コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』あらすじと感想~ミステリー小説の王道中の王道!ホームズシリーズ屈指の人気作!

バスカヴィル家の犬 イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』あらすじと感想~ミステリー小説の王道中の王道!ホームズシリーズ屈指の人気作!

コナン・ドイル(1859-1930)Wikipediaより

今回ご紹介するのは1901年にコナン・ドイルによって発表された『バスカヴィル家の犬』です。私が読んだのは新潮社、延原謙訳、2018年第110刷版です。

早速この本について見ていきましょう。

ホームズ、魔の犬に挑む!爛々と光る目、火を吐く口、青い炎で包まれた身体。
恐怖に彩られた伝説を追う、シリーズ最高の長編。


「月9」TVドラマ化!
「シャーロック」フジテレビ系にて2019年10月7日スタート。
名探偵にディーン・フジオカ、相棒・ワトソンは岩田剛典。


深夜、銀幕のような濃霧のたちこめた西部イングランドの荒野に、忽然と姿を現わした怪物。らんらんと光る双眼、火を吐く口、全身を青い炎で燃やす伝説にまつわる魔の犬は、名家バスカヴィル家の当主ヘンリ卿を目がけて、矢のように走る――。
きわだった叙景によって舞台となる特殊地帯を一種の密室のように仕上げ、息づまるばかりの緊張を生む、ホームズ物語中最大の長編。

Amazon商品紹介ページより

上の商品紹介にもありますように、2019年にフジテレビ系でディーン・フジオカと岩田剛典がタッグを組み話題になった『シャーロック』。そしてその映画『バスカヴィル家の犬』も2022年に公開されることになりました。

その原作となったのが今回ご紹介するコナン・ドイル著『バスカヴィル家の犬』になります。

この作品について巻末の解説では次のように説かれています。

多くの評者がこの作をもって長編ホームズものの首位におくばかりでなく、世界探偵小説のべストテンの一つに数えている。(中略)

この作は、西部イングランドの特殊地帯の叙景がかなり詳しく出ている。というよりも叙景がプロットと渾然一体をなしているともいえるのである。最後の場面などは濃霧という小道具までもちだして効果満点、肌にあわを生ぜしむるものがある。

叙景といえば「緋色の研究」の第二部や、「恐怖の谷」の第二部なども叙景は多いのだが、この作の場合はこの特殊地帯をつかって、一種の密室効果を出していることにも注意すべきであろう。

新潮社、コナン・ドイル著、延原謙訳『バスカヴィル家の犬』2018年第110刷版P315-316

今作『バスカヴィル家の犬』は『緋色の研究』『四つの署名』に続くシャーロック・ホームズシリーズ長編の第三作目になります。

今から100年以上も前に書かれた『バスカヴィル家の犬』ですが、この作品は今なお多くのファンに愛され続け、上の引用にありましたようにホームズの長編小説において最も高く評価されている作品でもあります。

まず、そもそも本のタイトルがいいですよね。『バスカヴィル家の犬』という何ともミステリアスでキャッチーなフレーズ。そして声に出しても印象に残るそのリズム。

シャーロック・ホームズシリーズでは概して事件の名前がオシャレであることはファンの方もきっと同意して下さると思います。ちなみに長編短編含めて私が一番好きなタイトルは『シャーロック・ホームズの帰還』収録の『六つのナポレオン』です。他の翻訳では『六つのナポレオン像』という訳にもなってはいるのですが、やはり延原訳の『六つのナポレオン』は最高のタイトルだと思います。完全に私個人のこだわりでしかありませんが、これでなければだめなのです。なぜか頭に残って離れない「六つのナポレオン」というその響き・・・!事件そのものも面白いのですがこのタイトルのセンスに唸ってしまう私なのでありました。

さて、話は妙な方向に行ってしまいましたが、今作『バスカヴィル家の犬』もタイトルに負けない素晴らしい名作となっております。

話の冒頭から謎が謎を呼び、ホームズですら苦戦する厳しい展開。敵はあのホームズを煙に巻くほどの相当な手練れです。

そして上の引用にもありましたように、物語の舞台がこれまた秀逸です。いかにも何か起きそうな不気味な空間。自然環境と人為が絡み合った恐ろしい舞台装置は読者を常にハラハラさせます。まさにミステリーの王道。次に何が起こるかわからない不安を我々読者は感じ続けることになります。

そしてこの作品で特徴的なのは、物語の途中からシャーロック・ホームズがほとんど出てこないという点にあります。これはなかなか珍しいです。ですがご安心を。この作品で活躍するのは何を隠そう、相棒のワトスンです。彼がバスカヴィル家に赴き、事件の解明に力を注ぎます。真面目で善良なワトスン君の働きっぷりをこの本では堪能できます。

もちろん最後の最期で美味しい所を持って行くのは我らががヒーロー、シャーロック・ホームズですが、この作品ではワトスンの健気な尽力も大きな魅力のひとつと言えるでしょう。

『バスカヴィル家の犬』はミステリーの王道中の王道です。これは読んで間違いなしの作品です。

読書ライフの入り口としてもこの本はとてもおすすめです。良質なミステリーを気軽に楽しむならこの一冊です。

ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』あらすじと感想~ミステリー小説の王道中の王道!ホームズシリーズ屈指の人気作!」でした。

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