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僧侶ならではのローマおすすめ観光スポット15選!王道からマニアックな教会まで美の極致を味わい尽くす!

ローマおすすめ観光スポット
目次

ローマおすすめ観光スポット15選!王道からマニアックな教会まで美の極致を味わい尽くす!

この記事では私も大好きなローマのおすすめ観光スポットをご紹介していきます。

サン・ピエトロ大聖堂やコロッセオなどの有名どころだけではなく、観光客があまり訪れないマニアックな教会もこの記事ではご紹介していきます。

私とローマについては以下の「【ローマ旅行記】『劇場都市ローマの美~ドストエフスキーとベルニーニ巡礼』~古代ローマと美の殿堂ローマの魅力を紹介!」の記事でお話ししていますのでぜひこちらもご覧いただけましたら幸いです。

では、早速始めていきましょう。

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サン・ピエトロ大聖堂

もはや言わずもがなの王道中の王道です。

ローマに来てこの大聖堂を見ずしては帰れません。

ローマカトリックの総本山であり、ミケランジェロやベルニーニの想像を絶する芸術世界がここに展開されています。

ミケランジェロ作『ピエタ』

大聖堂内にあるミケランジェロの傑作『ピエタ』やベルニーニの『聖ロンギヌス』は必見です。私はこの『ピエタ』が世界中の全彫刻の中でも特に大好きで、私は毎回ここを訪れるたびに何十分も見惚れ続けています。

また、隣接するバチカン美術館ももちろん必見ですし、セットで見られるシスティーナ礼拝堂にはミケランジェロの『天地創造』や『最後の審判』も描かれています。

はっきり申しまして、一週間毎日通ってもまだまだ足りないくらいの見どころがあります。何度見ても飽きることのない傑作たち、そして信じられないくらい美しい圧倒的な空間・・・!

しかも時間や日にちによって姿を変えるのがサン・ピエトロ大聖堂でもあります。早朝のバチカンも夜のバチカンも実に素晴らしい!できればこの近辺のホテルに泊まり数日間ここだけに集中することをおすすめしたいです。

王道中の王道ですが絶対に外せない最高のおすすめスポットです。

以下、観光の参考にお読みいただければ幸いです。

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フォロ・ロマーノとコロッセオ

こちらもローマの王道中の王道。

古代ローマの栄枯盛衰を感じられる見事な遺跡です。

私は旅に出る前、古代ローマの栄枯盛衰の物語にどっぷりはまってしまい、様々な本を読むことになりました。

カエサル、キケロー、ブルータス、アウグストゥス、アントニウス、クレオパトラ、セネカ、カリギュラ、ネロ、トラヤヌス、ハドリアヌス、マルクス・アウレリウス・・・歴史に名を残す錚々たる人物達がここに生きていたのです。なんと浪漫溢れることでしょう!

やはりローマに来たらフォロ・ロマーノは必須です。ローマに来たならここに来なければなりません。

2000年前の驚異の繁栄とその崩壊は歴史ファンでなくともそのスケールの大きさに圧倒されることでしょう。

そして上の写真はフォロ・ロマーノを見下ろすパラティーノの丘から撮ったものですが、もう一か所おすすめの写真スポットがあります。

それがカンピドーリオというフォロ・ロマーノ正面の建物になります。

ちょうど赤丸で囲った辺りから撮ると右のような写真になります。

カンピドーリオからはフォロ・ロマーノを一望することができます。上から見下ろす形でフォロ・ロマーノをじっくり体感できる素晴らしいスポットです。ローマ研究者の石鍋真澄氏が「古代ローマの遺跡見学はこのカンピドーリオの丘に立つことから始めたらよい」と述べるのもよくわかります。ここに立つと期待感が高まります。私もこの数日後にこのフォロ・ロマーノの入場を予約していたのですが、「自分がこれから古代ローマの世界に入っていくのだ」というわくわくでいっぱいになりました。

またこのフォロ・ロマーノとセットで入場できるのがあの有名なコロッセオになります。

恐るべき急勾配で観客席が作られていて、ここには約5万人が収容可能だったそう。5万人・・・!東京ドームとほとんど変わらないではありませんか!それほどの大観衆が一堂に会し熱狂していたのであります。それが2000年も前の話・・・。もはや想像を絶するというほかありません。

このコロッセオについての面白いエピソードも以下の記事内で紹介していますのでご参照頂けたらと思います。

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パンテオン

古代ローマ建築の最高峰と称えられるパンテオン。西暦120~124年頃にハドリアヌス帝によって建造されたと考えられている神殿です。

パンテオンはナヴォーナ広場やスペイン広場などの観光の中心部から歩いて行ける距離にあります。ローマ観光のど真ん中と言ってもいいかもしれません。

広場から狭い路地を通り、建物の間を抜けていくといきなり現れるパンテオン。初めて見た時はそのいきなりぶりに驚いたものでした。

このパンテオンについて石鍋真澄氏は次のように述べています。

「もしもミケランジェロやべルニーニに、建築でもっとも大切なものは何か、とたずねたら、即座に比例だと答えたことだろう。比例こそはイタリア建築をイタリア建築たらしめているもの、つまりその魅力を解く鍵なのである。その比例の何たるかを理解するのに、このパンテオンにまさるところはない。(吉川弘文館、石鍋真澄『サンピエトロが立つかぎり 私のローマ案内』より)」

あのミケランジェロとベルニーニも褒め称えたパンテオン。ミケランジェロはサン・ピエトロ大聖堂のドームを設計し、ベルニーニは小パンテオンとも言える傑作サン・タンドレア・アル・クイリナーレ聖堂を生み出しています。

古代ローマ建築の頂点パンテオンはルネサンス、バロックにも絶大な影響を与えていたのでありました。

また、ここにはあの天才画家ラファエロの墓もありますので、ラファエロファンにはたまらない場所となっています。

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(8)ミケランジェロ・ベルニーニも絶賛したパンテオン!ローマ建築最高峰の美がここに! あのミケランジェロとベルニーニが褒め称えたパンテオン。 古代ローマ建築の頂点パンテオンはルネサンスにも絶大な影響を与えていました。 ローマ帝国の叡智の結晶たるパンテオン。西暦125年頃からずっとこの姿を保っているというのは驚異的としか言いようがありません。あのコロッセオですらもはや廃墟のような姿です。それに対してここは完全に現役のままです。ローマ帝国の技術力には唖然とするしかありません。

