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「ルーゴン・マッカール叢書」一覧~代表作『居酒屋』『ナナ』を含むゾラ渾身の作品群

ゾラ
目次

フランス文学の最高峰!代表作『居酒屋』『ナナ』を含むゾラ渾身の作品群「ルーゴン・マッカール叢書」一覧

エミール・ゾラ(1840-1902) Wikipediaより

これまで20巻にわたり「ルーゴン・マッカール叢書」をご紹介してきましたが、今回はそれらを一覧にし、それぞれどのような物語かをざっくりとまとめていきたいと思います。

ルーゴン・マッカール家家系図

「ルーゴン・マッカール叢書」の全体像を把握するのに便利ですので、ぜひ上のリンクから家系図をご覧になってください。どの人物がどの作品に登場するかが一目瞭然です。

第1巻『ルーゴン家の誕生』1871年

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ゾラ『ルーゴン家の誕生』あらすじと感想~衝撃の面白さ!ナポレオン第二帝政の始まりを活写する名作!... この本はゾラの作品中特におすすめしたい名作中の名作です! 読んでいて「あぁ~さすがですゾラ先生!」と 何度心の中で うめいたことか!もう言葉のチョイス、文章のリズム、絶妙な位置で入る五感に働きかける表現、ゾラ節全開の作品です。正直、私は『居酒屋』や『ナナ』よりもこの作品の方が好きです。とても面白かったです。

「ルーゴン・マッカール叢書」の始まり。すべての物語のルーツ。
ナポレオン三世のクーデターの混乱に揺れる地方都市が舞台。
ルーゴン・マッカール一族がいかにして生まれたかが語られます。

第2巻『獲物の分け前』1872年

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ゾラ『獲物の分け前』あらすじと感想~土地投機に熱狂する1850年代パリ。金と権力を求める人間劇! 「金」、「投機熱」、「贅沢」、「色欲」・・・ これでもかと人間の欲望を描き出すゾラ。 金を求める貪欲な人間の姿や男女の欲望を知れる恐るべき作品です。ぜひぜひおすすめしたいです!

ルーゴン家三男のアリスティッドが主人公。
パリに上京したアリスティッドは金の響きがするサッカールへと改名。
ナポレオン三世政権のパリ大改造に乗じた土地投機で莫大な利益を得る。
「金」と「投機熱」、「贅沢」、「色欲」の悲惨が描かれています。

第3巻『パリの胃袋』1873年

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ゾラ『パリの胃袋』あらすじと感想~まるで仏教書!全てを貪り食うパリの飽くなき欲望!食欲は罪か、そ... 私は『ルーゴン・マッカール叢書』でどの作品が1番好きかと言われたらおそらくこの『パリの胃袋』を挙げるでしょう。それほど見事に人間の欲望を描いています。 ゾラ得意の映画的手法や、匂いなどの五感を刺激する描写、欲望をものや動物を描くことで比喩的に表現する手腕など、すばらしい点を列挙していくときりがないほどです。

食べ物で溢れかえるパリ中央市場が舞台。
主要登場人物のリザはマッカール一族の女性。
宗教や倫理の規範も希薄になり、自分の欲望をどこまでも追求することが良しとされる時代。ゾラはこの小説のなかで、そうした歯止めのない欲求を、「食欲」という身近なかたちで表現している。
自分さえ安穏に暮らせれば他はどうなろうと関係ないというエゴイズムを批判。

第4巻『プラッサンの征服』1874年

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ゾラ『プラッサンの征服』あらすじと感想~宗教による洗脳、そして破滅を描いた先駆的作品 この物語は私の中で「ルーゴン・マッカール叢書」中、読んでいて最も辛い作品でした。 宗教者による洗脳がここまで露骨に書かれているのは読んでいて苦しいものがありました。 ですが辛くても目を反らしてはいけない真実がこの作品には描かれていると思います。この時代のヨーロッパにおいて宗教がどのように見られているのか。その大きな手がかりのひとつになったのではないかと私は思います。 とにかく凄まじい作品でした。

