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年表で見るマルクスとエンゲルスの生涯~二人の波乱万丈の人生と共同事業とは

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年表で見るマルクスとエンゲルスの生涯~二人の波乱万丈の人生と共同事業とは

カール・マルクス(1818-1883)Wikipediaより
フリードリヒ・エンゲルス(1820-1895)Wikipediaより

これより後、マルクスとエンゲルスについての伝記をベースに彼らの人生を見ていくことになりますが、今回の記事ではその生涯をまずは年表でざっくりと見ていきたいと思います。

マルクスとエンゲルスは分けて語られることも多いですが、彼らの伝記を読んで感じたのは、二人の人生がいかに重なり合っているかということでした。

ですので、二人の辿った生涯を別々のものとして見るのではなく、この記事では一つの年表で記していきたいと思います。

今回私が参考にしたのは藤原書店、ジャック・アタリ著、的場昭弘訳『世界精神マルクス』と大月書店、ハインリヒ・ゲムコー責任編集、土屋保男、松本洋子訳『フリードリヒ・エンゲルス 伝記』、筑摩書房、トリストラム・ハント著、東郷えりか訳『エンゲルス マルクスに将軍と呼ばれた男』です。

今回の年表にはマルクス、エンゲルスのこと以外にも当時の大きな出来事や、文学なども記載していきます。これらは上の伝記とは別に私が個人的に付け加えたものですのでご理解いただけますと幸いです。

では、早速始めていきましょう。

マルクス・エンゲルス年表

1818年 カール・マルクス、ドイツのトリーアにてユダヤ人弁護士ハインリヒ・マルクスとその妻ヘンリエッテの子として生まれる。ツルゲーネフもこの年に生まれている。

1820年 フリードリヒ・エンゲルス、ドイツのバルメン(現在のヴッパータール)で綿紡績工場主フリードリヒ・エンゲルスとその妻エリーザベトの子として生れる

1821年 ドストエフスキー生まれる

1824年 マルクス、プロテスタントの洗礼を受ける

1828年 レフ・トルストイ生まれる

1830年 フランス七月革命。マルクス、フリードリヒ・ヴィルヘルム・ギムナジウムに入学

1834年 エンゲルス、エルバーフェルトギムナジウムに入学

1835年 マルクス、ボン大学に入学

1836年 マルクス、イェニー・フォン・ヴェストファーレンと婚約。10月にボン大学を辞めベルリン大学へ入学。ヘーゲルおよびヘーゲル左派の研究に没頭

1837年 エンゲルス、父により商人修行のため強制的にギムナジウムを退学させられる。大学進学をあきらめ、家業の見習いを始める。日本ではこの年、大塩平八郎の乱が起こる

1838年 マルクスの父死去。エンゲルス、商人の修行のためブレーメンへ赴く

1839年 エンゲルスが匿名で政治的論文『ヴッパータールだより』を発表し、41年まで寄稿を続ける

1841年 マルクス、学位論文を完成させイエナ大学に送付し学位を取得。
エンゲルス、3月にブレーメンからバルメンに帰る。9月には兵役に志願しベルリンに赴く。そこで兵営を抜け出し、ベルリン大学で講義を聴講。ヘーゲル、ヘーゲル左派を学ぶ

1842年 マルクス、5月に『ライン新聞』への寄稿を開始。10月、『ライン新聞』主筆に就任。ケルンに移住。11月『ライン新聞』編集部にてエンゲルスと初対面。
エンゲルス、4月より『ライン新聞』に寄稿開始。10月、兵役を終えベルリンからバルメンに帰る。11月、父の所有するイギリスマンチェスターの会社に商人修行のため赴く。エンゲルスはイギリスに1844年まで滞在。そこでイギリスの社会・政治事情、経済学、社会主義を学ぶ

1843年 マルクス、3月に『ライン新聞』主筆辞任。6月、イェニーと結婚。
エンゲルス、アイルランド出身の女性労働者メアリー・バーンズとの共同生活開始。イギリスの労働・政治運動「チャーティスト運動」と関わり始める。

1844年 マルクス、2月にアーノルド・ルーゲとともにパリで『独仏年誌』を発行。「ユダヤ人問題に寄せて」「ヘーゲル法哲学批判―序説」を寄稿。4月『経済学・哲学草稿』を執筆開始。5月長女イェニー誕生。
エンゲルス、8月にイギリスからの帰国の際にパリに10日ほど滞在。そこでマルクスと対面し生涯の友情が結ばれる。同月、マルクスと共に『聖家族』の執筆を計画。9月にバルメンに到着。そこから『イギリスにおける労働者階級の状態』を執筆する

1845年 マルクス、2月にパリから追放されブリュッセルに移住。『聖家族』出版。9月次女ラウラ誕生。11月、エンゲルスと共に『ドイツ・イデオロギー』の執筆開始。
エンゲルス、2月のバルメンでの政治演説をきっかけにバルメンでの立場悪化。4月マルクスを追いブリュッセルに移住。5月末、ライプツィヒで『イギリスにおける労働者階級の状態』を刊行。7月半ばから8月にかけてマルクスと共にロンドンとマンチェスターに研究旅行に行く