スペイン広場とバルカッチャの泉

『ローマの休日』でもお馴染み、スペイン広場。ここも王道中の王道ですが私もぜひおすすめしたい素晴らしい空間です。

この広場の中で特におすすめしたいのがこちらの『バルカッチャの噴水』です。

この噴水はローマバロックの王ベルニーニによって1629年に造られました。ベルニーニについてはこの後もお話ししていきますが、私はこの噴水が大好きです。ローマには数多くの噴水がありますがその中でもこの『バルカッチャの噴水』はピカイチだと思います。

夜のバルカッチャもたまりません。ちょろちょろ流れる水の動きと音が実に心地よいです。がやがやしたスペイン広場なのにこの噴水に意識を傾けると不思議と心が安らぎます。

私はこの噴水が大好きでローマ滞在中何度となくここを訪れました。一見地味で派手さもないこの『バルカッチャ』でありますがベルニーニ芸術の真髄が現れています。豪華で華やかなだけがローマ芸術ではありません。

ローマの美しさ、開放感を味わうにはこの広場は最高です。特にこの『バルカッチャの噴水』はぜひおすすめしたいです。この噴水が地理上の不利を芸術に転化した最たる例だと知れば、この噴水の見え方も変わってくるのではないでしょうか。詳しくは以下の記事で解説していますのでぜひご参照ください。

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ボルゲーゼ美術館

ここはローマバロック芸術の王ベルニーニのパトロンとなったシピオーネ・ボルケーゼのコレクションが展示されたローマ有数の美術館。

シピオーネ・ボルゲーゼ(1577-1633)Wikipediaより

ここにはベルニーニの初期作品や数々のカラヴァッジョ作品が展示されています。人気の美術館なので早めに予約しないと入場すらできなくなるので注意したいところです。

この美術館の中でも特におすすめは上の写真にありますベルニーニの『プロセルピナの略奪』(左)

『アポロとダフネ』(右)です。若きベルニーニの超絶技巧が炸裂した天才的な作品です。見れば確実に驚くと思います。私も度肝を抜かれました。

もちろん、カラヴァッジョ巡礼にも欠かせない非常に重要な美術館ともなっています。この美術館も日程の中に組み込む価値が間違いなくあります。中心部から少し離れているのが難点ですが、公園をのんびり散歩しながら時を過ごすというのも非常に贅沢な時間です。ぜひこの美術館もおすすめしたいです。

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サンタ・チェチリア・イン・トラステヴェレ聖堂の聖セシリア像

ここまではローマ観光の王道中の王道をご紹介してきましたが、ここからはツアーなどのパッケージ旅行ではなかなか紹介されないながらも私がぜひおすすめしたい素晴らしい教会たちをご紹介していきます。

まず最初にご紹介するのがトラステヴェレ地区に位置する由緒ある教会、サンタ・チェチリア・イン・トラステヴェレ教会です。

ここの教会がおすすめなのは、ここに「聖セシリア」という素晴らしい彫刻が安置されているからです。

聖セシリア(サンタ・チェチリア)は二世紀頃のローマ帝国の殉教者で、音楽家と盲人の守護聖人として有名。処刑された際に受けた首の傷がこの像にも残されています。

この像自体は1600年にステファノ・マデルノによって制作されました。1599年に彼女の墓が開けられた際、遺体が元のままの姿で残っていたため、ローマ中が「奇跡」として沸いたとされています。そしてマデルノは「そこで見た聖セシリアの姿そのままを彫刻にした」と言葉に残しています。

私が訪れたのは夕暮れ時でしたのでほとんど誰も聖堂内にはいませんでした。何という幸運!

薄暗い聖堂内は荘厳そのもの。しーんと静まり返った堂内。なんと美しい・・・!

そしてその中央祭壇の下部に私の求めた『聖セシリアの殉教』が安置されていました。こういう構造の教会はほとんど見たことがありません。

今この写真を見返してみてもこの彫刻に並々ならぬものを感じます。

ローマにはベルニーニやミケランジェロなどが遺した優れた彫刻が数多あります。ですが昨年のローマ滞在で私が最も衝撃を受けたのはこの『聖セシリアの殉教』であったことは間違いありません。時間の都合上一度しかこの聖堂を訪れることができなかったのが心残りで仕方がありません。もう一度でいいからこの像を見たいと、この記事を書いている今も胸が苦しくなります。

なぜここまでこの像に夢中になったかはうまく説明できません。しかしこの像の持つ圧倒的な力に私は文字通りすっかり打ちのめされてしまいました。それほどこの像は圧倒的でした。

ぜひこの像を皆様にもおすすめしたいです。

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ベルニーニの傑作『聖女テレジアの法悦』があるサンタ・マリア・デㇽラ・ヴィットーリア教会

『聖テレジアの法悦』があるサンタ・マリア・デㇽラ・ヴィットーリア教会はテルミニ駅から近いエリアにあります。私はテルミニ駅付近に宿を取っていたのでそこから歩いて向かいましたが、地下鉄ですとRepubblica駅が近くて便利です。

ここから私の大好きなベルニーニに関する教会を紹介していくことになるのですが、残念ながら日本ではベルニーニの知名度はそこまで高くはありません。

ベルニーニ(1598-1680)Wikipediaより

ベルニーニといえば何と言ってもサン・ピエトロ大聖堂にあるこちらの作品が有名です。

バルダッキーノ(手前)とカテドラ・ペトリ(後方) 

初めて見た時、その独特な姿に言葉を失ってしまうほどの衝撃を受けたバルダッキーノ。

そしてそのバルダッキーノの先にはカテドラ・ペトリというこれまたベルニーニの傑作が配置されています。

そして「ミケランジェロとベルニーニが設計したサン・ピエトロ大聖堂の美の秘密を解説 イタリア・バチカン編⑥」の記事でもお話したのですが、ベルニーニはこの大聖堂内の装飾やバチカン広場の設計も担当しています。

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なぜバチカンやローマはこんなにも美しいのか、それはベルニーニという偉大な天才がいたからこそなのでした。

