シェイクスピア

名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピア『空騒ぎ』あらすじと感想~素直じゃない二人を恋仲に?こてこてながらも気楽に楽しめる喜劇

今作の『空騒ぎ』は前回の記事でご紹介した『じゃじゃ馬ならし』と一緒に収録されています。この二作品を一緒に収録した新潮社さんはさすがのチョイスだなと感じました。

と言いますのもこの二作品はどちらもじゃじゃ馬女性の恋を描いたものだからです。ですがそれぞれの主人公は違ったタイプのじゃじゃ馬であり、その相手となる男性もまったく違った性格をしています。

という訳で、似たような恋の話でありながら全く違うストーリーをこの1冊で楽しむことができるということなのです。これはお見事。私もこの二作品を続けて読んでふむふむと頷きながら楽しませて頂きました。

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シェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』あらすじと感想~意地悪で頑固な長女と伊達男の大舌戦!言葉、言葉、言葉の喜劇

この作品はシェイクスピア初期の喜劇作品で、「じゃじゃ馬むすめ」カタリーナが機知に富んだ伊達男ペトルーキオーによってすっかり優しい別人に様変わりするというストーリです。

この2人の壮絶な舌戦はこの作品の見どころ中の見どころだと思います。

これを実際に生の劇で観たらどんなことになるのでしょうか。これはすさまじい戦いです。まさに言葉、言葉、言葉のオンパレード!

シンプルながらも唸らせられた作品でした。

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シェイクスピア『ウィンザーの陽気な女房たち』あらすじと感想~あのフォルスタッフを手玉に!機知に富んだ奥様たちの大活躍!

この作品は『ヘンリー四世』で大活躍したフォルスタッフが時を越えて再登場した物語です。

そして今作はシェイクスピアが唯一同時代を描いた作品としても有名です。

この作品を読んでいて感じたのは、気楽さです。何も考えずに楽しめる安心感があります。重苦しい戦争、政治、陰謀、哲学、悲劇とは無縁の軽やかさがあり、フォルスタッフの人気ぶりを感じられる愉快な作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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シェイクスピア『ヘンリー五世』あらすじと感想~ハル王子改めヘンリー五世がフランス征服に挑む!英仏百年戦争を描いた歴史劇

『ヘンリー四世』で放蕩息子として頼りない姿を見せていたハル王子ですが、前作の終盤で父ヘンリー四世から王冠を受け継ぎ、立派な王になることを誓いました。そのハル王子改めヘンリー五世がどのような王になったかが今作『ヘンリー五世』で語られます。

この作品はイギリスで特に人気で、その理由がライバルフランスとの戦いの勝利による「国威高揚」というのが興味深いです。

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シェイクスピア『ヘンリー四世』あらすじと感想~ハル王子とフォルスタッフ、名キャラクターが生まれた歴史劇

この作品の見どころは何と言っても名キャラクター、ハル王子、フォルスタッフの存在です。特にフォルスタッフはシェイクスピアの生み出した最も優れたキャラクターとして知られています。

実際読んでみて納得、これは面白いです。たしかにフォルスタッフの存在感は圧倒的です。

ウィットに富んだ言葉が機関銃のように飛んできます。ああ言えばこう言う。思わずくすっと笑ってしまう名セリフの連発です。

あの有名なフォルスタッフとはどんな男なのかと楽しみにしていた読書でしたが、期待に違わぬ愉快な男でした。これはぜひおすすめしたい作品です。

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シェイクスピア『リチャード二世』あらすじと感想~雄弁で個性豊かな王と『ヘンリー四世』の前史となる傑作史劇

この作品はヘンリー四世が王となるまでイギリスを統治していた、リチャード二世という王を中心とした史劇になります。

この作品の大きな流れは民衆からも貴族たちからもあまり好かれていないリチャード二世の悪政と、それに対して反旗を翻したボリンスブルック(後のヘンリー四世)との戦いが主軸となっていきます。

『ヘンリー四世』はシェイクスピア史劇の中でも非常に有名な作品ですが、そこに直結する時代を描いたのが本作『リチャード二世』になります。

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佐藤猛『百年戦争 中世ヨーロッパ最後の闘い』~シェイクスピア史劇の時代背景を知るのにおすすめの参考書

今回ご紹介する『百年戦争 中世ヨーロッパ最後の闘い』はシェイクスピアの『リチャード二世』の時代背景を知る上でとても参考になる作品です。

この本は薔薇戦争に先立つ百年戦争について学ぶのに非常におすすめな参考書です。

百年戦争といえばあのジャンヌ・ダルクが活躍した戦いです。

この本を読めばシェイクスピア史劇をより楽しめること間違いなしです。ぜひおすすめしたい作品です。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

菊池良生『傭兵の二千年史』~世界の歴史の見え方が変わる名著!サッコ・ディ・ローマを学ぶ過程で見つけたおすすめの逸品!

この作品の素晴らしいところは傭兵のそもそもの始まりから歴史を見ていける点にあります。

古代ギリシャからの歴史の変遷を「傭兵」という観点から見ていく本書は非常に刺激的です。

人間ははるか昔から戦争を繰り返してきました。しかしその戦争を戦っていたのは誰だったのか。もちろん、その主役は王侯貴族だったかもしれません。しかしひとりひとりの兵士はどこからやって来たのか。そしてどのようなシステムで戦争は行われてきたのか。

一度知ってしまえば世界の見え方が全く変わってしまう恐るべき名著です!

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松岡和子『深読みシェイクスピア』~翻訳・演劇の奥深さ、そして役者の力に驚くしかない名著!

この本の最初のテーマは『ハムレット』なのですが、そこで語られる松たか子さんのエピソードはいきなり私の度肝を抜くものでした。著者の松岡さん自身も「血が逆流するって、あるのね。あれは私の翻訳家人生における最大の衝撃のうちのひとつだったと同時に、役者に対する敬意が頂点に達した瞬間です」と本書で述べていました。

この他にも山﨑努さん、蒼井優さん、唐沢寿明さんのエピソードが出てくるのですがどのお話もとにかく格好良すぎます。超一流の役者さんのすごさにただただ驚くしかありません。

2023年早々にものすごいショックを受けた作品でした。これはぜひぜひおすすめしたい名著中の名著です

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シェイクスピア『ジョン王』あらすじと感想~吉田鋼太郎さんの演出に感動!イングランド史上最悪の王の史劇!

『ジョン王』は戦争を舞台にした作品でありますが、その戦争の勝敗が武力よりも「言葉」によって決するという珍しい展開が続きます。そして私生児フィリップの活躍も見逃せません。そんな「言葉、言葉、言葉」の欺瞞の世界に一石を投じる彼のセリフには「お見事!」としか言いようがありません。

そして2023年1月現在、彩の国シェイクスピア・シリーズで『ジョン王』が公演中です。吉田鋼太郎さん演出、小栗旬さん主演の超豪華な『ジョン王』!私も先日観劇に行って参りました!その感想もこの記事でお話ししていきます。