バイロン『マンフレッド』あらすじと感想~「バイロン的」とは?プーシキンの『オネーギン』とのつながり

バイロンは後の作家たちに多大な影響を与えました。プーシキンもその一人です。

そしてそのプーシキンを深く敬愛していたドストエフスキーもバイロンを読み込み、そして『オネーギン』を通してバイロン的なるものへの思索を深めていったのでありました。

こうして考えてみると改めて、あらゆるものは繋がっているのだなと感じさせられました。

『マンフレッド』は近代人の自我の悩みを描いた古典中の古典です。その迫力は今でも色あせないものがあると感じました。言っていることに全然古さを感じさせないです。

オネーギン

プーシキン『エヴゲーニイ・オネーギン』あらすじと感想~ロシア文学に巨大な影響を与えた傑作!

『エヴゲーニイ・オネーギン』はプーシキンの代表作であり、ロシア文学史上最高傑作の一つに数えられています。

この作品はドストエフスキーに多大な影響を与え、彼の最晩年のプーシキン講演の中心主題もこの『エヴゲーニイ・オネーギン』でした。

そしてこの作品は19世紀ロシアだけではなく、今でもロシア人に愛されています。

私の通うロシア語教室の先生も「プーシキンは私たちの全てです。彼は本当に素晴らしいです。ロシア人の心が彼の詩にあります」と仰られていました。

プーシキン講演

プーシキンをこよなく愛したドストエフスキー。伝説のプーシキン講演とは

プーシキン講演はドストエフスキーが亡くなる前の年の出来事です。

病気が進行し『カラマーゾフの兄弟』の執筆だけでもやっとの状態で、命がけで臨んだ講演です。

おそらくこの遠征が彼の命を縮めることになってしまったのかもしれません。

ですが彼にとってプーシキンという詩人に対する思いはそれほどのものだったのです。命をかけてでも臨むべき戦いだったのです。

ロシアの国民詩人プーシキンとは?代表作や生涯、特徴をざっくり解説!

ロシアの国民詩人プーシキンはドストエフスキーが最も愛し、最も尊敬した文学者です。

ドストエフスキーは幼い頃から彼の詩にのめり込み、最晩年までずっと彼の作品と共にありました。

そんなプーシキンですが日本では名前は知られてはいるものの、どのような人物であるのか、どんな作品を世に残したのかとなるとほとんど知られていません。

今回の記事ではそんなプーシキンについてざっくりとお話ししていきます。

ロシア正教古儀式派

『ロシア正教古儀式派の歴史と文化』~ドストエフスキーは無神論者で革命家?ドストエフスキーへの誤解について考える

この記事では「ドストエフスキーは無神論者であり、革命思想を持った皇帝暗殺主義者だった」という説について考えていきます。

これは日本でもよく聞かれる話なのですが、これはソ連時代、ソ連のイデオロギー下で発表された論説が基になっていることが多いです。

この記事ではなぜそのようなことになっていったのかもお話ししていきます。

ヒングリー

R・ヒングリー『19世紀ロシアの作家と社会』~知られざるロシア社会と文学者のつながりを網羅した名著

ドストエフスキーをはじめとしたロシア文学がなぜこうも私たちの心を打つのか。

それは彼らの人生に対する真剣さにあったのだ。

著者のヒングリーはそう述べます。

この本は19世紀のロシア社会やその文化と作家たちのつながりを解説しています。

文学論や哲学講義としてはよく出てくる19世紀ロシアですが、その社会事情や文化面はなかなか話に上ってくることがありません。そういう意味でこの本は非常に興味深い視点を与えてくれます。

マッカーター

R・マッカーター『名建築は体験が9割』~建造物に込められた意味を知るのにおすすめの解説書

建築は外観だけではなく、内部空間で感じる体験こそ人を感動させるのだということをこの本では教えてくれます。

写真や映像で見るだけでなく実際にその場に行ってみないとわからない感覚がある。

だからこそ現地に行って直接体験することには大きな意味がある。

そのことをこの本を読んで改めて感じました。

神野正史

神野正史『世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こった』なぜ日露戦争は勃発したのか―ウラジオストクとシベリア鉄道との関係

この本ではまず眠れる獅子清国がいかに繁栄しいかにして衰退していったのかが書かれ、それに伴い朝鮮や日本がどのように動いていったのかが描かれます。

その時日本はまさに幕末。外国勢力の圧力が否が応にも増し、開国か攘夷かで揺れていた時期です。

この頃の日本の混乱や、その当時の中国、朝鮮、ヨーロッパ情勢が神野先生によってわかりやすく解説されます。かなり意外な発見もありとても楽しく読むことができます。

神野先生のお話を聞くと、つくづく「世界は複雑極まりなく、単純なものなどひとつもない」と思わされます。