ドイツ

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(47)1852年『ルイ=ボナパルトのブリュメール十八日』を発表するマルクスとその反響

驚くことに、この作品は今となっては非常に有名ですが、出版直後はほとんど反響がなかったようです。

今から数十年前までバイブルのごとく読まれていた『共産党宣言』ですら、出版直後はほとんど反響がなかったくらいです。この作品があまり広まらなかったのは仕方ないことかもしれません。

ただ、そこから時を経てマルクスが亡くなった後から彼の作品が異様なほど評価されていったというのは注目に価します。生前評価されなかった作家が死後になって巨大な存在になって君臨する。その典型がマルクスと言えるかもしれません。

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(46)『資本論』制作に向け喝を入れるエンゲルス~二人の共同作業とエンゲルスの貢献

今となってはマルクスは世界中で知らぬものはいない超有名人ですが、存命中はそうではありませんでした。

ましてロンドンに亡命し始めてからは、無数にいる政治犯の一人という位置づけです。そんな中でくすぶっていたら為すべきことも成せません。

マルクスは完璧主義すぎて次から次へと本の海に沈没し、なかなか作品を書き上げることができないでいました。

そこでエンゲルスはマルクスに喝を入れたのです。

やはりマルクスはマルクスだけにあらず。エンゲルスという盟友あってこそだなと感じます。

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(45)マルクスの隠し子問題とエンゲルスが死の床で明かした秘密とは

マルクスとその妻イェ二ーの強い結びつきはどの伝記でも書かれています。ですが、それほどの仲でありながらも、マルクスは全てが崩壊してしまいかねない事件を起こしてしまいました。

このマルクス最大のピンチにおいても、彼を救った?のはエンゲルスでした。

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(44)1850年代以降、亡命先のイギリスで経済不況を待ち望むマルクス・エンゲルス

マルクス・エンゲルスの史的唯物論によれば、ブルジョワによる資本主義は経済不況を引き金にプロレタリアート革命によって倒されると論じられていました。

ですので革命には経済不況が不可欠です。これがないと何も始まりません。

ただ、これは逆に言えば、経済不況という状況さえあれば革命は自ずとやってくるはずなので、二人はこうした状況を今か今かと待ち望んでいたのでした。

しかし待望の経済不況がやってきたものの、その結果は二人の予想とは全く異なるものでした

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(43)マルクスと大英博物館図書館~毎日12時間研究に没頭する鬼のような読書家マルクス

マルクスは鬼のような読書家でした。大英博物館図書館に籠りひたすら本の海に飛び込むマルクス・・・

彼は原稿を書いては破り捨て、書いては破り捨てを繰り返し、何か思いついたかと思いきや今度は本の世界に飛び込みまた脱線した読書に夢中にのめり込む・・・

これでは原稿を待つエンゲルスが嘆くのも無理はないですよね・・・なかなか原稿を送ってくれない作家に振り回される編集者そのものです。

ただ、マルクスの天才ぶり、狂気ともいうべき姿を知れたのは大きなことでした。

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(41)労働者の搾取によって得たお金で書かれた『資本論』という気まずい真実

「気まずい真実は、エンゲルスの豊かな収入が、マンチェスターのプロレタリアートの労働力を搾取した直接の結果だったということだ。

彼とマルクスがあれほど細部にわたって非難した諸悪そのものが、彼らの生活様式と哲学に資金を供給していたのだ。」

エンゲルスは父の会社に就職し、そのお金をマルクスに送金していました。労働者を搾取する資本家を攻撃していた二人がまさにそうして生活していたという矛盾が今回読む箇所で語られます。

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(40)イギリスヴィクトリア朝の繁栄と労働者の生活水準の上昇~プロレタリアートのブルジョワ化

エンゲルスがいた頃(1843-44年)のマンチェスターはこの世の地獄のような場所でした。そんな悲惨な環境を告発したのが彼の著書『イギリスにおける労働者階級の状況』でした。この作品はマルクスにも絶賛され『共産党宣言』や『資本論』にも大きな影響を与えました。

しかし、50年代にも入るとそのような描写はすっかり時代遅れなものになっていました。エンゲルスが不在だった数年間にイギリスは激変してしまったのです。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

ゲーテ『色彩論』~万能の詩人ゲーテは光の研究者でもあった!光の画家フェルメールとのつながりを考える

ゲーテが単なる詩人ではなく、有能な役人として働いたり、科学の分野でも才能を発揮していたことはA.ビルショフスキによる伝記『ゲーテ その生涯と作品』のおかげで知ってはいましたが、今回フェルメールを学んだことでいよいよフェルメールとゲーテが繋がってきました。

思わぬところで大好きなゲーテとフェルメールがつながり、私としては嬉しい発見となりました。

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(39)マルクス・エンゲルスのイギリス亡命生活の始まり

フランス二月革命を経てマルクス・エンゲルスは共に政治犯として追われる身になっていました。

そこでマルクスは政治犯でも受け入れてくれるイギリスを亡命先として選ぶことになります。

エンゲルスもそうしたマルクスを追い、イギリスへと向かうことになったのでした。

そしてそこでのエンゲルスの決断がまた驚きです。やはり彼は矛盾をものともしない図太い神経があったのでした。

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(38)1848年フランス二月革命の衝撃と革命の戦場に向かうエンゲルス

革命を待ちに待っていたマルクス・エンゲルスはブリュッセルにいてその場に立ち会うことができませんでしたが、彼らは歴史の必然としてやってくるであろうプロレタリアート革命に向けて政治活動を熱心に行います。

しかし1848年のフランス二月革命をきっかけにヨーロッパ各地で起きた革命はマルクス・エンゲルスが予想していた展開とは全く異なる動きを見せ始めるのでした。