ですがそのことがあまり知られていない・・・。

石鍋真澄氏が「これだけ多くの人がローマを訪れ、その魅力を感じながら、その魅力の本体や創造者について知らずにいるのは、いかにも残念に思われてならない。」と述べるのはもっともです。ですが逆に言えばベルニーニについて知ればもっともっとローマが楽しくなるのは間違いありません。現に私は昨年のローマが楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。ローマはこんなにも奥深い所だったのかと驚嘆せずにはいられませんでした。

そんなベルニーニの傑作彫刻がこの『聖女テレジアの法悦』になります。

天使と聖テレジアのこの表情・・・!そしてベルニーニ得意の衣襞表現。自然ではありえない衣の波打ちはまさに神の神秘を体現しています。

上から差し込む光は法悦する聖テレジアの顔を照らします。そして下を向いている天使の顔はやや暗くなりますがそれも素晴らしい演出です。光と影の演出効果を隅々まで計算したベルニーニ。これはもはや現代の演劇における照明技術にも匹敵するのではないでしょうか。

それにしても素晴らしい・・・!この彫刻がバロックの最高傑作と言われるのがよくわかります。

私はローマ滞在中何度もこの教会を訪れました。何度観ても感嘆してしまいます。電気もライトもない時代にこれほど完璧に光を操ったというのは衝撃的としか言いようがありません。ベルニーニ恐るべしです。

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サンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂

サン・タンドレア・アル・クイリナーレ聖堂はテルミニ駅からも歩いて行ける距離。私もテルミニ駅近くに宿を取っていたのでこの聖堂へは歩いて通っていました。

ベルニーニは横長の土地という悪条件の中この聖堂を設計しました。縦長や正方形の土地ならば設計はしやすいです。普通ならば設計に詰まってしまうこの不利な状況ではありましたがベルニーニは一味違いました。この男は逆境になればなるほど燃え上がる男だったのです。

そして完成したのがこのベルニーニのパンテオンたる堂々たる建築!この作品は彼自身が最も愛した建築だったと言われています。

現在ではここが結婚式で人気だというのにも驚きです。こんな素晴らしい聖堂で結婚式を挙げられるなんてあまりに羨ましい・・・!

私もこの聖堂に入った瞬間息を呑んでしまいました。「何だここは・・・!?」と度肝を抜かれてしまったのです。そして思わず「パンテオンだ・・・」と漏らさずにはいられませんでした。

色彩からその形状までパンテオンそっくり。ですがよくよく考えてみて驚愕。パンテオンは完全な円形ですが、この聖堂は楕円形です。であるにもかかわらず楕円形であることすら忘れてしまう完璧な調和がここにはあります。

私が訪れたのは11月末から12月初旬で、日も暮れるのもとても早い時期です。日の暮れた時間帯にも私はこの聖堂を訪れました。

夕暮れ時の教会はなぜかほとんど人がいません。この素晴らしい空間をほぼ独り占めです。静寂の中ベルニーニ自身も愛したこの教会を心ゆくまで味わうことができます。

ベルニーニも誰もいないこの教会に立ち、自らの心を慰めていたのです。そんな光景を想像しながらゆっくりと時を過ごします。

ベルニーニは横長の土地しかないという悪条件を克服しこの聖堂を設計しました。そのベルニーニの心意気に私はぐっと来てしまうのです。

私はこの聖堂に一瞬で魅了され、ローマ滞在中4度ここを訪れました。その度にベルニーニのパンテオンたるこの聖堂の美しさ、完全なバランスに驚嘆していました。

サンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂はサン・ピエトロ大聖堂と並んでローマで最も好きな教会です。日本ではあまり知られていませんがぜひぜひおすすめしたい傑作建築です。

テルミニ駅や地下鉄Barberini駅からも近くアクセスも容易ですのでぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂

このひとつ前でベルニーニの傑作建築サンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂を紹介しましたが、実はその聖堂から150メートルほどの距離にベルニーニのライバル、ボッロミーニの傑作建築があります。

私もベルニーニのサンタンドレア・アル・クイリナーレとセットでこの聖堂を拝観しました。

ボッロミーニ(1599-1667)Wikipediaより

ボッロミーニについては「(26)ベルニーニの挫折と失脚~パトロンウルバヌス八世の死と鬼才ボッロミーニの台頭」の記事でお話ししましたが、彼はベルニーニとは真逆の性格、作風の持ち主でベルニーニ失脚の折には激しいバトルを演じた男でもあります。ですがその才能は紛れもなく突出しており、鬼才というにふさわしい独創性に溢れた建築家でした。そんなボッロミーニの傑作とベルニーニの傑作がほぼ隣同士に立っているというのは奇跡というほかありません。

私もこの聖堂に入った瞬間度肝を抜かれました。ベルニーニのサンタンドレア・アル・クイリナーレに入った時もその素晴らしさに衝撃を受けましたがここも全く負けていません。実に素晴らしい教会です。

こちらがドーム天井部分。

私もこのドーム部分の装飾には言葉を失ってしまいました。この予想もできない曲線!白と黒のシャープな色彩で表現された曲線と直線の絡み合いが私を圧倒します。

そしてそこに散りばめられた装飾の美しさたるや・・・!

正直、インパクトという面ではベルニーニのサンタンドレア・アル・クイリナーレを超えています。何かよくわからないがものすごいパンチ力で一撃必殺されるような感覚。それがこの聖堂です。

ベルニーニのサンタンドレア・アル・クイリナーレとボッロミーニのサンタンドレア・アッレ・クワトロ・フォンターネ、どちらかを選べと言われても正直私にはできません。どちらも圧倒的すぎます。

そもそも二人は正反対と言われるように、この両建築はジャンルが違い過ぎて比べることもできません。こうなったらもうあとは「好み」の問題です。しかしそうであっても私がどっちの方が好きだとは言えません。選べません。どっちも好きすぎます。この両聖堂はローマのハイライトです。ローマの偉大なる天才の競演をぜひ皆さんも味わってみてはいかがでしょうか。どちらもテルミニ駅から近くアクセスも容易です。他にもメトロを用いて近くの駅まで行くこともできます。ぜひここを訪れることをお勧めします。

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サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会『福者ルドヴィカ・アントーニ』

