ドストエフスキー

カラムジンロシアの歴史・文化とドストエフスキー

カラムジン『ロシア人の見た十八世紀パリ』~憧れの都パリを見たロシア人文学者が受けた衝撃とは

カラムジンのこの本ではロシア人から見た憧れの都パリの圧倒的な魅力と負の側面、そして彼の見たパリの人々についての印象が率直に語られています。

華やかで美しい都パリのもうひとつの姿、それが悪臭と汚物まみれのパリでした。

パリは当時最も繁栄していたものの、同時にその繁栄による負の側面も尋常ではなかったのです。

これは意外と知られていない事実であります。

ロシア人たるカラムジンから見たパリの街並みは非常に興味深いものがありました

おすすめキリスト教ドストエフスキーとキリスト教

ドストエフスキーとキリスト教のおすすめ解説書一覧~小説に込められたドストエフスキーの宗教観とは

ドストエフスキーとキリスト教は切っても切れない関係です。

キリスト教と言えば私たちはカトリックやプロテスタントをイメージしてしまいがちですが、ドストエフスキーが信仰したのはロシア正教というものでした。

そうした背景を知った上でドストエフスキーを読むと、それまで見てきたものとは全く違った小説の世界観が見えてきます。

キリスト教を知ることはドストエフスキーを楽しむ上で非常に役に立ちます。

キリスト教ドストエフスキーとキリスト教

フスト・ゴンサレス『キリスト教史』~キリスト教の歴史の大枠を学ぶのにおすすめの参考書!

この本では「キリスト教こそ絶対に正しくて、異教徒は間違っている」というニュアンスはまず存在していません。歴史的にその出来事はなぜ起こったのかということをできるだけ客観的に見ていこうという視点が感じられます。

また、この本はそもそも読み物としてとても面白いです。キリスト教史の教科書というと、固くて難しい本をイメージしてしまいがちですが、フスト・ゴンサレス『キリスト教史』は一味も二味も違います。

思想ドストエフスキーとキリスト教

P・フォーキン「ドストエフスキーの「信仰告白」からみた『カラマーゾフの兄弟』」岩波書店『思想』2020年6月号より

著者のF・フォーキン氏は1965年、カリーニングラードに生まれ、カリーニングラード大学を卒業し現在はロシア国立文学博物館研究員であると同時にモスクワ・ドストエフスキー博物館の主任を務めています。

この論文の特徴はドストエフスキー最後の作品『カラマーゾフの兄弟』をドストエフスキーの信仰告白であると捉えている点にあります。

ロシアドストエフスキーとキリスト教

ベーリュスチン『十九世紀ロシア農村司祭の生活』~19世紀ロシア正教の姿を嘆く農村司祭の悲痛な叫び

著者のI・S・ベーリュスチン(1820年頃~1890)はロシア正教の司祭の家庭に生まれ、自身も司祭職に就きました。

この本はとにかく強烈です。ロシアの農村の教会がここまでひどい状況にあったのかと目を疑いたくなってきます。

そしてなぜそうなってしまったのかを著者は語っていきます。

この本を読むことでいかにオプチーナ修道院が重要な場所であるか、ドストエフスキーにとってキリスト教というのはどういうものなのかということがより見えてくるような気がしました。

ロシアドストエフスキーとキリスト教

セルゲーイ・ボルシャコーフ『ロシアの神秘家たち』~ロシアの偉大なる修道士たちの歴史

この本の特徴はロシアの偉大なる修道士の生涯と思想をひとりひとり丁寧に紹介しているところにあります。

特に18世紀に名を馳せた聖ティーホンについて書かれた章は重要です。聖ティーホンの思想は後の修道僧や長老に大きな影響を与え、ドストエフスキーも彼の思想や生涯に感銘を受け、その印象は『カラマーゾフの兄弟』や『悪霊』の執筆に反映されています。

オープチナ修道院ドストエフスキーとキリスト教

S・チェトヴェーリコフ『オープチナ修道院』~『カラマーゾフの兄弟』ゾシマ長老はここから生まれた 

『オープチナ修道院』ではこの修道院の歴史や高名な長老達の思想や生涯を知ることが出来ます。写真や絵も豊富なので、この修道院がどのような場所なのかをイメージするには非常に便利な本となっています。

『カラマーゾフの兄弟』、特にゾシマ長老と主人公アリョーシャの関係性をより深く知りたいという方にはぜひともお勧めしたい1冊です。

神と悪魔ドストエフスキーとキリスト教

高橋保行『神と悪魔 ギリシャ正教の人間観』~ロシア正教の人間観や救いをわかりやすく解説

キリスト教といえば人間は罪深い人間であるという原罪や、原罪から救われるために神に祈るというイメージがあります。

ですが著者の高橋保行は、それは伝統的なキリスト教の思想ではなく、西洋的な発想の下、後から付け足された思想であって、ローマカトリック教会の思想はヨーロッパ独特の産物であると述べます。

『カラマーゾフの兄弟』をさらに深く読み込みたいという時にはこの著作は特におすすめです。ドストエフスキーが人間の救いをどこに見出していたのかを探る大きな手掛かりになることでしょう。

ギリシャ正教ドストエフスキーとキリスト教

高橋保行『ギリシャ正教』~ドストエフスキーとロシア正教を学ぶならこの1冊!おすすめ入門書!

この本の特徴はロシア正教とドストエフスキーについて詳しい解説がなされている点にあります。

この本を読んで私はとても驚きました。キリスト教といえば無意識にローマカトリックやプロテスタントのことを考えていましたが、ロシア正教はそれらとはかなり異なった教えや文化を持っているということをこの本によって知りました。

そもそもロシア正教とは何なのか。

カトリックやプロテスタントと何が違うのか。

それらがこの著書に詳しく書かれています。
ドストエフスキーに関してもかなりの分量を割いて解説されています。