ルーゴン・マッカール一族が生まれた地方都市プラッサン。
第1巻『ルーゴン家の誕生』ではナポレオン三世のクーデターに乗じてルーゴン家がこの村の実権を握ることが描かれましたが、この作品ではその実権を取り戻すためにパリから密かに送られてきた謎の人物フォージャ神父がキーパーソンとなります。
聖職者による洗脳、家庭崩壊、政治的陰謀がこの作品では描かれています。

第5巻『ムーレ神父のあやまち』1875年

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ゾラ『ムーレ神父のあやまち』あらすじと感想~厳格な神父と純粋な乙女との禁じられた恋と悲劇的結末。 この書は作者のゾラとロシアの文豪ツルゲーネフとのつながりによって前作の『プラッサンの征服』と同じくロシアでいち早く紹介され人気を博した書だったそうです。 今回は前回ほど気分が悪くなるようなものではありませんが、主人公セルジュの信じるキリスト教が生きながらにして「死んだもの」であり、人生を否定しているというゾラの主張を知ることとなりました。

第4巻『プラッサンの征服』で登場したフランソワ・マルト夫妻の次男セルジュが主人公。セルジュは神父でありましたが、病気のため一時記憶喪失になりその時献身的に看護してくれたアルビーヌという美しい女性と恋に落ちます。
しかし記憶が戻ると聖職者としてその恋は唾棄すべきものとなり、アルビーヌを捨ててしまうのです。
信仰と恋愛、いのちの問題がこの作品で描かれています。

第6巻『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』1876年

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ゾラ『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』あらすじと感想~政治家もつらいよ。パリの政治家の生態と駆け引き 主人公である大物政治家ウージェーヌが戦う場のなんと難しいことか。 あまりに複雑な人間関係、利害関係。 支援してくれる人間にどのように恩恵を施すか。 窮地に陥った時でも彼らに約束した恩恵を与えなければならない。でもできない。さあどうする!と常に彼は戦い続けています。 政治家は政治家で求められる資質がある。この小説を読んでそう思わせられました。

ルーゴン家長男ウージェーヌが主人公。
ウージェーヌはパリの大物政治家で、今作ではパリの政治の裏側を描いています。政治的駆け引きやルーゴン家の血を引くウージェーヌのしたたかさを感じることができます。

第7巻『居酒屋』1877年

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ゾラの代表作『居酒屋』あらすじと感想~パリの労働者と酒、暴力、貧困、堕落の必然的地獄道。 『居酒屋』は私がゾラにはまるきっかけとなった作品でした。 ゾラの『居酒屋』はフランス文学界にセンセーションを起こし、この作品がきっかけでゾラは作家として確固たる地位を確立するのでありました。 ゾラ入門におすすめの作品です!

アルコール中毒のマッカール家の遺伝を受け継いだジェルヴェーズが主人公。
ゾラの文学者としての地位を確実なものとした大ヒット作。
パリの労働者家庭がいかにして悲惨な生活へと落ち込んでいくかを赤裸々に暴露。
低賃金、飲酒、モラルの崩壊、近隣住人との関係、寄生する男による搾取、児童虐待など、多くの悲惨が描かれています。

第8巻『愛の一ページ』1878年

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ゾラ『愛の一ページ』あらすじと感想~美しきパリの情景と許されぬ恋 前作の『居酒屋』はあまりに強烈な作品だったため、ゾラ自身にも大きな精神的負担がのしかかることになりました。そこで心機一転して甘く叙情的な世界観を描き出そうとして生まれた作品がこちらになります。(それでもかなりの狂気、毒気が描かれていますが・・・)

第5巻『ムーレ神父のあやまち』と対をなす作品。敬虔で貞淑な未亡人エレーヌと、裕福な医者アンリの不倫の物語。
エレーヌの一人娘ジャンヌは自分以外に愛が向くことが耐えられずヒステリーを起こすほどの神経症を持ち、エレーヌはアンリとジャンヌの間で揺れ動きます。
夕暮のパリ、嵐のパリ、夜景のパリ、―心情をなぞるような都市の描写でも有名な、印象派絵画を思わせる悲恋の物語

第9巻『ナナ』1880年

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ゾラの代表作『ナナ』あらすじと感想~舞台女優の華やかな世界の裏側と上流階級の実態を暴露! ゾラの代表作『ナナ』。フランス帝政の腐敗ぶり、当時の演劇界やメディア業界の舞台裏、娼婦たちの生活など華やかで淫蕩に満ちた世界をゾラはこの小説で描いています。 欲望を「食べ物」に絶妙に象徴して描いた作品が『パリの胃袋』であるとするならば、『ナナ』はど直球で性的な欲望を描いた作品と言うことができるでしょう。

