シェイクスピア

ドストエフスキー論

星野立子『シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たち』~ドストエフスキーやトルストイとのつながりを知れるおすすめ作品!

この本はタイトル通り、シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たちとのつながりについて書かれた作品です。

この本ではプーシキンやドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、スタニスラフスキー、パステルナークと、ロシア文学界の大御所がずらりと並んでいます。

ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフと、ロシア文学を考える上で絶対に避けることのできない重鎮たちとシェイクスピアのつながりをじっくり見ていけるこの本はとても貴重です。

名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピア『終わりよければすべてよし』あらすじと感想~本当に終わりよければすべてよしなのかが問題だ

そもそもこの作品の『終わりよければすべてよし』というタイトルがいいですよね。

私はこの言葉が大好きです。どんな人生であろうと最後の最後でいい生き様をすることができたら、それは「終わりよければすべてよし」なのです。これは『レ・ミゼラブル』やゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』、ドストエフスキーやトルストイの大作を読んできて私が強く感じたことです。

ですがこの作品は実は「終わりよければすべてよし」どころではない終わり方をしています。「そんな甘くはありませんぜ」とニヤリと笑っているシェイクスピアが浮かんできそうです(笑)

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シェイクスピア『冬物語』あらすじと感想~突然の狂気的嫉妬がもたらした悲劇とまさかの大団円!

『冬物語』は松岡和子さんの『深読みシェイクスピア』とセットでおすすめしたい作品です。

もし松岡さんの解説を読んでいなかったらこの作品に対する感想は全く違ったものになっていたでしょう。もうレオンティーズの嫉妬がとにかく唐突すぎるのです。しかもその激しさたるや常軌を逸しています。この唐突さ、激しさに私はきっと置いてきぼりにされていたことでしょう。

しかし『深読みシェイクスピア』を読んだことでこの嫉妬に大きな意味があることを知りました。そしてそれによって急にこの作品が奥深いものに感じられてきました。

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シェイクスピア『シンベリン』あらすじと感想~愛は試すべからず。シェイクスピア後期の波乱万丈のロマンス劇

この作品はかなり動きのある作品です。あらすじの「薬で仮死状態になったイノジェンの傍らには夫の首のない死体が」という言葉の情報過多!(笑)「ロマンス劇の傑作」と評されるだけのジェットコースター作品です。

『ハムレット』や『リア王』などのメジャーどころとはまた違った魅力がある作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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シェイクスピア『ペリクリーズ』あらすじと感想~ドラマチックなストーリー展開が魅力のシェイクスピア最初の傑作ロマンス劇!

『ペリクリーズ』は『リア王』や『マクベス』などの重厚な悲劇作品を経てシェイクスピアが到達した「ロマンス劇」時代の幕開けとなる作品です。

『ペリクリーズ』を読んでみて、私はこの作品の見事さに衝撃を受けました。何度鳥肌が立ったかわかりません。今や私のシェイクスピアランキングでも上位に来る作品となりました。これは面白いです。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

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シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』あらすじと感想~ギリシャ神話『イリアス』の世界を舞台にあの英雄たちが喋る喋る!

『トロイラスとクレシダ』はあのギリシャ神話『イリアス』に出てきた有名な英雄たちがどんどん出てくる豪華な作品です。

そしてこの作品の英雄たちのまあなんとよく喋ること!

『イリアス』のあの無骨で勇敢な男らしい英雄たちの姿はいずこやら、実に人間くさいです。シェイクスピアらしい言葉、言葉、言葉の応酬!「これが本当にあのギリシャ神話の英雄か」と笑いたくなるくらいの話しぶりです。

ですがこれがまたいいんですよね。シェイクスピアだからこそ出せるこの人間味!

当時の観客たちも、誰もが知るギリシャ神話の英雄のオールスター戦を見せてくれたシェイクスピアに拍手喝采だったのではないでしょうか。

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シェイクスピア『尺には尺を』あらすじと感想~結婚はハッピーエンド?悲劇の始まり?シェイクスピアの問題劇

今作『尺には尺を』はシェイクスピア作品の中でも問題劇と言われる作品になります。
何が問題なのか。
それは物語の筋やその終わり方がどうもすっきりしない、謎、あるいは首をかしげるような展開であることに由来します。
シェイクスピアが何を思ってこの作品を書いたかはわかりませんが、シェイクスピア作品中屈指の「どうしようもなさ」です。
ちょっと切ない恋愛劇ではありますが、ある意味この作品は私に爪痕を残した作品でありました。

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シェイクスピア『十二夜』あらすじと感想~全員片想いの三角関係の行方はいかに!?シェイクスピア得意のトリック炸裂の恋愛喜劇

『十二夜』は非常に軽やかな大団円を迎えます。『リア王』や『マクベス』などの重厚な悲劇とは全く違った雰囲気です。

ヴィオラ演じるサゼーリオーの魅力と双子のトリックによる大団円、私にとってはこれらが大きな見どころだったなと思います。まさに爽快軽やかなストーリーです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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シェイクスピア『恋の骨折り損』あらすじと感想~恋愛禁止条例を発令した当の男たちが恋に振り回される喜劇

この作品は学問を究めんがためには恋愛なんてものに現を抜かすなんてありえないという、非常に堅物で真面目な青年たちが主役です。

4人は女から絶対に離れると誓いを立てるのものの、その誓いを立てたそばから美しい女性たちがやってきます。

4人は表向きは恋をしていないように振舞うのですが、実はあっという間に彼女たちの虜に・・・

真面目で頭でっかちな青年たちがそんな恋に狂っていく様がこの物語で語られます。

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シェイクスピア『ヴェローナの二紳士』あらすじと感想~シェイクスピア初期の恋愛喜劇!最低男ここに極まれり

『ヴェローナの二紳士』はシェイクスピアの初期に書かれた恋愛喜劇です。

この作品は実は問題作としても知られていて、実際に読んでみるとたしかにこれは物議を醸しだしそうな内容でありました。

ただ、解説で知ったのですがシェイクスピアはあえてこうしたぶっ飛んだ劇を作っていて、そしてそのぶっ飛び具合を楽しめる舞台になるようサーヴィス精神満載の台本を作っていたそうです。なるほど、本で読むのと舞台で観るのとではかなりその毛色が違うようです。