この教会はコロッセオやスペイン広場があるエリアから少し離れたトラステヴェレ地区にあります。そのため少しアクセスがしにくいのが難点。

ですがこの近辺には先ほど紹介した『聖セシリアの殉教』で有名なサンタ・チェチリア・イン・トラステヴェレ聖堂や後に紹介するライモンディ礼拝堂もあるのでこれらを一気に見学するのがおすすめです。

そしてこの教会の見どころは何と言ってもベルニーニ晩年の力作『福者ルドヴィカ・アントーニ』です。

こちらが『福者ルドヴィカ・アルベルトーニ』。夕暮れ時の薄暗い堂内。ベルニーニ得意の採光窓によってこの彫刻にも光が差し込んでいます。この時間帯特有のものなのでしょうが、これはまさに月明りに照らされているかのようです。その美しさ、幻想的な雰囲気に思わず息を呑んでしまいました。

そしてこの教会にもご丁寧に照明器具が備え付けられています。一ユーロ投入すればライトが点く仕組みです。石鍋真澄氏は「この礼拝堂におけるほど教会の照明が作品の効果を損う例はない。もしライトがついていたら、消してもらうべきである」と注意されていましたが、せっかくなので点けてみましょう。あえてその違いを感じてみたい。

あぁ、たしかにライトを点けたことで見やすくはなりました。しかし先程感じた幻想的、神秘的な雰囲気がどこかへ行ってしまいました!やはりベルニーニが意図して作った光でなければだめなのです。窓から差し込む光があってこそのこの像です!

というわけでくれぐれもライトを点けずに鑑賞することをおすすめします。

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サンタ・マリア・デル・ポポロ教会とサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会

この教会はその名の通りポポロ広場に面した位置にあります。(ポポロ広場については以前紹介した「(1)ローマの玄関ポポロ門とポポロ広場~一瞬で旅行者を引き込む目の一撃!劇場都市ローマの真骨頂とは!」の記事参照。)

想像していたよりもシンプルな構造の堂内。この写真で堂内に人が写っていないのは開堂と同時に私が入場したからです。

ここにはカラヴァッジョの『ダマスカスへの途中での回心』が納められており、この絵の前は人でごった返して大変なことになります。なかなかゆっくり鑑賞どころではありませんが、カラヴァッジョファンにはたまらない聖地です。

また、パンテオンにもほど近い位置にあるサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会にもカラヴァッジョの傑作『聖マタイの召命』が納められていてこちらもカラヴァッジョ巡礼に欠かせぬ聖地となっています。

ただ、どちらも混雑がひどく、なかなか落ち着いて鑑賞することができないのが難点です。残念ながら私はスケジュールの都合で時間を合わせることができませんでした。カラヴァッジョ巡礼を予定されている方にはぜひこの混雑を避けて見学することをお勧めします。

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イエズス会総本山ジェズ教会

ジェズ教会はパンテオンから徒歩数分で行ける距離にあります。

左の外観の写真は昼間に撮影したものですが、右は日暮れ後の写真です。この時間帯になると観光客も参拝者も少なくじっくりとこの聖堂を味わうことができます。

私はこの空間にいて現実を忘れるかのような不思議な気分になりました。ここでベンチに座りぼーっと過ごした時間は忘れられません。

また、この教会の右側の祭壇にはあのザビエルの手とされる聖遺物が納められています。

金の器の中に保管された小さな手。これが本物なのかどうかは「神のみぞ知る」ですが、伝承としてこの聖遺物はここで大切に納められています。日本にもゆかりのあるザビエルがどれだけ世界的スケールの人物だったのかということを改めて実感することとなりました。

ジェズ教会はパンテオンやナヴォナ広場からも近くアクセスしやすいのでぜひおすすめしたいです。

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サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会

ベルニーニの二体の天使像があるサンタンドレア・デッレ・フラッテ教会はスペイン広場にほど近いエリアにあります。上で紹介したサンタンドレア・アル・クイリナーレもボッロミーニのサンタンドレア・アッレ・クワトロ・フォンターネもすぐ近くです。

そしてこの教会のまさしく向かいにはベルニーニの家があります。話には聞いていましたがあまりに目の前なのでものすごく驚きました。

私が初めてこの教会に入った時はちょうど夕方のお祈りの時間で、この聖堂が満杯になるほどの信者さんがお祈りをしていました。この教会は今でもローマ市民の信仰の拠り所となっているそう。そのため他の観光地化された教会とはかなり雰囲気が異なります。その時は私も撮影は控えたので、上は後日再訪した時の写真です。

衣のうねりや恍惚の表情はたしかにベルニーニを感じます。特に『INRIの銘を持つ天使』(左)は圧巻としか言いようがありません。晩年だからといってベルニーニの腕は全く衰えることがありません。むしろその洗練具合が増しているのではないかとすら思えてきます。

そして不思議なことに私はこれら二体の天使像を見ていて、なぜか京都三十三間堂の風神と雷神を連想してしまいました。天使たちの奇跡的な衣の波打ちを見て私は大好きな風神雷神を連想してしまったのかもしれません。

そして興味深いことに、実はこの二体の天使像はローマ屈指の観光地サンタンジェロ橋に飾られていたものでした。

しかしベルニーニの天使像のあまりのクオリティから、それを野ざらしにするのは忍びないと当時の教皇は判断し、オリジナルの作品は移動させられることになりました。現在サンタンジェロ橋に置かれているのはレプリカです。両者を見てみればレプリカとオリジナルのクオリティの差は歴然!ぜひ信仰の場で今も大切にされているベルニーニの傑作を堪能してはいかがでしょうか。

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ローマの老舗カフェ・グレコ

上でも紹介したスペイン広場の近くにある老舗カフェ・グレコ。こちらはあのゲーテやアンデルセン、メンデルスゾーンやベルリオーズなど数え切れないほどの著名人が時を過ごした名店で、文学や絵画、音楽好きにはたまらない聖地です。

入ってすぐの場所はバーカウンターとフードコーナーになっていてここでさっとエスプレッソを飲む客やテイクアウトを注文する人でごった返します。この写真はかなり空いている方。カフェエリアでゆっくり楽しむ場合は店員にその旨を伝えれば中に通してくれます。狭い通路に沿って座席があるという一風変わった構造ですがその壁には絵画がびっしり。雰囲気があります。