第7巻『居酒屋』の続編。主人公ナナは『居酒屋』の主人公ジェルヴェーズの娘。こちらもゾラの代表作。
前作『居酒屋』ではダメ男と貧乏、酒によって家庭は崩壊し、ジェルヴェーズは悲惨な死を遂げました。ナナはそんな悲惨な家庭を飛び出し、娼婦となり新たな生活を始めます。そしてその美しさと奔放な性格によって数多くの男を虜にし、パリに君臨することになります。

第10巻『ごった煮』1882年

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ゾラ『ごった煮』あらすじと感想~ブルジョワの偽善を暴く痛快作!貴婦人ぶっても一皮むけば… この作品は『ボヌール・デ・ダム百貨店』の物語が始まる前の前史を描いています。 主人公のオクターヴ・ムーレは美男子で女性にモテるプレイボーイです。そして彼がやってきたアパートでは多くのブルジョワが住んでいてその奥様方と関係を持ち始めます。 そうした女性関係を通してオクターヴは女性を学び、大型商店を営むというかねてからの野望に突き進もうとしていきます。

この作品は次の『ボヌール・デ・ダム百貨店』の前史となるもので、『居酒屋』と『ナナ』以上に緊密な関連性を持った小説と言われています。
主人公は『プラッサンの征服』の主人公フランソワ・ムーレとその妻マルト・ルーゴン夫妻の長男オクターヴ・ムーレという人物です。
この物語ではパリのブルジョアの退廃した生活が描かれています。

第11巻『ボヌール・デ・ダム百貨店』1883年

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ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』あらすじと感想~欲望と大量消費社会の秘密~デパートの起源を知るた... この作品はフランス文学者鹿島茂氏の『 デパートを発明した夫婦』 で参考にされている物語です。 ゾラは現場での取材を重要視した作家で、この小説の執筆に際しても実際にボン・マルシェやルーブルなどのデパートに出掛け長期取材をしていたそうです。 この本を読むことは私たちが生きる現代社会の成り立ちを知る手助けになります。 もはや街の顔であり、私たちが日常的にお世話になっているデパートや大型ショッピングセンターの起源がここにあります。 非常におすすめな作品です。

前作『ごった煮』でも主人公であったオクターヴ・ムーレはブルジョワ達の私生活を学び、ついに彼の野望であった巨大デパートの開業を成し遂げていました。
この物語では近代消費資本主義の発祥となったデパートのメカニズムを詳細に描きだしています。
巨大なデパートは近隣の小規模な小売店を駆逐しながらどんどん成長していきます。昔ながらの店主たちの悲しみもこの作品では描かれています。

第12巻『生きる歓び』1884年

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ゾラ『生きる歓び』あらすじと感想~ゾラ流のショーペンハウアー的ペシミズムへの回答とは 話の大筋としては主人公の少女ポリーヌがダメ人間ラザールに恋をしてしまう可哀そうな物語ではありますが、そこはゾラ師匠。単なる優しい女の子の残念な恋愛で終わらせません。 実はゾラはラザールに当時大流行していたショーペンハウアー的なペシミズム(悲観主義、厭世主義)を意図的にまとわせ、それに対置する形で生きる歓びを体現するポリーヌを立たせているのです。 そうしてゾラは当時大流行していたペシミズムに対する反論を述べようとしているのでした

主人公ポリーヌは、「ルーゴン・マッカール叢書」第3巻の『パリの胃袋』に登場したリザの娘です。
この小説は近代社会の厭世と献身の物語 と言われていて、ゾラはこの小説で当時大流行していたショーペンハウアー的なペシミズム(悲観主義、厭世主義)を批判するために、生きる歓びを体現するポリーヌを立たせています。

