スペイン

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

(1)スペイン異端審問はなぜ始まったのか~多宗教の共存とその終焉

異端審問が導入された当初、町の人々がそれを拒んだというのは驚きでした。人々は国から送られてきた役人、つまり異端審問官が町の文化や社会を壊してしまうことを察知していたのです。

この記事内にありますように、「コンベルソ」という改宗キリスト教徒と「モリスコ」という改宗イスラム教徒がこの街に居て、彼らはキリスト教徒とともに生活し、互いに様々な文化が入り混じった社会を形成していました。

これがこれから見ていくスペイン異端審問における重要な背景です。共存しながら生活していた人々が恐怖や憎しみ、嫉妬、相互不信によって引き裂かれていく過程がこの本では語られていきます。

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

トビー・グリーン『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖支配』~ソ連や全体主義との恐るべき共通点―カラマーゾフとのつながりも

この本で見ていくのはまさしくスペイン・ポルトガルで行われた異端審問です。

この異端審問で特徴的なのは、宗教的なものが背景というより、政治的なものの影響が極めて強く出ているという点です。

この点こそ後のスターリンの大粛清とつながる決定的に重要なポイントです。

石の客ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキン『石の客』あらすじと感想~プレイボーイの代名詞「ドン・ファン」をロシア流に翻案した名作悲劇

プーシキンは既成のドン・ファン像をそのまま採用することはしませんでした。

彼の描くドン・ファンはたしかにプレイボーイではあるのですが、スペインやイタリア、フランスのように女をもてあそんでは捨てるというような軽薄な男ではありません。

ドストエフスキーがプーシキンを高く評価するのも、こうした彼の独特な世界の見方とそれをロシア人の心に響くものにまで磨き上げた点にあるのでした。

プーシキンは読めば読むほどその革新性や後代に与えた影響力の大きさを感じさせられます。

この作品もとても面白い作品でした。非常におすすめです。

マッカーターロシアの歴史・文化とドストエフスキー

R・マッカーター『名建築は体験が9割』~建造物に込められた意味を知るのにおすすめの解説書

建築は外観だけではなく、内部空間で感じる体験こそ人を感動させるのだということをこの本では教えてくれます。

写真や映像で見るだけでなく実際にその場に行ってみないとわからない感覚がある。

だからこそ現地に行って直接体験することには大きな意味がある。

そのことをこの本を読んで改めて感じました。

カラマーゾフの兄弟ドストエフスキー作品

『カラマーゾフの兄弟』あらすじと感想~ドストエフスキーの最高傑作!!神とは?人生とは?自由とは?

『カラマーゾフの兄弟』が発表されてから120年。これだけの月日が経っても変わらずに多くの人から愛され続けているのはそれなりの理由があります。

この物語が持つ魅力があるからこそ、読者に訴えかける何かがあるからこそ、こうして読み継がれているのだと思います。

『カラマーゾフの兄弟』はドストエフスキー作品の中でも私が最も好きな、そして思い入れのある作品です。

長編小説ということでなかなか手に取りにくい作品ではありますが、心の底からおすすめしたい作品です。

キリスト教ドストエフスキーとキリスト教

フスト・ゴンサレス『キリスト教史』~キリスト教の歴史の大枠を学ぶのにおすすめの参考書!

この本では「キリスト教こそ絶対に正しくて、異教徒は間違っている」というニュアンスはまず存在していません。歴史的にその出来事はなぜ起こったのかということをできるだけ客観的に見ていこうという視点が感じられます。

また、この本はそもそも読み物としてとても面白いです。キリスト教史の教科書というと、固くて難しい本をイメージしてしまいがちですが、フスト・ゴンサレス『キリスト教史』は一味も二味も違います。

親鸞とドストエフスキー

世界一周の旅とドン・キホーテの理想、そしてドストエフスキーへ―私とドストエフスキーの出会い⑶ 

2019年の世界一周の旅から帰国後、私はお寺の行事を通して多くの子供たちと出会いました。

そして彼らがきっかけとなり私はドストエフスキーと再会することになります。これが私とドストエフスキーの第二の出会いでした。

この時から今現在に至るまでドストエフスキーの研究を継続して行っています。

彼を学ぶうちにドストエフスキーと浄土真宗の開祖親鸞聖人との驚くべき共通点が明らかになってきました。ますますドストエフスキーを学ぶ意味が大きくなってきています。

セビリアスペイン編

世界遺産セビリア大聖堂とコロンブスのお墓~『カラマーゾフの兄弟』とのつながりも スペイン編30

セビリアはアンダルシアの州都でこの地方最大の都市。

16世紀から17世紀にはスペイン最大の都市となり、現在でもスペインで4番目の街です。

私の目的地セビリア大聖堂は1402年から建築が始まり1519年に完成した大聖堂。

「後世の人が正気の沙汰とは思えないと言うほどのカテドラルを建てよう」という言葉を合言葉に建築された巨大な大聖堂です。

そしてあまり知られていませんが、ここセビリアはドストエフスキーの代表作『カラマーゾフの兄弟』のハイライトと言える「大審問官の章」の舞台となっています。この記事ではそんなセビリアとドストエフスキーについてもお話ししていきます。

スペイン編

世界遺産コルドバのメスキータとその歴史~モスクの中に教会が!? スペイン編29

コルドバと言えばメスキータ。アルハンブラ宮殿と並ぶイスラーム建築の最高峰とされる巨大なモスクです。

内部には円柱の森と呼ばれる特徴的なアーチ型の柱がびっしり。

メスキータ自体は785年に建設が始まり、その後何度も増改築がされて現在の姿になっています。

この建物が興味深いのは13世紀にレコンキスタによってコルドバがキリスト教徒に占領された際、建物がそっくりキリスト教の教会へと転用されてしまったところにあります。

そして16世紀には大規模な改装があり、モスクの中に巨大なカテドラルが作られるという異例の事態となったのでした。

スペイン編

アルハンブラ宮殿の夕焼けとライトアップをサンニコラス展望台から堪能! スペイン編28

グラナダ最後の夜。

私はサンニコラス展望台から夕陽に染まるアルハンブラ宮殿を見に行くことにしました。

この展望台はちょうどアルハンブラ宮殿と同じ目線の高さくらいにあり、それこそ宮殿の真正面の絶好の夕日と夜景の観賞スポットとなるのです。

この記事ではそんな見事なアルハンブラの姿をお話ししていきます。