境遇は娘たちに裏切られたリア王や息子に裏切られたグロスター伯を彷彿とさせます。

『リア王』ではそんな彼らが救いようのない絶望に叩き込まれて物語は終わるのですが、『あらし』ではなんと、プロスペローはその地位を回復し、さらには敵とまで和解するという離れ業までやってのけます。

この作品はシェイクスピアが単独で書いた最後の作品になります。自身の演劇人生のフィナーレにこうした物語を持ってきたというのも何とも味わい深いですよね。

A・バルベーロ『近世ヨーロッパ軍事史 ルネッサンスからナポレオンまで』~マキャヴェリ時代から近代戦争への流れを知るのにおすすめ

この本はコンパクトでありながら深い考察もなされた優れた作品となっています。軍事史といいますと、固有名詞や専門用語がずらりと並んで堅苦しく難しいというイメージがあるかもしれませんがこの本は全く違います。

当時の時代背景や戦争の実態を物語風にわかりやすく語ってくれるこの本は非常に読みやすいです。

「中世における戦争ってこういうものだったのか」ときっと驚くことになるでしょう。とても刺激的で面白い作品でした。

当時の時代背景やナポレオンの特徴まで知れるこの作品はぜひぜひおすすめしたい逸品となっています

マキャヴェッリ『君主論』あらすじと感想~ダ・ヴィンチと同時代のフィレンツェ人による政治論

マキャヴェッリの『君主論』といえばマキャヴェリズムという言葉があるように、厳しい現実の中で勝ち抜くためには冷酷無比、権謀術数、なんでもござれの現実主義的なものというイメージがどうしても先行してしまいます。

たしかに『君主論』の中でそうしたことが語られるのは事実です。

ですが、「マキャヴェッリがなぜそのようなことを述べなければならなかったのか」という背景は見過ごされがちです。

当時のイタリアの政治状況はかなり特殊な状況です。

そのことについてこの記事では考えていきます

サマセット・モーム『昔も今も』あらすじと感想~マキャヴェリの『君主論』のモデル、チェーザレ・ボルジアを知るのにおすすめ!

2人の天才、マキャヴェリとチェーザレ・ボルジアが織りなす濃密な人間ドラマ!そして彼らが生きたイタリアの時代背景も知れます。ドラマチックなストーリー展開の中に『君主論』を思わせる名言が出てきたり、人間臭いマキャヴェリの姿も知れたりと非常に盛りだくさんな作品となっています。

『昔も今も』はそれ自体でも極上の歴史小説ですが、『君主論』の手引書としてもぜひおすすめしたいです。非常に面白い作品でした。ルネッサンスの時代背景を知る上でもとても参考になります。