入り口近くの席に着いた私はというと、エスプレッソとカプチーノを一気に注文。せっかくここまで来たので心ゆくまで味わいたい。

ここでゲーテやアンデルセン、メンデルスゾーンもコーヒーを飲んでいたのだ。

そんなことを考えながら頂くコーヒーは格別でした。

私はローマ滞在中何度もここへ足を運びました。何度来てもわくわくする空間です。憧れの偉人たちがここにいたのだという思いに毎回興奮していました。

文学、絵画、音楽、歴史ファンにぜひおすすめしたいローマの一押しスポットです。

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絶品エスプレッソを堪能できる名店「Castroni(カストローニ)」

バチカンの近くにあるお店カストローニ。お店自体は食料品店ということで地元の食品がずらりと並んでいるのですが、奥に行くとコーヒーカウンターがあります。

ここでバリスタが作ってくれたエスプレッソをカウンターで立ったまますっと頂く。

これがローマのコーヒースタイル。

あまりに美味しくて私はすぐさまお代わりを注文したほどでした。

私はすっかりこの味に夢中になってしまい、それから毎日ここに通い、最初から2杯を頼み一気に飲み干しては帰るという妙なルーティーンをこなすことになったのでありました。

ここはボスニア・ヘルツェゴビナでお世話になったガイド、ミルザさんに教えて頂いたお店です。

ミルザさんは10年以上もローマに住んでいたローマ通。

その方が「ここが1番美味しいです。地元の人がみんな行きます」とおっしゃられるのだからこれは間違いありません。

このお店は本当におすすめです。イタリアのお土産を買うのにも絶好の場所です。現地ならではの、そして本当にクオリティの高い食品をリーズナブルな価格で買うことができます。

バチカンに行かれる方はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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時間があればぜひ立ち寄ってほしいさらにマニアックなおすすめスポット

ここまでローマのおすすめ観光スポット15選をご紹介してきましたが、ローマにはまだまだ見どころがあります。

ただ、ローマを観光するにしてもやはり最大の問題となるのはやはり時間の問題です。限られた時間の中で全ての名所を巡ることは不可能です。そうなると上の15選が私の中のベストチョイスなのでありますが、やはりまだまだおすすめしたい場所がいくつもあります。

というわけで、ここからはもし時間があれば行ってみてほしいおすすめのローマをご紹介していきます。

ローマの入り口ポポロ門とポポロ広場

ポポロ門、ポポロ広場については石鍋真澄氏の解説を聞くのが最も適切でしょう。氏は次のように述べています。

かつての旅行者にとってローマという都市がいかなるものであったかを理解するには、まず、このポポロ広場が彼らに与えた「目の一撃」の強烈な効果を思い描いてみる必要がある、と私は思う。だから、このありし日のローマ入城の疑似体験、もっとも簡便には地下鉄A線のフラミーニア駅で降りて、ポポロ門から市中に入る、という実験はやってみる価値がある。

吉川弘文館、石鍋真澄『サンピエトロが立つかぎり 私のローマ案内』P1

古代には「皇帝の都市」であり、後には「教皇の都市」であった口ーマは、宿命的に虚構性と「ショー的」性格をもつ都市であった。長い旅路の末、ようやくローマに着いてポポロ広場に立った旅行者は、ローマの「壮麗さ」とともに、このことをも納得させられたのである。だからもしも、このポポロ広場の眺めをわざとらしく、不真面目だと思う人がいたら、その人はローマとは肌の合わない人である。けれども逆に、このシェノグラフィックな景観にぞくぞくするような興奮を覚える人がいたら、その人こそローマに魅了される「才能」をもって生まれた人なのである。

吉川弘文館、石鍋真澄『サンピエトロが立つかぎり 私のローマ案内』P24

さあ、私はこのポポロ門を目の前にして何を感じるのだろうか。私もローマに魅了される「才能」があるのだろうか。これは確かめずにはいられない!という訳で私はローマに来てまずポポロ門へ向かったのでした。

あのゲーテやスタンダールもここを通ったのです。私が好きなドストエフスキーもメンデルゾーンもここを通ったでしょう。この門を通ると石鍋氏の言うようなローマの「目の一撃」があるのです。

ぜひみなさんもこの「目の一撃」を体感してはいかがでしょうか。

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カラカラ浴場とアッピア街道、クラウディア水道橋

カラカラ浴場
アッピア街道
クラウディア水道橋

ローマ帝国の福祉政策の充実ぶりは有名ですが、公共浴場(テルメ)への情熱は群を抜いています。2000年も前の時代にはるか遠方から水を引き、その大量の水を沸かして供給し続けたというのはよくよく考えてみれば凄まじいことです!温泉が地下から湧いていてそこを浴場としたわけではないのです。はるか遠方からわざわざ水を引いてさらに大量の燃料を使って沸かしているのです!2000年も前にそんなアクロバットな娯楽施設を作ってしまうのですから驚愕するしかありません。

そしてアッピア街道に残る古代ローマの道路。今は石同士に隙間があったり少しでこぼこになってはいますが、当時はぴしーっと平らになっていたそう。

ローマ帝国の土木技術力は有名ですが、その最たるものが道路建設にあります。

ピエール・グリマル著『ローマ文明』の訳者解説では次のように述べられています。

「すべての道はローマに通ずる」という格言はあまりにも有名であるが、ローマ人たちは、帝国を維持するために、首都ローマからライン河畔の辺境まで、また、アラビアやサハラの砂漠のへりにまで広がった領土内を網の目のように結ぶ道路を建設した。緊急事態が起きたとき軍勢を急行させるためであったから、ちょうど現代の自動車道路のように田園地帯をほぼまっすぐに突っ切って走っていることが多い。しかも、道路が真に道路として使えるためには、雨が降るとぬかるんだり、崩れて通行できなくなるようなことがあってはならない。路面はしっかり石材で舗装されるとともに、側溝が設けられた。ただ人畜の足で踏み固められただけの農道とは異なり、まさに道路は建造物なのである。

論創社、ピエール・グリマル、桐村泰次訳『ローマ文明』P449-450

ここで「路面はしっかり石材で舗装されるとともに、側溝が設けられた。ただ人畜の足で踏み固められただけの農道とは異なり、まさに道路は建造物なのである。」と述べられるように、道路も建造物なのだということは意外と盲点です。建造物というとコロッセオのような堂々たる大建築や家々のような、目に見えて「立っている」ものをイメージしてしまいがちですが、「道路」にもその技術や精神が込められています。

