親鸞とドストエフスキー・世界文学

ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『カフカースのとりこ』あらすじと感想~トルストイ作の子供向け教科書にも収録されたカフカース物語

トルストイは子供たちの教育に並々ならぬ熱意を抱いていました。

自分の邸宅を学校として開放し、自ら教え、ついには自分で教科書を作ってしまうほどでした。

今作『カフカースのとりこ』はそんな自作教科書に収録された作品になります。

『カフカースのとりこ』というタイトルから私は最初、カフカースに夢中になる話かと思ってしまっていたのですが「捕虜」の「とりこ」でした。

この作品も芸術家トルストイらしい見事な自然描写と、究極の人間観察家トルストイの特徴が出ています。

ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキン『カフカースの捕虜』あらすじと感想~雄大な自然と異国の文化を描くロマン溢れるカフカースの物語詩

この作品はカフカースを訪れていたプーシキンがその地で得たインスピレーションをもとに書き上げた物語詩です。

この作品を読んでいてやはり思うのはプーシキンらしい、ロマンチックな情景描写です。カフカースの雄大な景色の描写はとにかくカッコいいです。読んでいて思わず興奮してしまうような不思議な高揚感があります。感情に訴えかける力が凄まじいです。「これぞプーシキン!」という名作です

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(50)マルクス『資本論』の執筆の流れをざっくりと解説!

マルクスはアダム・スミスやリカードなど経済学者たちの著作を研究し、そこにヘーゲル哲学を組み合わせることで独自の理論を作り上げていくことになります。

これは経済を専門にする経済学者や、哲学のみを探究する哲学者にはなかなか思いも寄らぬ方法でした。

マルクスは独自に新たな理論を生み出したというより、既存のものをうまく合成することで新たなものを生み出したということができるかもしれません。

ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

エミール・ゾラ『パリ』あらすじと感想~ルーゴンマッカールからその先へ!これぞゾラ!宗教との真剣対決の結末はいかに!?

『パリ』は「ルーゴン・マッカール叢書」を書き上げたゾラの集大成とも言える作品となっています。とにかくゾラらしさ満載で、「THE ゾライズム」と言いたくなるような作品です。

私は今の日本にこそ、ゾラが必要だと感じています。

ゾラほど冷静に社会の仕組みを分析し、正義や真実を求めた作家はいないのではないでしょうか。

『パリ』は最高の作品です。ゾラのことがもっと好きになりました。ぜひ多くの方に広まることを願っています。

ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ未邦訳の作品『ローマ』あらすじと感想~腐敗したバチカンへの批判と宗教者の奮起を促したゾラの告発の書

ゾラはルルドの泉での体験から『ルルド』、『ローマ』執筆へと向かっていくことになります。

そしてバチカンによって『ルルド』が公式に禁書目録に載せられたにも関わらずわざわざローマまで赴き、改革を直訴しに行くゾラ。ここに彼の本気さや、いかに彼が真剣に宗教に対して思う所があったかがうかがわれます。

今作はそんなゾラの思いが込められた作品であり、「三都市双書」最終巻『パリ』へと繋がっていく作品になります。

ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ未邦訳の作品『ルルド』あらすじと感想~科学的分析を重んじるゾラは「ルルドの泉の奇跡」をどう見たのか

さて、今回ご紹介する『ルルド』は実はまだ邦訳がなされておりません。

なぜこの作品を読んでもいないのにあえて紹介しようとしたのかといいますと、この『ルルド』を含む「三都市双書」がゾラの宗教観を考えていく上で非常に重要なものとなっているからなのです。

「三都市双書」は最終作『パリ』だけが邦訳されていて、前二作は未だ邦訳されていません。ぜひぜひ邦訳されることを願ってという意味もこの記事に込めています。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(49)愛人メアリー・バーンズの死~エンゲルス・マルクスの友情の最大の危機

1863年のある日、エンゲルスの愛人メアリー・バーンズが急死してしまいます。

急な別れにショックを受けるエンゲルス。

ですがそれに対してマルクスが発した言葉がなんと思いやりのないことか・・・さすがのエンゲルスもこれに大激怒します。

マルクスからすれば正式な結婚もしないで遊び歩いていたエンゲルスがそんなにもメアリー・バーンズを愛していたとは思いも寄らなかったのでしょう。もしこの後で二人の関係性が回復していなかったら『資本論』が世に出ることはなかったかもしれません

ロシアの巨人トルストイ

バーリン『ハリネズミと狐』概要と感想~トルストイの『戦争と平和』についての貴重な参考書

トルストイを学んでいてつくづく思うのですが、ドストエフスキーと比べてトルストイの参考書は明らかに数が少ないです。しかもそれぞれ個々の作品に特化したものとなればほとんどなくなってしまいます。

そんな中今回ご紹介する『ハリネズミと狐』は非常に貴重なトルストイ作品の参考書となっています。

この作品ではトルストイの特徴と『戦争と平和』を題材にした彼の歴史哲学を学ぶことができます。刺激的で面白い本ですのでぜひぜひおすすめしたい参考書です。

ロシアの巨人トルストイ

ホメロス『オデュッセイア』あらすじと感想~トロイア戦争の英雄、知略縦横のオデュッセウスの帰国冒険物語

『イリアス』が圧倒的なスケールで無数の英雄や神々の姿を語っていったのに対し、『オデュッセイア』はオデュッセウスを中心に主要人物の動きをじっくりと追っていきます。ですので誰が誰だかわからないという混乱も起きにくく、非常に読みやすい物語展開となっています。

そして故郷の家にたむろする悪漢たちを策略と剛力で成敗するという筋書きは非常に爽快です。物語の王道中の王道と言ってもいいでしょう。

とても面白い作品でした!

ロシアの巨人トルストイ

ホメロス『イリアス』あらすじ解説と感想~ギリシャ神話の代表作。トルストイ『戦争と平和』に巨大な影響!

トルストイの『戦争と平和』をきっかけに読んだホメロスの『イリアス』でしたが、これは非常に興味深い体験でした。

トルストイがどのような点に感動し、自身の作品にそのエッセンスを組み込んでいったのかを考えながら読むのはとても楽しかったです。

そしてそもそも作品として『イリアス』がものすごく面白く、すいすい読めてしまったというのも驚きでした。戦闘シーンの独特の言葉遣いも新鮮で、思わず唸ってしまうような表現がどんどん出てきます。

これは読む価値ありです。ぜひおすすめしたい作品です。