スペイン

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

牛島信明『ドン・キホーテの旅』~これを読めばドン・キホーテが面白くなる!ぜひおすすめしたい最高の入門書!

この本は本当に素晴らしいです。これを読めば一読しただけでは苦戦しがちな『ドン・キホーテ』が全くの別物になります。もう面白くて面白くてたまらないというくらいの大変身を遂げます。

『ドン・キホーテ』はパロディ作品です。表面上に出てくるものの裏を見れなければ面白くありません。

そんな漠然と読んでもまず気付くことができない『ドン・キホーテ』の面白さをこの本ではこれでもかと解説してくれます。

この本を読めばまず間違いないです。私は自信を持っておすすめします。それほど面白い入門書となっています。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

フランス・ドゥ・ヴァール『道徳性の起源』概要と感想~宗教とは何か?人間と動物は何が違うのかを問う名著!

この作品はチンパンジーやボノボの研究を通して得た知見を基に人間の道徳性や宗教について語っていきます。

私たちの道徳はどこから生まれてきたのか。

性善説、性悪説、人間ははたしてどっちなのか。

こうした議論はこれまで、哲学的、思想的な側面から語られてきました。

しかしドゥ・ヴァールはそれらは人間だけにあるものだけではなく、動物にも存在するものであり、人間だけが特権的に善悪の基準を持っているわけではないことを語ります。

私たちの常識を覆すような驚きの事実が満載です。ぜひぜひ読んでみてください!ものすごくおすすめです!

光の画家フェルメールと科学革命

F・クレインス『ウィリアム・アダムス ―家康に愛された男・三浦按針』~初来日のオランダ船リーフデ号に乗ってきた英国人ウィリアム・アダムスの素顔とは

フェルメールをきっかけに東インド会社に興味を持った私でしたが、そこから日本の歴史とも繋がったということでこれは楽しい読書になりました。

ウィリアム・アダムスがオランダ船リーフデ号で日本に漂着したというのは後のオランダ東インド会社と幕府との貿易に非常に大きな影響を与えることになります。

フェルメールと東インド会社、そして江戸幕府。

この3つのつながりを考えながらフェルメール絵画を鑑賞する。これは何ともマニアックでありながら楽しい鑑賞スタイルでもあります

光の画家フェルメールと科学革命

平川新『戦国日本と大航海時代』~なぜ日本はポルトガルや英蘭東インド会社の植民地にならなかったのか

16世紀から17世紀、スペイン、ポルトガルがアメリカやアジアの海を席巻していた中で新しく台頭してきたイギリス、オランダ。

この4強が日本を狙わなかったわけがありません。アジア諸国も続々と彼らに支配されていく中でなぜか日本だけは彼らに屈することがありませんでした。なぜこんなことが可能だったのでしょうか。それがこの本で語られます。正直、私はこの本を読んでものすごく驚きました。これまでの日本観が変わってしまうほどでした。

光の画家フェルメールと科学革命

岡部紘三『図説 ヒエロニムス・ボス』ダ・ヴィンチと同世代の天才画家を知るのにおすすめのガイドブック!

ヒエロニムス・ボスはあのレオナルド・ダ・ヴィンチとほぼ同時代に生き、ルネッサンス全盛の時代の中でも独自の立場を築き上げた画家と言えます

この本はそんな奇妙な絵を描いたボスの解説や時代背景も知れるおすすめのガイドブックです。写真や絵のズームも多く、視覚的に学べるのもありがたいです。

ボスの不思議な世界観にはただただ驚くしかありません。ダ・ヴィンチともまた違った絵画世界を味わうのも非常に楽しいものがあります。ぜひぜひおすすめしたい入門書です。

クラシック・西洋美術から見るヨーロッパ

『もっと知りたいベラスケス 生涯と作品』~代表作『ラス・メニーナス』で有名!印象派画家マネが『画家たちの画家』と絶賛したスペインの巨匠

後に世界を席巻するフランス印象派の成立にスペインの宮廷画家ベラスケスの影響があったというのは非常に興味深かったです。

この本ではそんなベラスケスの作品をたっぷり味わうことができます。解説もわかりやすく、当時の時代背景も学ぶことができるのでとてもありがたい入門書でした。

クラシック・西洋美術から見るヨーロッパ

『もっと知りたいエル・グレコ 生涯と作品』~トレドの偉大な画家とギリシア正教のイコン画との意外なつながりとは

エル・グレコといえばスペインのトレドで活躍した、独特のタッチが特徴の画家です。

彼はギリシア正教のイコン画の影響を強く受けていた画家でした。

西欧美術の本場イタリアの伝統とは異なる土壌で修行をしたエル・グレコだからこそこうした独特な絵を生み出すことができたというのは非常に興味深かったです。

クラシック・西洋美術から見るヨーロッパ

小崎哲哉『現代アートとは何か』~「アートがわからない!難しい!」という方にこそおすすめの入門書!私もこの本に救われました

この本は非常におすすめです。私の現代アートへのアレルギーを癒してくれた入門書です。

この本で「現代アートはそもそも美しいとは限らない」という大前提を知ったことで、かなり肩の荷が下りたような気がします。現代アートが苦手な方にこそぜひぜひおすすめしたい入門書です。目から鱗の事実がどんどん出てきます!読めばきっと驚くと思います!

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

ソ連や全体主義との恐るべき共通点ーカラマーゾフとのつながりも「『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖支配』を読む」記事一覧

中世スペインの異端審問は過去の遺物ではなく、現代につながる人間の本質的な問題であることをこの本で学びました。

これまで学んできたレーニン、スターリンのソ連や独ソ戦と非常に強いつながりを感じました。

そしてこの本の面白い所は所々で著者の思いが吐露されていて、単なるデータの羅列には終わらない点にあります。読み応え抜群です。読んでいて本当に面白い本でした。 この本はとてもおすすめです。ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

(11)異端審問を学ぶことは「人間とは何か」「現代とは何か」を考えることである

学べば学ぶほど、ものごとはそう単純ではないことに気づく。

「異端審問官を、賄賂と権力に弱いと言って責め、拷問官を、サディストだと言って責め、植民地拡大のため戦争に賛成する者を、戦争をしたと言って責めることができた。」と著者も述べています。 残虐行為をした人間を「悪人だ」と断罪し、その悪の責任を彼に押し付けるのは簡単です。しかし、その悪が彼固有のものではなく、人間そのものが背負っているものだとしたらどうでしょうか。彼を責めることは自分を含めた人間そのものを責めることにもなるのです。

異端審問のシステムは中世スペインだけではありません。現代に生きる私たちの世界にも連綿と続いています。そうした人間そのものについて考えることが必要なのではないでしょうか。