「すべての道はローマに通ず」

その道を目の当たりにし、そして手で触れることができて私は感無量でありました。

そして最後にクラウディア水道橋です。

「日本語に「水も漏らさぬ」という表現があるが、普通に石材を組み合わせただけでは、水は石と石の継ぎ目から漏れて、どんどん失われてしまう。継ぎ目の隙間をなくすために如何に精緻な作業が行われたかを想像すると、それだけでも溜息が出てくる(同書より)」

この解説を初めて読んだ時は「なるほど!」と思わず膝を打たずにはいられませんでした。

単に石を組み合わせるだけではだめなのです。水はすぐにしみて漏れだします。それを防ぐためには緻密な計算と完璧な建築技術がなければなりません。ローマ帝国はそれを2000年以上も前に成し遂げていたのでした。

これだけ巨大な建造物が今もなお残っている・・・どれだけ頑丈に作られていたんだと驚くしかありません。

こうした水道橋を見ながらガイドさんが話してくれたことが今も印象に残っています。

「ギリシア文明も古代エジプト文明も巨大な建造物を作りました。ですがローマ文明はその全てが実用的です。コロッセオ、道路、水道橋、そのどれもが人々の生活に直結するものです。ギリシアの神殿やピラミッドはたしかに大きいです。ですがそれは誰のためのものですか?何の役に立ちますか?ローマは違います。文明が実用性と結びついているのがローマの素晴らしいところです。」

実用性を極めた文明!

なるほど、これはローマ帝国を知る上で非常に重要なポイントではないでしょうか!

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さて、このローマ郊外の三か所ではありますがさすがに私一人でローマの郊外を移動するのは心許なかったので現地旅行会社のツアーを利用しての散策となりました。私が依頼したのは「ジミーツアー」という旅行会社さん。日本語も対応可で、通常の団体ツアーではなかなか手配しにくいような内容でもきめ細かく対応してくれるありがたい旅行会社です。

私が参加したのは「カラカラ浴場&アッピア街道 半日観光」というツアーで、しかも時間内にカタコンベや様々な見どころも見学可能という私にとってドンピシャの内容でした。このジミーツアーさんとの出会いは私のローマ滞在において本当にありがたいものとなりました。別の記事で改めて紹介していますが私が全く想像もしていなかった驚きの体験をもたらしてくれたのもジミーツアーさんです。ローマに滞在される方はぜひこちらの旅行会社さんをおすすめしたいです。その時の体験は以下の記事参照。

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(13)関係者以外立入禁止のバチカン市国内部を特別に見学!サン・ピエトロ大聖堂の貴重な裏側も! バチカン市国には国家としての機構も当然あります。銀行や郵便局、裁判所などなど様々な施設が領内に存在します。ただ、大聖堂や美術館以外のエリアは関係者以外は立ち入り禁止のため、それらを目にすることは一般観光客にはできません。 ですが、なんと!そこに私は入場できることになったのでした! この記事ではそんな私の体験をお伝えします。普段見ることのできないバチカンの姿を皆さんにご紹介します。

ローマ郊外、サン・カリストのカタコンベ

私は上でお話ししたアッピア街道、クラウディア水道橋の見学と一緒にこのカタコンベを訪れました。

キリスト教の街ローマを考える上でやはり「カタコンベ(墓)」という存在は大きな意味を持ちます。

サン・ピエトロ大聖堂もそもそもの始まりは聖ペテロの墓です。

「ローマは死の思い出に満ち満ちている」

「実際、ローマは墓の都市だといっていいだろう。そしてキリスト教も「死の宗教」であり、「死への勝利の宗教」である。」

ローマと言えば美の殿堂や古代ローマの浪漫に目が行きがちではありますが、たしかにこう言われてみればまさにその通りなのです。石鍋氏の言うようにローマという街はいわば墓と死の街でもあったのでした。

「これらのカタコンべは、いろいろな意味で、いずれも見学する価値がある。少なくとも、半日をさいて、アッピア街道のすがすがしい雰囲気を楽しみ、街道沿いのカタコンベの一つか二つを訪れるのは、ローマ見学者の「マスト(必須)」といえよう。」と石鍋氏が述べていたので私もサン・カリストのカタコンベを訪れてみることにしたのでした。

私もガイドの後ろをついてこのカタコンベ内を歩いていきます。いくらこの地方の土が柔らかくて掘りやすいといっても、これほど深くまで掘り進めるその熱意にはたしかに驚きます。今はこうして通路にはライトが設置されていますが当時はまさに真っ暗だったはず。火を使った明かりといっても限度があります。そんな中こんなに奥深く迷路のようなカタコンベを作っていったということに呆然としてしまいます。

もしこんなところに明かりもなく一人取り残されてしまったら恐怖でどうにかなってしまいそうです。

このカタコンベの見学では想像していたよりも地下深くまで降りることはありませんでした。ただ、所々通路の向こう側の暗闇を見ることがあってその先の深淵を想像することになりました。このカタコンベ内の迷宮ぶりはアンデルセンの『即興詩人』でもその暗黒の恐怖が非常にリアルに描写されていて面白いです。ぜひ『即興詩人』もローマに来られる際はおすすめしたい作品です。

そしてこのカタコンベの途中で、ある有名なお墓を見ることになりました。

聖セシリアの墓 Wikipediaより

こちらは聖セシリアの墓。聖セシリア(サンタ・チェチリア)は二世紀頃のローマ帝国の殉教者で、音楽家と盲人の守護聖人として有名。そのお墓がまさにこのサン・カリストのカタコンベにあったのです。ちなみにこの写真の彫刻は1600年にステファノ・マデルノによって製作されたもののレプリカ。オリジナルは上でも紹介しましたローマのサンタ・チェチリア・イン・トラステヴェレ教会に納められています。

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サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラノ聖堂

ラテラーノ聖堂はコロッセオやフォロ・ロマーノ、スペイン広場などローマ観光の中心地から少し離れた位置にある教会ですが、ローマ・カトリックの歴史を考える上で非常に重要な意味を持っています。

