渡邉義浩『孫子―「兵法の真髄」を読む』~現代にも通ずる古典中の古典をわかりやすく学べるおすすめ参考書
渡邉義浩『孫子―「兵法の真髄」を読む』概要と感想~現代にも通ずる古典中の古典をわかりやすく学べるおすすめ参考書 今回ご紹介するのは2022年に中央公論新社より発行された渡邉義浩著『孫子―「兵法の真髄」を読む』です。 早速…
渡邉義浩『孫子―「兵法の真髄」を読む』概要と感想~現代にも通ずる古典中の古典をわかりやすく学べるおすすめ参考書 今回ご紹介するのは2022年に中央公論新社より発行された渡邉義浩著『孫子―「兵法の真髄」を読む』です。 早速…
私個人の感想ですが、以前読んだ『論語』より圧倒的に読みやすいです。そして少し皮肉が効いているというかいいますか、ブラックユーモアのような内容が語られるのも面白いです。まるでチェーホフの短編小説を読んでいるような気分になったのが印象に残っています。特に以前紹介した『仮装した人びと』は特にそれが当てはまるのではないかと思います。この一致は二人の冷静で徹底的な人間洞察のなせる業でありましょう。非常に興味深かったです。
ものすごく刺激的で面白い読書となりました。古典=堅苦しいというイメージを覆す書物です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。
荀子の時代は秦帝国が成立する直前です。中国各地を支配する国々も限られ、もはや中国統一まであと少し。ですが孟子の説く「善政」など夢のまた夢・・・「孟子の願う善政によって社会はよくなるのだろうか、いやいや、そんな理想論では広大な国土を統治するのは不可能だ、もっと現実を見なければいけない」という見解が出てきます。
だからこそ荀子はより現実的、合理的に世界を見る「性悪説」を説いたのでありました。この辺の流れは本書で詳しく説かれますのでぜひ読んで確かめて頂けたらと思います。ものすごく面白いです。
本書『孟子』はそんな彼の生涯や思想、時代背景をじっくり見ていける作品になります。
この本を読めば時代背景がいかに重要かがよくわかります。孟子が単に理想主義的に性善説を述べたのではなく、当時の世相において説得力のある理論として述べていたかが明らかにされます。彼は自説の性善説を「国を統治するための策」として王に売り込んでいます。孔子も老子もそうですが、中国思想はそのどれもが国の政治方針と関わってくる点が興味深いです。
他にも有名な「五十歩百歩」のお話や孟子の興味深い性格など、この本では刺激的な内容がどんどん出てきます。ただ単に「性善説」や「浩然の気」などの単語レベルで終わるにはあまりにはもったいない孟子の面白さがここにあります。
今回初めて『論語』を読んでみて、「あぁ!あの名言はここでこういう流れで説かれていたのか」という刺激的な読書になりました。
私個人としてはこうした有名な言葉を読めたのはありがたかったのですが、それよりも『論語』全体の雰囲気が特に印象に残っています。
と言いますのも、『論語』がプライベート感満載のように感じられたのです。孔子と弟子との対話ということで人物名もたくさん出てきますし、ある特定の状況下における孔子の箴言が語られます。つまり、どんな時、どんな人間においても普遍的に通用する言葉というよりは、その状況に応じた孔子の言葉という雰囲気がありました。
この本はタイトル通り、儒教とは何かを見ていく作品です。儒教といえば宗教というより倫理道徳と見られがちですが、著者によれば儒教こそまさに中国人の宗教に大きな影響を与えたと述べます。
儒教は死と深く結びついており、儀礼、倫理道徳だけで収まるものではないことをこの本で知ることになります。
加地伸行氏の著作については前回の記事で紹介した『孔子』もとてもおすすめです。孔子がどのような人物でどのような人物だったかがわかる素晴らしい伝記です。本作とセットで読めば相乗効果抜群です。ぜひ二冊セットでおすすめしたいです。
この本はとにかく面白いです!
この本では孔子を神のように崇め奉るのではなく、あくまで「人間」孔子を探究していきます。徒に孔子を神格化し聖人君子のように描くのではなく、時代背景から丁寧にその生涯を追っていきます。なぜ孔子が世に現われ、彼の教えが中国に広まっていったのかがよくわかります。
この伝記ではまさに孔子その人だけでなく、彼の生きた時代も見ていくことになります。孔子が何を望み、何に苦しんだかを学べるのは非常に刺激的です。著者の語りも素晴らしく、ものすごく読みやすいです。
この本は宗教を禁じていた共産党中国において、今宗教はどのような状況になっているかを追っていく作品です。
現在の中国の宗教事情を知れたのは非常に興味深いものがありました。
ただ、本書でも述べられていたのですが、近年共産党当局が厳しい統制をかけているため今後どうなるかはわからないというのは非常に恐ろしく感じました。
この本は私達の知らない中国を目の当たりにすることになります。著者が実際に長期の密着取材をしたからこその情報が満載です。現代中国の宗教事情を知るのにこの本は非常におすすめです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
私がこの本を読んだのは以前当ブログで紹介した菊地章太著『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』がきっかけでした。その本の中で本書が次のように紹介されていたのです。
「村山吉廣氏の『中国の思想』という本は、興味がある方にはおすすめの一冊。中国思想史を簡潔にまとめた本だが、ときどき身も蓋もないが書いてあってワクワクする。たとえば開口一番こんな惑じだ。
「中国の古典や思想に関心を抱いている人は多いけれども、そういう人の持っている知識はおおむね。不正確であり、時として大いに間違っている」
いきなり目のまえの人をたたっ斬るようで痛快ですね」
実際この本を読んでみるとまさに切れ味抜群の刺激的な一冊でした。
道教は中国人の生活にあまりに深く根付いています。そして興味深いことに、儒教と仏教とも混じり合って今も信仰されているとのこと。これは日本人の宗教のありかたとも似ていますよね。
道教は日本人にとってはなかなかイメージしにくいものではありますが、この本では写真や資料も多数掲載されていますので視覚的にも優しい作りになっています。
解説も初学者でもわかりやすく読めるよう配慮されているのも嬉しいです。
道教の入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。