松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』~道教の入門書としておすすめ!写真、資料も多数

中国仏教と思想・歴史

松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』概要と感想~道教の入門書としておすすめ!写真、資料も多数

今回ご紹介するのは2006年にPHP研究所より発行された松本浩一著『中国人の宗教・道教とは何か』です。

早速この本について見ていきましょう。

永生不死である仙人への道を説いた道教。その歴史は二千年におよび、漢民族の体質に深く染み込んでいる。風水、易学、占術、漢方医学など、多彩な秘儀をもつ道教とは何か。健康法として知られる気功も、元々は仙人になるための修行法だったという。その不思議なパワーはどこから来るのか。さらに、道教は日本人の宗教、習俗にも多大な影響を与えている。陰陽道や修験道をはじめ、庚申信仰、中元…。本書では、仏教、儒教に比べ、語られることが少なかった道教の全体像をひもといた入門書。

Amazon商品紹介ページより
水牛の上に乗った老子 Wikipediaより

今回ご紹介する『中国人の宗教・道教とは何か』は中国の宗教、道教のおすすめの入門書となっています。

この本の「はじめに」で著者は本書と道教について次のように述べています。少し長くなりますが重要な箇所ですのでじっくり読んでいきます。

最近、道教を取り扱った一般向けの書物を書店でも多く見かけるようになってきた。道教は日本人にとってはあまりなじみがない、ふだん接することがあまりない宗教といえよう。実際にはその影響はさまざまなところに及んではいるのだが、それもあまり意識することは少ない。

しかし、台湾や香港を旅した人なら、あるいは東南アジアでも欧米でも、いわゆる華僑の人たちが集住している中華街に行けば、必ず祠廟という、日本でいえば神社にあたる施設に行きあたることだろう。台湾や香港などであれば、何分か町を歩いたら行きあたらないほうが不思議だ。

この祠廟には儒教の神々、仏教の仏・菩薩、道教の神々、そしてその地方独特の神々がいっしょになって祀られている。つまり、人々の信仰のレベルではそれぞれの宗教の違いはあまり意識されていない。

ほんとうからいえば中国人は道教徒なのだが、道教というとまじないや呪術などというイメージが強くて仏教のほうが知的な雰囲気があるため、「あなたの宗教は?」と聞くと「仏教」と答えるという話を聞くことがある。しかし、祠廟にお参りにくる人たちは、何が仏教で何が道教かということを意識したり、質問自体があまり意味をなさないのではなかろうか。

仏教でいう僧侶にあたる道教の道士は、現在でも台湾や香港では人々の生活になくてはならない存在となっている。生活の上で悩みやうまくいかないことがあると、道士が自宅で神々を祀っている壇、もしくは祠廟を訪れ、占いによって運命の流れやうまくいかない原因を探る。そしてさらに、その解決のために呪術儀礼を行ってもらう。

また、本文で紹介するような祠廟の祭りのときの大規模な儀式や、日本でいう施餓鬼にあたる中元節の普渡ふと、あるいは葬送儀礼などさまざまな場面で彼らの手が必要とされている。(中略)

道教が長きにわたって人々の要求に応えてくることができたのには、そして人々を引きつけることができたのには、彼らの行う儀礼や行法にそのような深い理論的な裏付けがあったことが大きくかかわっているのではなかろうか。

道教はしばしば漢民族の民俗宗教といわれるが、それだけに漢民族の生活・文化のすべての領域に深く関係している。それは上記のような神々の信仰や呪術儀礼ばかりでなく、占いや風水、漢方医学、あるいは詩や小説などの文学、絵画、書道、そして音楽など、中国の伝統的な芸術の分野にも深いかかわりを持っている。

さらに漢民族ばかりではなく、中国の広い地域に存在する少数民族も、多かれ少なかれその影響を被っている。つまり、道教という宗教の内容は一見するよりずっと深く、また広きにわたっているといえよう。

本書では、筆者の力不足もあってそのほんの一端しか紹介することはできないが、日本とも深い関係を持つこの宗教の内容の深さと広さを知るきっかけとなってくれたらと願わずにはいられない。

PHP研究所、松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』P3-6

「祠廟には儒教の神々、仏教の仏・菩薩、道教の神々、そしてその地方独特の神々がいっしょになって祀られている。つまり、人々の信仰のレベルではそれぞれの宗教の違いはあまり意識されていない。」

「道教はしばしば漢民族の民俗宗教といわれるが、それだけに漢民族の生活・文化のすべての領域に深く関係している。」

中国人の宗教とは何か。隣国でありながら私自身もいつも謎に感じていたのがこの疑問でした。仏教が中国から伝来したことや日本文化が中国の影響を強く受けているのも知ってはいました。ですが実際に中国でどのような信仰が行われていたのかというのが私にとっては謎だったのでした。

儒教?道教?仏教?はては共産主義的な無宗教?

この本ではその中でも道教について学ぶことができます。上の言葉にありますように、道教は中国人の生活にあまりに深く根付いています。そして興味深いことに、儒教と仏教とも混じり合って今も信仰されているとのこと。これは日本人の宗教のありかたとも似ていますよね。

道教は日本人にとってはなかなかイメージしにくいものではありますが、この本では写真や資料も多数掲載されていますので視覚的にも優しい作りになっています。

解説も初学者でもわかりやすく読めるよう配慮されているのも嬉しいです。

道教の入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。

以上、「松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』~道教の入門書としておすすめ!写真、資料も多数」でした。

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