橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』~ニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ
橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』概要と感想~ショーペンハウアー、ニーチェのニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ! フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)…
橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』概要と感想~ショーペンハウアー、ニーチェのニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ! フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)…
著者の福田恆存はシェイクスピア作品の翻訳で有名で、私もいつもお世話になっています。私は新潮社版のシェイクスピアが好きで格好いいセリフや言葉遣いにいつも痺れています。
この本は1956年に初めて刊行され、今でも重版されている名著中の名著です。現代においてもまったく古さを感じません。
自分とは何か、個性とは何か、自由とは何か。
私たちの根源に迫るおすすめの1冊です。非常におすすめです!ぜひ手に取って頂ければなと思います。
今、世の中は「教養ブーム」と言えるかもしれません。
「ビジネスに効く教養」や「人生の役に立つ教養」をわかりやすく紹介する本や情報が大量に出回っています。
ですが、知識をたくさん得ることで自分が教養のある人間だと思い込み、他者を下に見るようになってはそれこそ本末転倒なことになってしまうのではないでしょうか。人としてあなたはどう生きるか、何をしているのか、その生き様が問われるのが教養なのではないかと感じました。
本書の中で個人的に驚きだったのがドストエフスキーとの関係です。他の参考書ではニーチェがドストエフスキーの後期作品を読んでいたかは不明だとされていたのですが、西尾氏によると『悪霊』や『白痴』の影響が『アンチクリスト』には明らかに反映されていて、資料的な裏付けもしっかりとなされているとのことでした。
『偶像の黄昏』、『アンチキリスト』、『この人を見よ』をもっと深く知りたい方にはこの本は非常に役に立つと思います。これらの作品に込められた意味や制作の背景がくっきりと見えてきます。
また、ニーチェの問題作『権力への意志』についての詳細な解説もこの本の魅力の一つです。『権力への意志』がどのように成立したのか、そしてその問題点はどこにあるのかということが詳細に語られます。
西尾幹二の『ニーチェ 第二部』では様々なニーチェの姿をもっともっと詳しく知ることができます。大学教授となったニーチェの生活、ワーグナーとの運命的な出会い、デビュー作『悲劇の誕生』の成立過程が詳細に語られます。今回の記事ではその一部を紹介しましたが、興味深い事実が満載です。
非常におすすめな1冊です。ニーチェに対する見方が変わるほどの作品です。ぜひ手に取って頂ければと思います。
なぜニーチェは難しいのか、人によって解釈が異なるのか 前回の記事では西尾幹二の『ニーチェ 第一部』をご紹介しましたが、今回はその本の中でも特に気になった箇所があったので皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 タイトルに…
この本ではかなり丁寧に当時の時代背景やニーチェの生活が振り返られていきます。
この本は全367ページとなかなかな分量ですが、この本ではニーチェが学者となる前の青年時代、1865年までのニーチェが書かれます。つまり、21歳までのニーチェを丸一冊かけてじっくりと見ていくことになります。
単にニーチェの生涯を学ぶだけでなくそこから私たちが何を思うのか、それを体感していく読書体験になりました。知的興奮を味わえる1冊です。とてもおすすめな作品です。
私はこれまでドストエフスキーを学ぶ過程でヨーロッパの歴史や文化を「文学の観点」から見てきました。
ですがこの本では「音楽という観点」から当時のヨーロッパを知ることができました。
よくよく考えてみれば本来、文学も音楽も切り離されるものではなく、互いに関連し合って存在するものです。一九世紀半ばのヨーロッパがどのような世界だったのかを音楽という側面から眺めることができたのは非常に大きな体験でした。
音楽に興味がある人だけでなく、文学やヨーロッパそのものに興味がある方にもぜひおすすめしたい作品です。
この本ではマルクス、ドストエフスキー、ニーチェについても言及されます。
ワーグナーと思想、文学、哲学の関係についても著者はお話ししてくれますので、様々なジャンルがつながり非常に興味深いです。
ワーグナーの生涯や特徴だけでなく、西洋文化の歴史も知ることができるのでとても面白い本です。クラシック音楽に疎い私でしたが、とてもわかりやすくて夢中になって読むことができました。
中学高校と音楽の授業に大苦戦していた私でしたがこの本はあっという間に読み終えてしまいました。こういう本が教科書だったらもっと音楽が好きだったのにと思ってしまいました(笑)
ニーチェは若い頃から音楽を愛好していましたが、ワーグナーとの決定的な出会いは1868年、ニーチェ24歳の年に訪れます。彼はワーグナーの代表曲「トリスタンとイゾルデ」と「マイスタージンガー」が演奏されるコンサートに足を運びました。
ワーグナーの音楽によって、全神経が痙攣し忘我恍惚の感情が止まない境地にニーチェは引きずり込まれてしまったのでした。理性の力が全く及ばない混沌。圧倒されるような感覚にニーチェは驚愕するのでした。ニーチェの思想は絶対的なものを求める戦いです。こうした絶対的なものを求めるニーチェの傾向とワーグナーの音楽ががっちりとはまったのでありました。ここからニーチェのデビュー作『悲劇の誕生』が生まれてきたのでした。