私たちはローマ・カトリックといえばバチカンのサン・ピエトロ大聖堂を思い浮かべてしまいますが、実は中世までローマ・カトリックの政治の中心はこのラテラノ大聖堂だったのでした。しかもここはローマで一番最初に建てられた大聖堂でもあったのです。

聖堂内部に入るとすぐ視界に入ってきた巨大な柱。白を基調としていて洗練された雰囲気を感じます。黄金色に輝くサン・ピエトロ大聖堂とは全く色彩が異なります。

この聖堂内部は1650年にボッロミーニによって大規模な修理、改築が施されました。ボッロミーニはバロックの王ベルニーニのライバルと言える天才で、上でも紹介した彼のサン・カルロ・アッレ・クワットロ・フォンターネ聖堂はローマの誇る傑作建築として知られています。

壮大な空間だけでなく、ひとつひとつの彫刻も躍動感があって実に素晴らしい。バロック芸術全盛の時代を感じます。

柱のすぐそばに立ってこれらの彫刻がいかに飛び出ているかを見てみました。写真左手前を見て頂ければそれがよくわかると思います。

参拝者の心に迫ってくるような演出効果がここにはあります。これは写真の平面ではなかなか伝わりませんが現地で体感すればその迫力に驚かずにはいられません。なかなかこういう造りの教会にはお目にかかれません。

個人的にはこの教会は好みです。ボッロミーニの天才ぶりを感じられる教会だと思います。石鍋氏も同じく絶賛しています。ローマの観光の中心地からは少し離れていますが一見の価値がある素晴らしい教会です。

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サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂

サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂・・・。

この教会のことを知っている日本人はかなり少ないのではないのでしょうか。私もこの旅に出る前にローマを学んで初めてこの聖堂の存在を知ることとなりました。なにせローマは見るものが多すぎる。すべてを網羅するには膨大な時間が必要です。

そんな知名度の低いサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂ではありますが、実はこの街の歴史においてとてつもなく重要な教会だったのでした。

石鍋氏がこの教会について「教皇によって公的に建設された最初のバジリカである。その点でも大きな歴史的意義のある聖堂であり、カトリック信者だけでなく、ローマの歴史と美術を巡礼する者も、必ず訪れなければならない聖堂だといえよう。」と述べているのは注目です。

テルミニ駅近くにこんなにすごい聖堂があったとは思いも寄りませんでした。恐るべし、ローマです。

こちらがサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂の内部。私もここに足を踏み入れた瞬間驚きで一瞬息が止まってしまいました。こんなに美しい場所だとは想像もしていなかったのです。この整然とした列柱、聖堂内のシンプルな構造、さらに天井や柱の上の四角い装飾にいたるまで非常に美しい。

「サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂の身廊に入ると、訪問者は古代世界に運び込まれたような気がする。それはキリスト教の聖堂であろうか、それとも哲学者たちがその叡知を諭すアテネの回廊であろうか。そのアーキトレーヴを支えるイオニア式の美しい列柱、その偉大な水平線、その広々とした空間は、清澄さと平和を表現している」という言葉がまさに体現された空間でした。

たしかに他の大聖堂とは何かが違います。「アテネの回廊」という表現はなんと絶妙な表現でしょう。哲学的で整然とした空気感をたしかに感じるのです。

これは素晴らしい!テルミニ駅からも歩いてすぐですのでぜひおすすめしたい教会です。

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サンタ・ビビアーナ教会

上のサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂と同じく、こちらのサンタ・ビビアーナ教会もローマ・テルミニ駅のすぐ近くにあります。

彫刻家として幼い頃から活躍していた神童ベルニーニでしたが、建築家としてのキャリアをスタートさせたのはこの教会からでした。

ですがその第一歩目からしてとてつもない偉業をこの教会で成し遂げていたのです。詳しくは以下の記事で詳しくお話ししていますのでぜひご参照頂きたいです。

天才ベルニーニの最初の教会建築を堪能できるこの教会はぜひおすすめしたいです。若干地味で目立たない教会ですが、だからこそ味があっていいものです。観光客もほとんど来ないのでじっくりとこのすばらしいベルニーニの世界を味わうことができます。

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サン・ピエトロ・イン・モントリオ教会のベルニーニ作ライモンディ礼拝堂

ベルニーニのライモンディ礼拝堂はトラステヴェレ地区のサン・ピエトロ・イン・モントリオ教会内にあります。

トラステヴェレ地区には上で紹介した聖セシリア像のサンタ・チェチリア・イン・トラステヴェレ教会やベルニーニの『福者ルドヴィカ・アントーニ』のサン・フランチェスコ・ア・リーパ教会があります。私はそれらをセットで回りました。

左の写真が教会内のライモンディ礼拝堂と右がその外観。手前の突き出ている区画がちょうどライモンディ礼拝堂にあたります。

ライモンディ礼拝堂はベルニーニが光の統御に完全に成功した最初の作品です。

電気がない時代においてベルニーニはいわば独自の方法で舞台空間を照らすスポットライトを生み出したのでした。

私はこの教会に夕方にやって来ました。開館時間が終わるぎりぎりの時間だったのですが、私はあえてこの時間を選んだのでした。なぜなら少しでも暗くなった方がベルニーニの光の魔法をより体感できるのではないかと思ったからです。

次の写真に注目してください。

一番左がベルニーニが設計したライモンディ礼拝堂です。ここだけ圧倒的に明るいのが一目瞭然です。

この明るさには私も心の底から驚きました。上の写真にもあるように他の礼拝堂の暗さと比較してみたことでよりその明るさを感じることになりました。ベルニーニの演劇的手法、光のスペクタルの発想には脱帽です。これが1630年代の作品なのですからなおさらです。電気時代を生きる私たちには「光を窓から取り入れて作品を照らす」と言われてもあまりピンと来ないかもしれません。ですが、電気もなく、光で彫刻を照らすという発想が全くなかった時代にこれを思いつくというのがやはりベルニーニのすごさだと私は思います。私達の当たり前を作ってくれたのがこのベルニーニだったのです。

私は閉堂ぎりぎりの時間までこの教会で時を過ごしました。中心部から離れた小さな教会なのでここはとにかく静か。しーんと静まり返った薄暗い堂内で私は心ゆくまでこの教会を味わいました。夕暮れ時の教会の心地よさに私はそれこそ恍惚としてしまいました。

