産業革命

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(69)レーニン・スターリンのマルクス主義について考える~マルクス・エンゲルスは有罪か?

さあ、いよいよ本書の総まとめに入ります。

著者は本書の冒頭で、近年世界中でマルクスの再評価が進んでいる一方、ソ連や中国などの共産国での恐怖政治の責任がエンゲルスに押し付けられているという風潮を指摘していました。

そうした風潮に対し、「エンゲルスは本当に有罪なのか?」ということを検証するべくこの本ではマルクス・エンゲルスの生涯や思想背景を追ってきたのでありました。

この記事ではそんなマルクス・エンゲルスに対する私の思いもお話ししていきます。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(68)1895年のエンゲルスの死と莫大な遺産について

エンゲルスの遺産はなんと400万ドル、現代の日本円で軽く4億円以上もあったようです。そこにさらに様々な形の資産もあったでしょうから総額で言えばとてつもないものがあったと思われます。そしてそれらのほとんどはマルクス一族に相続されることになりました。

またエンゲルスは本人の希望により死後海洋散骨されることになります。彼のお墓はこの世に存在しないのです。これには私も驚きました。

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(66)『資本論』第2巻の編集に苦闘するエンゲルス

エンゲルスは『資本論』第1巻の時点ですでにマルクスの膨大な原稿を編集していました。マルクスが存命の時ですらこの作業に苦戦していたエンゲルスです。

マルクスの死後はどうだったのでしょうか。

その作業は想像を絶する苦難の道となったのでした。

解読困難な悪筆、支離滅裂な文章、無秩序な引用に満ちた膨大な原稿の山。

エンゲルスはこの編集作業によって眼を病んでしまうほどでした

この記事ではその詳しい顛末と『資本論』第2巻、3巻の問題点についてお話ししていきます。

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(65)エンゲルスの『反デューリング論』から生まれた『空想から科学へ』~空想的社会主義者という言葉はここから

誰も読まない、いや読めない難解な『資本論』を一般の人にもわかりやすく広めたことの意義はいくら強調してもし足りないくらい大きなものだと思います。

難解で大部な『資本論』、簡単でコンパクトな『空想から科学へ』。

この組み合わせがあったからこそマルクス主義が爆発的に広がっていったということもできるかもしれません。

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(64)エンゲルスによるマルクス主義最高の手引き書『反デューリング論』とは

エンゲルスの『反デューリング論』はマルクス主義が広まる上でとてつもないインパクトを与えることになりました。

ですが、それに対して近年は「エンゲルスはマルクスを歪めて広めた。その後のマルクス主義が起こした出来事はエンゲルスがその原因である」という批判が強くなります。

はたしてエンゲルスは本当にマルクスを歪めたのか。それともマルクスの難解(理解不能)な思想を見事に噛み砕き解説したのか。これは非常に大きな問題です。

そのことについてこの記事では考えていきます

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(62)葬儀でのエンゲルスの演説とマルクスの神格化のはじまり

後に数え切れないほどの人たちに影響を与えることになった大人物マルクスの葬儀に参列したのはたったの11人・・・

これには私も驚きました。

ですが逆に言えば、ほとんど世に知られていない、あるいは評価されていなかったマルクスがここからいかにして世界中に旋風を巻き起こしていったのかというのは気になるところでありますよね。

となると、ここからあの男がいよいよ存在感を増してくることになります。

エンゲルスの働きがここからいよいよ大きなものとなっていくのでした。

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(61)『資本論』第2巻、3巻を完成できぬまま亡くなるマルクス

1881年、マルクスは妻の最後を看取ることもできず、自身も病気と闘っていました。世界を動かした巨人マルクスも、晩年は病気に苦しめられ、執筆もほとんど捗ることがありませんでした。

そしてマルクスは『資本論』第2巻、3巻を完成させることなく1883年に亡くなります。

ですがマルクスが死しても、マルクスの物語は終わりません。むしろ、死して後、彼の思想はより巨大なものとなって世界中に大きな影響を与えることになります。そこにいたのはやはりあの男、エンゲルスでした

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(60)マルクスはロシアでの共産主義革命についてどのように考えていたのだろうか

マルクス・エンゲルスの革命理論によれば資本主義が成熟し、経済が崩壊した後にプロレタリアート革命が起こるということだったのですが、1870年代にはそうした理論もあまり重要視しなくなっていたのでしょうか、資本主義が全く成熟していないロシアでプロレタリアート革命が起こるとエンゲルスは自信満々に述べます。これでは必ず通るであろう「歴史の法則」という概念そのものが成立しなくなっているように思えるのですがどうなのでしょうか。

そのことについてこの記事は見ていきます

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(59)マルクス『ゴータ綱領批判』概要と宿敵ラッサールとの対決

マルクス・エンゲルスの強敵はバクーニンだけではありませんでした。

バクーニンは「マルクスの共産主義が独裁的な国家権威主義になることを見抜いていた」非常に危険な存在で、マルクス・エンゲルスが利用しようとしていたインターナショナルを消滅させた難敵でした。

今回紹介するラッサールもそれに劣らず彼らにとって厄介な敵なのでありました。

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(58)マルクスの共産主義が独裁的な国家権威主義になることを見抜いていたバクーニン

マルクス・エンゲルスの最強のライバル、バクーニン。

彼が単に人を惹きつけるだけの存在だったら、マルクス・エンゲルスの政治力にかかれば簡単に失脚させることはできたでしょう。敵をこき下ろし、誹謗中傷、政治的策略を使って孤立させることなど、これまで何度となくやってきたことです。

しかし、真の脅威はバクーニンがマルクス・エンゲルスの思想における決定的な弱点を見抜いていたことにありました。バクーニンは彼らの思想の行く先を正確に見抜いていたのです。その鋭さたるや驚愕するしかありません。