ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』あらすじと感想~劇団四季のミュージカルの原作はサスペンス感満載の作品だった!

私も大好きなミュージカル『オペラ座の怪人』。その原作を読めたのは非常に楽しい読書となりました。ミュージカルとはまったく別物と考えた方がいいです。これはこれでひとつの物語として楽しめます。読みやすく、ハラハラする展開であっという間に読み切ってしまいました。

ミュージカルファンの方にもぜひおすすめしたいです。この原作をミュージカル化したアンドリュー・ロイド=ウェバーの怪物ぶりがよくわかります。これは私にとっても非常に興味深いものがありました。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

R.J.ゴールドスティーン『政治的検閲―19世紀ヨーロッパにおける』激動の19世紀。出版・音楽・文化はどんな意味を持っていたのか

この本は19世紀における検閲とは実際にいかなるものだったのかということを様々な角度から詳しく見ていきます。

出版の検閲に関してはこれまで当ブログで紹介してきたロシア文学もかなり関係が深い項目です。ドストエフスキーもツルゲーネフもトルストイもチェーホフも皆検閲に苦しめられています。

ロシア文学だけでなくヨーロッパ各国でどのような検閲が行われているかということが知れて非常に興味深い1冊でした。

鹿島茂『新聞王ジラルダン』メディア・ジャーナリズム誕生の流れを知るのにおすすめの一冊!新聞業界を一変させた男の驚異の生涯とは!

この作品はメディアの革命児ジラルダンの生涯を時代背景と共に見ていける名著です。

私達は日常メディア無しではいられないほどテレビや新聞、ネットの情報に囲まれていますが、その商業メディアというのは一体いつから始まったのか、そしてそれは何を意味するのだろうかということをこの本では学ぶことができます。一九世紀中頃のフランスを舞台にしたこの作品ですが現代社会を生きる私たちにも直結する内容がこの本で語られます。

これは名著中の名著間違いなし!ものすごく面白い本です!

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』あらすじと感想~私の読書遍歴はこの作品から始まった

今振り返れば、私はこの作品をきっかけに本格的に本の虫になり始めたように思えます。高校時代は受験勉強がメインだったので私はそこまで本を読むことができないでいました。もちろん、本自体は好きだったのですが、やはり大学入学直後の新鮮な時期にガツンと『ダンス・ダンス・ダンス』の洗礼を受けたことが私の読書遍歴を形作ったのではないかと思います。

そんな私の学生時代や20代を思い出させるのが『ダンス・ダンス・ダンス』です。この作品は今の私にとっても宝物です。

バルザック『幻滅』あらすじと感想~売れれば何でもありのメディア・出版業界の内幕を赤裸々に暴露!衝撃の作品!

この作品は19世紀中頃のフランスメディア、出版業界の実態を暴露した驚くべき作品です。バルザック自身が出版業界で身を立てていたこともあり彼はこの業界の裏も表も知り尽くしています。この作品ではそんなバルザックの容赦ないメディア批判が展開されます。もちろん、それは単なる批判ではなくバルザックの悲痛な願いでもあります。本当にいいものがきちんと評価される世の中になってほしいという思いがそこににじみ出ています。

小倉孝誠『『パリの秘密』の社会史』概要と感想~ドストエフスキー、マルクスにも影響を与えたウージェーヌ・シューの新聞小説とは

本書ではウージェーヌ・シューの作品を見ていくことでこの人物がいかに優れた業績を残していたかを目の当たりにすることになります。

十九世紀フランスの出版事情やメディア業界の裏側も知れるものすごく刺激的な作品となっています。これは面白いです。ぜひぜひおすすめしたい作品となっています。

フランス文学だけでなく、ロシア文学やイギリス文学、マルクスを考える上でも非常に興味深い指摘が次々と出てきます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

鹿島茂『文学的パリガイド』~フランス文学ファンにおすすめのパリガイドブック!これを読めばパリに行きたくなる!

この本は当ブログでもお馴染み、フランス文学者鹿島茂氏によるパリガイドになります。

そしてこの作品の特徴は何と言っても、パリの文学ゆかりの地を鹿島氏の名解説と共に見ていくことができる点にあります。

パリの名所ひとつひとつを文学と絡めてお話しして下さるこの本はフランス文学ファンにはたまらない作品となっています。

これを読めばパリに行きたくなること間違いなしです。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。

辻昶『ヴィクトル・ユゴーの生涯』概要と感想~フランスの偉人ユゴーのおすすめ伝記!

この作品はフランスの偉大なる文豪ヴィクトル・ユゴーの伝記です。著者の辻昶

氏はユゴーの『レ・ミゼラブル』や『九十三年』などの翻訳を手掛けたフランス文学者です。

ユゴーの波乱万丈の生涯を単行本1冊にぎゅぎゅっとまとめたこの作品は非常に貴重なものだと思います。読みやすさも抜群ですのでぜひおすすめしたいです。

スタンダール『赤と黒』あらすじと感想~19世紀フランス社会を知るのにおすすめの傑作小説!名言の宝庫!

この作品ではまさに一九世紀前半から中頃にかけてのフランス青年の成り上がり物語が描かれています。

そして興味深いのがその成り上がりに「恋愛」が大きなウエイトを占めているという点です。

ナポレオンも下級貴族から自分の才覚で皇帝まで成り上がりました。そしてそれと同じように今作の主人公ジュリアン・ソレルも成り上がりを目論みます。

その手段として恋愛があり、それを足掛かりに一気に階級上昇を狙うという社会風潮がたしかにあったのがこの時代のフランスだったのでした。そんなフランス事情を知れるおすすめの作品です

W・D・リット『スタンダールの生涯』~ナポレオンのモスクワ遠征にも従軍したフランスを代表する作家のおすすめ伝記!

私もこの伝記を読んで驚いたことがたくさんありました。

そもそもスタンダールという名前がペンネームであったことや、ナポレオンとのつながりについても非常に興味深いものがありました。

特にスタンダールがあのモスクワ遠征に従軍していたという事実には仰天しました。

19世紀フランス文学を知る上でもスタンダールは避けては通れない存在です。そのスタンダールの生涯をわかりやすく知れるこの伝記は非常におすすめです。面白いです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。