この教会で過ごした時間は私のローマ滞在の中でも特に印象に残っています。もしまたローマに行けるならぜひまたこの時間に訪れたいと思います。

ベルニーニの光のスペクタクルを感じるのにもこの教会は非常に素晴らしいスポットとなっています。

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ローマ・ナヴォーナ広場の『四大河の噴水』

スペイン広場と並んでローマの顔となっているナヴォーナ広場。

ここにもベルニーニ作の素晴らしい彫刻作品があります。それが写真の四大河の噴水です。

建物に囲まれた広大な空間にどんと鎮座する巨大な噴水。ローマの景観として完全に馴染んでいるこの噴水ですが、実はものすごいエピソードが隠されていました。まさかこの噴水にそんな裏話があったとはと私もかなり驚きました。ベルニーニは逸話に事欠かない波乱万丈の人生を送った人物ではありますが、この噴水に関するエピソードは特に驚異的なものとなっています。以下の記事でそのエピソードについて詳しくお話ししていますのでぜひご参照ください。

また、この広場には飲食店が軒を連ねており、ローマらしい風景を堪能しながら食事を楽しむことができます。

私もここでランチを頂き至福の時間を過ごしました。

ローマ滞在の中でランチをどこにしようか迷っている方は、ぜひこちらの広場で素晴らしいローマを感じながらのお食事はいかがでしょうか。多少観光地価格ではありますが、このローマらしい空気を堪能できるならば納得の価格ではないかと私は思います。おすすめです。

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おわりに

さて、ここまで「ローマおすすめ観光スポット15選」と言いながらそれ以上のおすすめスポットをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。聞いたことのない教会もきっとあったと思います。ですがここで紹介した教会や旧跡はどれも私が自信を持っておすすめする素晴らしい場所です。

正直、今回おすすめした場所を全て回るには少なくとも一週間以上の日数が必要になってくると思います。弾丸で一気に回ればこれより短い日数でも回れないことはないのですが、同じ教会に何度も通ったり、しばらくその教会でぼーっとしてたりする内にあっという間に時間が進んでいってしまいます。

ローマはあまりに見どころが多い!

漠然とローマにやって来て何となく有名どころを回ろうとすると、だんだん時間との戦いになりパニックになる可能性があります。ぶらぶらと気の向くままに歩くローマも素晴らしいのですが、ある程度自分なりのテーマを見つけ、「こういうのを見てみたい!」というプランを持っていくだけでぐっとローマ散策の効率や濃度が高まります。

皆さんもこの記事を読んでお気づきだと思いますが、私のおすすめの中に「真実の口」も「トレビの泉」も含まれておりません。これらは私のテーマの中に含まれないがゆえに、ローマ有数の名所でありながら泣く泣く私がカットしたものになります。

「真実の口」に時間をかけるならベルニーニの傑作を一秒でも長く堪能したい!古代ローマやローマカトリックについて学びたい!

そんな思いで私はローマを巡ったのでありました。

きっと皆さんの中にも「こういうのが見てみたい!体感してみたい!」という何かがあるはずです。

ローマは実に素晴らしい街です。ですがあまりに見どころが多すぎるが故の罠もあります。ぜひ当ブログの記事が皆様のお役に立てれば何よりでございます。

そしてここまで来てお話しするのもお恥ずかしいのですが、私は元々、この記事を書くつもりはありませんでした。

ですが、数日前の「あるもの」との出会いが私のローマへの愛を再び燃え上がらせたのでありました。

実は今、私はインドにいます。(※2024年3月1日現在)

2月上旬から仏跡を巡る旅に出ていた私でしたが、その旅の最終盤にサールナートというブッダが初めて説法をした聖地を訪れました。ガンジス河で有名なバラナシ(ベナレス)の郊外ですね。

そしてその美術館に所蔵されているインド仏像の最高傑作「サールナート仏」に私もお目にかかったのですが、この仏像が私を目覚めさせてしまったのです。

あまりに優美、あまりに静謐、あまりに完璧なこの仏像を前に私はただただ言葉を失い、ここから離れることができませんでした。

この仏像のショックは美術館を出て宿に帰ってからもずっと続き、この完璧な彫刻に心が奪われたままでした。

その時です。

「ああ!ローマに行きたい・・・!」

「ローマには有無を言わせず陶酔させてくれるあの芸術たちがあるではないか・・・!」

「ああ!ローマ!ローマ・・・!」

白状しましょう。私はもうインドにうんざりしていたのです。私はインドがとことん苦手です。ですが仏教とは何ぞやを学ぶために、仏跡は絶対に行っておきたい場所でした。

しかしインドは決定的に私には合わない!(泣)詳しいことはこの記事ではお話しできませんが、インドはやはりインドなのです。

そしてインドの旅も終盤に近づき、もはや限界かという時にこの「サールナート仏」と出会ってしまったのです。

完全なる美。一瞬で意識を持っていかれるほどの圧倒的な彫刻。

私は「サールナート仏」に出会ってからの数日、車の移動時間はほとんどローマのことを思い浮かべてしまっていました。「あの甘美なるローマ。ベルニーニのローマ。誰もいない教会でぼーっと過ごす至福の時間・・・」

これはもう重症です。私はこの抑えきれないローマへの妄想を記事を書くことで治療することにしました。その結果一気に書き上げたのがこの記事になります。

おかげさまで発作的なローマ愛はなんとか抑え込むことに成功しました(笑)

下手をすればこのままローマに飛んでいってしまいたいくらいローマに恋い焦がれていたのです。インドにいながら。

それほど私にとってローマという街は魅力的なのです。「もう一度行きたい国は」と聞かれたら即答でローマでしょう。

皆さんに少しでもこのローマの魅力が伝わったならば幸いでございます。

上で紹介したそれぞれのリンク先ではより詳しい解説をお話ししていますので、気になる場所があればぜひ参考にして頂けたらと思います。

また、以下の記事ではフィレンツェのおすすめスポットについてもまとめています。ぜひこちらもご参照頂けましたら幸いです。

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以上、「ローマおすすめ観光スポット15選!王道からマニアックな教会まで美の極致を味わい尽くす!」でした。

※2024年12月追記

上でお話ししたサールナートの仏像についての記事がこちらになります。

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私のローマ愛が爆発するきっかけとなったこの仏像との出会いをお話ししています。ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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