第13巻『ジェルミナール』1885年

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ゾラ『ジェルミナール』あらすじと感想~炭鉱を舞台にしたストライキと労働者の悲劇 ゾラの描く蟹工船 『ジェルミナール』では虐げられる労働者と、得体の知れない株式支配の実態、そして暴走していく社会主義思想の成れの果てが描かれています。 社会主義思想と聞くとややこしそうな感じはしますが、この作品は哲学書でも専門書でもありません。ゾラは人々の物語を通してその実際の内容を語るので非常にわかりやすく社会主義思想をストーリーに織り込んでいます。

主人公は『居酒屋』のジェルヴェーズの三男エチエンヌです。
今作は炭鉱労働者となったエチエンヌが働く炭鉱の実態と資本家と労働者の対立、そして過酷なストライキと群衆の狂気、暴動を描いた作品です 。
『居酒屋』、『ナナ』と並ぶゾラの代表作です。

第14巻『制作』1886年

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ゾラ『制作』あらすじと感想~天才画家の生みの苦しみと狂気!印象派を知るならこの1冊! この物語はゾラの自伝的な小説でもあります。主人公の画家クロードと親友の小説家サンドーズの関係はまさしく印象派画家セザンヌとゾラの関係を彷彿させます。 芸術家の生みの苦しみを知れる名著です!

今作の主人公クロードは「ルーゴン・マッカール叢書」第7巻『居酒屋』のジェルヴェーズの長男にあたります。
セザンヌやマネなど、印象派の画家たちをモデルに、当時の芸術界の実態を描写し、芸術家の生みの苦しみをとことんまで描いた作品です。
また、クロードの親友として登場する小説家サンドーズを通してゾラの自伝的な物語も展開されています。

第15巻『大地』1887年

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ゾラ『大地』あらすじと感想~農村の陰鬱な世界をありのままに書きすぎて物議を呼んだ問題作 『大地』はフランスの地方農民の生活を描いた作品です。そしてこれまで見てきた作品からわかりますように、フランスは急速な経済発展を迎え、『ボヌール・デ・ダム百貨店』で描かれたように人々のライフスタイルが変わっていく時代でした。 ゾラは農村が抱える問題を真摯に、ストレートに表現したかったのでしょう。名作と言われるだけの価値は十分すぎるほどあると思います。

「ゾラが問う、田園が孕む老いと相続の邂逅   土地相続をめぐるフーアン爺さんと三家族、その姪姉妹とジャン=マッカールの殺意に充ちた物語」
今作の主人公ジャンは『パリの胃袋』のリザ、『居酒屋』のジェルヴェーズの弟に当たります。
今作の『大地』は農村を舞台にし、没落していく貧しい農民たちが遺産の土地を奪い合い、土地に対する異様なほどの執着を見せあう物語になっています。そしてこの作品を前編とし、第19巻の『壊滅』へと繋がっていきます。

第16巻『夢想』1888年

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ゾラ『夢想』あらすじと感想~ゾラの描くファンタスティックな夢想と少女の恋。ゾラらしからぬ作風に驚... 正直に申しまして、この作品は「ルーゴン=マッカール叢書」20巻中、読んでいて最も困惑する作品でした。 と、言いますのも、アンジェリックの夢想があまりにエキセントリックであり、しかもその夢想に沿う形で本当に王子様が現れて恋に落ち、さらにさらに王子様が駆け落ちまで申し込んでくるという、ゾラらしからぬファンタジー要素があまりに多い筋書きだったからなのです。 私にとってよくも悪くもこの作品は不思議なインパクトを与える作品でした。

今作の主人公アンジェリックはルーゴン家のシドニーという女性の一人娘で、今作では捨てられた孤児として物語はスタートします。
そして善良な刺繍職人であるユべール夫婦の養女となり、すくすく育ちますが、いつか王子様が現れて結婚し、大金持ちになるという黄金伝説の夢想にふけるようになります。そしてその結末は夢想の実現と、彼女の死というファンタスティックな物語となっています。

第17巻『獣人』1890年

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ゾラ『獣人』あらすじと感想~『罪と罰』にインスパイアされたゾラの鉄道サスペンス!殺人は理性か本能か! 理性で殺したラスコーリニコフ、本能で殺したジャック。 この二人の主人公の対比はドストエフスキーとゾラの人間観の違いを最も明確に示しているのではないでしょうか。 『罪と罰』にはまった人ならぜひともこちらの作品も読んで頂けたらなと思います。 バルザックの『ゴリオ爺さん』(以下の記事参照)と共におすすめしたい一冊です。