1846年 2月、マルクスとエンゲルス、2月にブリュッセルで「共産主義通信委員会」を設立。5月に『ドイツ・イデオロギー』が完成するも、発行所を見つけられず出版断念。8月、エンゲルスが「ブリュッセル共産主義通信委員会」の委任を受けてパリに移住

1847年 マルクス、2月に長男エトガー誕生。7月、『哲学の貧困』出版。12月に『賃労働と資本』を講演。

1848年 1月31日、エンゲルス、パリから追放されブリュッセルへ移住。2月22日、フランス二月革命勃発。2月24日ころ、ロンドンで『共産党宣言』が刊行される。3月、マルクスはベルギーから追放されパリに移住。パリで共産主義者同盟中央委員会が設立され、委員長に任命される。同じく3月末エンゲルスもパリに到着。4月、マルクスとエンゲルスはパリを去り、マインツを経由してケルンへ。5月、『新ライン新聞』刊行。

1849年 5月『新ライン新聞』刊行停止。マルクス、ケルン、フランクフルト・アム・マインを経てパリに赴くも、パリから追放され、8月にロンドン到着。10月次男ギドー誕生。
エンゲルス、5月に蜂起したエルバーフェルトに赴き、バリケード構築を指揮する。6月から7月、バーデン=プファルツ蜂起の戦いに参戦する。その後マルクスを追い11月にロンドン到着

1850年 マルクス、3月に『新ライン新聞 政治経済評論』刊行。9月共産主義者同盟中央委員会分裂。大英博物館の図書館に通い、経済学批判のための研究開始。11月次男ギドー死去
エンゲルス、11月にロンドンからマンチェスターへ。父の会社「エルメンとエンゲルス商会」で働く。以後ここで得た金をマルクスに送金し、マルクス一家はその金で生活する。マルクスとエンゲルスの膨大な往復書簡もこの頃から始まる。

1851年 マルクス、3月に三女フランチェスカ誕生。12月2日ルイ=ナポレオン(ナポレオン三世)によるクーデター

1852年 マルクス、4月三女フランチェスカ死去。5月、『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』発表

1853年 クリミア戦争勃発。ペリー、浦賀に来航

1855年 マルクス、1月に四女エレナ誕生。4月に長男エトガー死去

1857年 世界恐慌勃発。マルクス、後に『経済学批判要綱』および『経済学批判』「序説」と題される原稿を執筆

1859年 マルクス、6月に『経済学批判 第一分冊』を出版

1860年 3月、エンゲルスの父死去。12月、マルクス『フォークト氏』出版

1861年 アメリカ南北戦争

1862年 ユゴー『レ・ミゼラブル』出版

1863年 1月6日エンゲルスの愛人メアリー・バーンズ死去(正式な結婚は最後までしなかった)。同月22日ポーランド蜂起勃発。12月マルクスの母ヘンリエッテ死去

1864年 マルクス『資本論』のための原稿を執筆開始。9月、第一インターナショナル創立。
エンゲルス、7月に「エルメンとエンゲルス」商会の共同経営者になる

1865年 マルクス、6月に中央評議会にて『賃金、価格および利潤』の基になる講演。
レフ・トルストイ『戦争と平和』連載開始

1866年 普墺戦争。ドストエフスキー『罪と罰』

1867年 9月、『資本論』第一巻出版。以後も続巻のための執筆を継続。この年、渋沢栄一がフランス万博を訪ねる。江戸幕府の大政奉還

1869年 エンゲルス、6月に「エルメンとエンゲルス」商会の経営権を売却。以後その資金を利用して投資家として収入を得、マルクス家を支える

1870年 4月22日ウラジーミル・イリイチ・ウリヤーノフ(レーニン)誕生。7月、普仏戦争勃発。エンゲルス、9月にロンドンに移住。

1871年 マルクス、5月に総評議会の会議でパリ・コミューンについて演説、総評議会はマルクスの起草した呼びかけ『フランスの内乱』を承認

1872年 3月、『資本論』第一巻のロシア語版出版。9月、フランス語版出版

1875年 マルクス『ゴータ綱領批判』出版

1878年 エンゲルス『反デューリング論』出版。12月、スターリン誕生。

1880年 エンゲルス、『空想より科学へ』出版

1881年 1月、ドストエフスキー死去。12月、マルクスの妻イェニー死去

1883年 3月14日マルクス死去。ロンドンハイゲート墓地に葬られる。同年、ツルゲーネフ亡くなる。マルクスとツルゲーネフは同じ年に生まれ、同じ年に亡くなった

1884年 エンゲルス『家族、私有財産および国家の起源』出版

1885年 エンゲルスがマルクスの遺稿を整理して作った『資本論』第2巻、7月に出版

1887年 『資本論』第1巻の英訳がロンドンで刊行される

1894年 『資本論』第3巻出版。

1895年 8月5日エンゲルス、ロンドンで亡くなる。故人の希望により、イーストボーンの海に散骨

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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