トルストイ『人にはどれほどの土地がいるか』あらすじと感想~人間の欲望の果てしなさ、虚しさを語るトルストイの傑作民話

この作品は「ある村の百姓が、より大きな土地をもらえるという儲け話に乗っかり、次々と欲望を増大させていき、最後にはその欲望のゆえに命を落とす」という、筋書きとしてはかなりシンプルな物語です。

ですがそこは最強の芸術家トルストイ。彼の手にかかればそうしたシンプルなストーリーがとてつもなく劇的で奥深いものになります。

トルストイ民話の中で一番好きな作品はどれかと言われましたら私はこの作品を選びます。

ぜひぜひおすすめしたい作品です。

(60)マルクスはロシアでの共産主義革命についてどのように考えていたのだろうか

マルクス・エンゲルスの革命理論によれば資本主義が成熟し、経済が崩壊した後にプロレタリアート革命が起こるということだったのですが、1870年代にはそうした理論もあまり重要視しなくなっていたのでしょうか、資本主義が全く成熟していないロシアでプロレタリアート革命が起こるとエンゲルスは自信満々に述べます。これでは必ず通るであろう「歴史の法則」という概念そのものが成立しなくなっているように思えるのですがどうなのでしょうか。

そのことについてこの記事は見ていきます

(59)マルクス『ゴータ綱領批判』概要と宿敵ラッサールとの対決

マルクス・エンゲルスの強敵はバクーニンだけではありませんでした。

バクーニンは「マルクスの共産主義が独裁的な国家権威主義になることを見抜いていた」非常に危険な存在で、マルクス・エンゲルスが利用しようとしていたインターナショナルを消滅させた難敵でした。

今回紹介するラッサールもそれに劣らず彼らにとって厄介な敵なのでありました。

F・クレインス『ウィリアム・アダムス ―家康に愛された男・三浦按針』~初来日のオランダ船リーフデ号に乗ってきた英国人ウィリアム・アダムスの素顔とは

フェルメールをきっかけに東インド会社に興味を持った私でしたが、そこから日本の歴史とも繋がったということでこれは楽しい読書になりました。

ウィリアム・アダムスがオランダ船リーフデ号で日本に漂着したというのは後のオランダ東インド会社と幕府との貿易に非常に大きな影響を与えることになります。

フェルメールと東インド会社、そして江戸幕府。

この3つのつながりを考えながらフェルメール絵画を鑑賞する。これは何ともマニアックでありながら楽しい鑑賞スタイルでもあります

平川新『戦国日本と大航海時代』~なぜ日本はポルトガルや英蘭東インド会社の植民地にならなかったのか

16世紀から17世紀、スペイン、ポルトガルがアメリカやアジアの海を席巻していた中で新しく台頭してきたイギリス、オランダ。

この4強が日本を狙わなかったわけがありません。アジア諸国も続々と彼らに支配されていく中でなぜか日本だけは彼らに屈することがありませんでした。なぜこんなことが可能だったのでしょうか。それがこの本で語られます。正直、私はこの本を読んでものすごく驚きました。これまでの日本観が変わってしまうほどでした。

トルストイ『イワンのばかとそのふたりの兄弟』あらすじと感想~戦争反対、非暴力を素朴な民話に託して語るトルストイ

一般的には『イワンのばか』という名で有名なトルストイのこの作品ですが、正式には『イワンのばかとそのふたりの兄弟』が正式な名前となっています。

この作品にはトルストイ思想がこれでもかと詰まっています。しかもそれが素朴に、わかりやすく表現されています。非常に読みやすい作品です。

ロシアによるウクライナ侵攻で揺れる今だからこそ重要な作品だと思います。

トルストイ『わが信仰はいずれにありや』概要と感想~トルストイの真理探究とその結末にニーチェを感じる

私はトルストイのこの作品を読み始めてすぐ、うっすらとではありますがニーチェ的なものを感じました。

そしてそのうっすらとした予感は確信へと変わることなります。

トルストイはこの作品で教会を批判し、自身の信仰、思想を開陳していきます。

私はそれらトルストイの言葉に、自らの理性によって真理を掴み、それにより自己完成を目ざさんとするニーチェ的な感性を感じたのでありました。

(58)マルクスの共産主義が独裁的な国家権威主義になることを見抜いていたバクーニン

マルクス・エンゲルスの最強のライバル、バクーニン。

彼が単に人を惹きつけるだけの存在だったら、マルクス・エンゲルスの政治力にかかれば簡単に失脚させることはできたでしょう。敵をこき下ろし、誹謗中傷、政治的策略を使って孤立させることなど、これまで何度となくやってきたことです。

しかし、真の脅威はバクーニンがマルクス・エンゲルスの思想における決定的な弱点を見抜いていたことにありました。バクーニンは彼らの思想の行く先を正確に見抜いていたのです。その鋭さたるや驚愕するしかありません。

(57)マルクスの娘婿で『怠ける権利』の著者ポール・ラファルグと資産家エンゲルスの奇妙な関係とは

マルクスの娘婿ポール・ラファルグ。

彼は『怠ける権利』という本を執筆し、その作品で労働を拒絶し、高貴で神聖な怠ける権利を主張しています。そしてこの本はマルクス主義者に大きな影響を与えたことでも知られていますが、そのラファルグ本人がどのような生活をしていたかをこの記事では見ていきます。

フェルメールおすすめ解説書一覧~光の画家フェルメールの素晴らしき絵画世界を堪能するために

フェルメールといえば『真珠の首飾りの少女』や『牛乳を注ぐ女』で有名な17世紀オランダの画家ですよね。

今回の記事ではこれまで当ブログで紹介してきたフェルメールのおすすめ解説書をまとめてご紹介していきます。

どれも自信を持っておすすめできる非常に面白い本ばかりです。皆様のフェルメール鑑賞のお役に少しでも立てましたなら何よりでございます。