19世紀、時代の先頭を驀進する鉄道を駆使した“鉄道小説”の先駆! 「叢書」中屈指の人気を誇る、探偵小説的興趣をもった作品。
今作の主人公のジャックは『居酒屋』のジェルヴェーズの次男にあたり、狂気の遺伝を持つマッカール家に位置します。
鉄道を舞台にした殺人事件をめぐる物語で、ドストエフスキーの『罪と罰』の影響を受けた作品と言われています。

第18巻『金』1891年

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ゾラ『金』あらすじと感想~19世紀パリで繰り広げられたロスチャイルドVSパリ新興銀行の金融戦争! 『獲物の分け前』で主に土地投機によって巨額の金を稼いだ主人公のサッカールでしたが、今作では巨大銀行を設立することで新たな戦いに身を投じていく様子が描かれています。サッカールのライバルのユダヤ人はあのロスチャイルド家がモデルになっています。フランス第二帝政期では実際に新興銀行とロスチャイルド銀行との金融戦争が勃発していました。ゾラはこうした事実を丹念に取材し、この作品に落とし込んでいます。

「80年代日本のバブル景気とその崩壊そのままの、19世紀金融小説!
世論誘導、粉飾決算などによる実体のない株価急騰、極限まで騰貴した株価の突然の大暴落、不良債権を抱えて自殺する事業家―高度資本主義社会における人間と社会の異常さを描ききる!」
主人公サッカールは『ルーゴン家の誕生』や『獲物の分け前』でも登場しています。 株価の高騰や配当、金利収入が人を狂わす過程をこの小説では丹念に描いています。

第19巻『壊滅』1892年

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ゾラ『壊滅』あらすじと感想~フランス第二帝政を崩壊させた1870年普仏戦争を見事に活写! 戦争文学の... 今作は日本ではあまり知られてはいませんが戦争文学の金字塔と評価されている作品です。 ゾラ得意の五感を刺激する文章はまるで自分が間近で戦争を見ているかのような感覚にさせます。 ゾラはやはり芸術家です。読む者に恐るべきインスピレーション、イメージ、ショックを与えます。彼は単に世の中の相を写し取っただけではなく、それを芸術に昇華させています。 『壊滅』は叢書のクライマックスにふさわしい重厚な作品でした。戦争文学の傑作、金字塔という名声は疑いようもありません。素晴らしい作品でした。

フランス第二帝政期の終焉をもたらした普仏戦争とパリ・コミューンの争乱を描いた作品。
『壊滅』は叢書第15巻の『大地』の続編で、「ルーゴン・マッカール叢書」のクライマックスと言うべき作品で、 戦争文学の傑作、金字塔とされています。

第20巻『パスカル博士』1893年

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ゾラ『パスカル博士』あらすじと感想~ゾラ思想の総決算!ゾラは宗教や科学、人間に何を思うのか  24年の間、ほぼ1年に1作のペースで長編小説を20巻も書き続けたゾラ。 1冊1冊の重みを考えると、まさしく異常とも言えるエネルギーでゾラは執筆し続けていたのでありました。 その集大成がこの『パスカル博士』であり、「ルーゴン・マッカール叢書」の締めくくりとしてゾラの思想が最もはっきりと見える作品となっています。 この作品は20作ある叢書の中でも私の中でもベスト3に入る作品です。叢書ラストを飾るこの作品も名著中の名著でした!

「ルーゴン・マッカール叢書」の締めくくりとしてゾラの思想が最もはっきりと見える作品。
今作でパスカルはこれまで語られてきた19巻の物語を回想し、それらを題材に自らの信念や遺伝と人間の関係性、科学と宗教の戦いなど多くのことを語ります。
ゾラが献辞で「私の全作品の要約にして、結論であるこの小説を母の思い出と愛する妻に捧げる」と述べるように、この作品は「ルーゴン・マッカール叢書」を知る上で非常に重要な意味を持つ作品となっています。

終わりに

次回は私の選ぶゾラおすすめ作品7選を改めて紹介します。その面白さやおすすめポイントをより詳しくお話ししていきます。

以上、「エミール・ゾラ「ルーゴン・マッカール叢書」一覧」でした。

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ゾラ

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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