2022年6月

ロシアの巨人トルストイ

『カフカース 二つの文明が交差する境界』~カフカースとロシア文学のつながりを知るのにおすすめ!

私がこの本を手に取ったのはトルストイ伝記の金字塔、藤沼貴著『トルストイ』でこの作品が紹介されていたからでした。

この作品はそれぞれの分野の専門家による共著になります。この本では文学だけでなく様々な観点からカフカースを見ていくことができます。

私はトルストイとの関係性からカフカースに関心を持つようになりましたが、入り口は人それぞれだと思います。そんな中多様な視点からカフカースを見ていくこの本の試みは非常に面白いなと思いました。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(37)マルクスのプロレタリアートは革命理論のために生み出された存在だったという衝撃の事実

今回の記事で紹介する箇所はマルクス主義を考える上で非常に重要な問題を提起していると思います。

マルクスは何のために共産主義を説いたのか。

本当に貧しい人を救うためだったのか。

なぜマルクスやエンゲルスは自説とは矛盾した行動を取り続けたのか。

こうしたことを考える上でも今回の箇所は私にとっても非常に大きなものになりました。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(36)マルクスの『共産主義者宣言』が出版直後には世間から無反応だったという驚きの事実

「ヨーロッパに亡霊が出没する―共産主義という亡霊が」

「万国の労働者、団結せよ!」

という言葉で有名なマルクス・エンゲルスの『共産主義者宣言(共産党宣言)』ですが、実は発刊当時はほとんど反響がありませんでした。

20世紀で最も読まれた書物のひとつとして有名なこの作品がなぜそんなことになってしまったのかをこの記事では見ていきます。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

宮下規久朗『カラヴァッジョ巡礼』~イタリア現地観光に便利なおすすめガイドブック!

この本はイタリア各地にあるカラヴァッジョの作品をその地域ごとにまとめて紹介してくれる作品です。

地図でそれぞれの所蔵教会や美術館の位置もわかりやすく示してくれているので現地で巡礼をする際に役立つこと間違いなしです。

この本を読んでいるとそうした巡礼の厳かな雰囲気も伝わって来るようです。私もカラヴァッジョ巡礼をしたくてうずうずしてきました。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

宮下規久朗『闇の美術史 カラヴァッジョの水脈』~闇があるから光が生きる。「闇と光」と宗教のつながりとは

「闇に灯る光は、人に厳粛で宗教的な雰囲気を呼び起こす」

「こうした夜の恐怖の中から様々な宗教や信仰が生じたのは自然であり、そこに灯火が重要な役割を果たしたのも当然であった。それは人を暗く恐ろしい闇の世界から解放し、救いに導くように思われるのだ。」

著者がこう語るように「光と闇」の感覚は人間にとって根源的なものではないでしょうか。

この本はそんな「闇と光」の関係を絵画を通して深く考察していく作品になります。

僧侶としてもこの作品は非常に興味深いものがありました。

光の画家フェルメールと科学革命

宮下規久朗『フェルメールの光とラ・トゥールの炎―「闇」の西洋絵画史』~ダ・ヴィンチからフェルメールへと続く光と闇の探究とは

窓から差し込む美しい光を描いたフェルメール。それに対し闇を照らすろうそくの火を描いたラ・トゥール。

この2人の対比はそれだけでも興味深いですよね。

そしてさらに興味深いのはこうした「光と闇」の探究があのレオナルド・ダ・ヴィンチに遡り、そこからカラヴァッジョの独特な光線による描写が生まれてきます。

こうしたフェルメールへと繋がっていく光の探究を流れをわかりやすく知れるおすすめの作品です

光の画家フェルメールと科学革命

岡部昌幸『レンブラントとフェルメール』~オランダ絵画の二大巨匠を比べて学べるおすすめ作品!

フェルメールに関してはこれまで様々な作品を読んできたのでその生涯や特徴については知ってはいましたが、意外とレンブラントに関してはあまり手が伸びなかったというのが正直なところです。

そんな中でフェルメールと比べながらレンブラントの生涯や作品をわかりやすく語ってくれるこの本はとてもありがたいものとなりました。

オランダ絵画を代表する2人についておおまかな概要を知れるこの作品は多くの方にとってもかなり参考になると思います。オランダ絵画入門としても格好の作品かもしれません

光の画家フェルメールと科学革命

朽木ゆり子、前橋重二『フェルメール巡礼』~所蔵博物館を訪れるのに便利なおすすめガイドブック!

この本で最もありがたいのはそれぞれのフェルメール作品が所蔵されている美術館の地図や外観、そして館内の雰囲気まで知れるところにあります。

そして一枚一枚の絵に対しても、わかりやすい解説があるので、この本一冊があれば旅行の際に非常に重宝すると思います。

これを読んでいると実際に現地でオリジナルの絵画を観たくなってきます。

実は私もすでに観に行く気満々になっています。

光の画家フェルメールと科学革命

朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』~世界のフェルメール作品を訪ねたジャーナリストの魅力的な旅行記

この本はジャーナリストによる旅行記ということで、現地の様子やフェルメール絵画のポイントが非常に読みやすくまとめられています。フェルメールの専門家ではないからこその率直な見解を聞くことができるのもありがたい点です。

旅行記としても素晴らしい作品ですし、フェルメール入門書としてもおすすめしたい作品です。とても面白い1冊でした!

光の画家フェルメールと科学革命

『[新装版]赤瀬川原平が読み解く全作品 フェルメールの眼』~画家で芥川賞作家の著者が語るフェルメールの魅力とは

著者の赤瀬川原平さんは画家でありながら芥川賞受賞作家という異色の経歴の持ち主です。そんな著者が語るフェルメール評が今作となります。

この本の中で一番印象に残った絵画紹介は何と言っても『デルフトの眺望』です。私がフェルメールにはまるきっかけとなったのがこの絵なのですが、なんと、赤瀬川さんもこの絵がフェルメールとの最初の出会いだったそうです。この本についての語りが本当に素晴らしかったのでこの記事では紹介していきます。