2022年6月

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(40)イギリスヴィクトリア朝の繁栄と労働者の生活水準の上昇~プロレタリアートのブルジョワ化

エンゲルスがいた頃(1843-44年)のマンチェスターはこの世の地獄のような場所でした。そんな悲惨な環境を告発したのが彼の著書『イギリスにおける労働者階級の状況』でした。この作品はマルクスにも絶賛され『共産党宣言』や『資本論』にも大きな影響を与えました。

しかし、50年代にも入るとそのような描写はすっかり時代遅れなものになっていました。エンゲルスが不在だった数年間にイギリスは激変してしまったのです。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

ゲーテ『色彩論』~万能の詩人ゲーテは光の研究者でもあった!光の画家フェルメールとのつながりを考える

ゲーテが単なる詩人ではなく、有能な役人として働いたり、科学の分野でも才能を発揮していたことはA.ビルショフスキによる伝記『ゲーテ その生涯と作品』のおかげで知ってはいましたが、今回フェルメールを学んだことでいよいよフェルメールとゲーテが繋がってきました。

思わぬところで大好きなゲーテとフェルメールがつながり、私としては嬉しい発見となりました。

光の画家フェルメールと科学革命

藤田一郎『脳がつくる3D世界 立体視のなぞとしくみ』フェルメールのリアルな絵画がいかに高度な技術なのか考えてみた

絵を描くというと、「ありのままに描けばいいじゃない」と簡単に考えてしまいがちですがこれがいかにとてつもない技術なのかということを思わされます。そもそも3D世界を網膜で2Dに映し取り、それを脳で3Dに再構成し、それをさらに2Dの平面に3Dの絵として描くのですから「ありのまま」どころの話ではありません。とてつもない情報処理がそこで行われているのでした。

当たり前といえば当たり前のことなのかもしれませんが、この本を読んで目の仕組みというものについて改めて考えさせられました。

ロシアの巨人トルストイ

篠野志郎『アルメニア共和国の建築と風土』~世界最古のキリスト教国の独特な教会建築を知れるおすすめ写真集!

この作品は世界最古のキリスト教国として知られるアルメニアの教会群を取材した写真集になります。

アルメニアの首都エレバンからはあのノアの箱舟で有名なアララト山を望むことができます。私がアルメニアに興味を持ったのもまさにこのアララト山の存在があったからでした。

歴史ある建築物の写真を見ながら、独特な歴史を歩んできたアルメニアの文化を知れる貴重な作品です。

ロシアの巨人トルストイ

廣瀬陽子『コーカサス 国際関係の十字路』~現代コーカサス、ロシアの政治情勢を知るのにおすすめの参考書

北コーカサスのチェチェンについては多くの本がでていますが、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンの三国についてもわかりやすく解説してくれる本となるとなかなか貴重です。

この本は2008年に出版された作品ですので、2022年段階では最新の情報というわけではありません。ですがソ連崩壊から15年以上経った段階でのカフカースを知る上で今なお価値ある作品だと思います。

難しいコーカサス情勢をわかりやすく知れるおすすめな1冊です。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(39)マルクス・エンゲルスのイギリス亡命生活の始まり

フランス二月革命を経てマルクス・エンゲルスは共に政治犯として追われる身になっていました。

そこでマルクスは政治犯でも受け入れてくれるイギリスを亡命先として選ぶことになります。

エンゲルスもそうしたマルクスを追い、イギリスへと向かうことになったのでした。

そしてそこでのエンゲルスの決断がまた驚きです。やはり彼は矛盾をものともしない図太い神経があったのでした。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(38)1848年フランス二月革命の衝撃と革命の戦場に向かうエンゲルス

革命を待ちに待っていたマルクス・エンゲルスはブリュッセルにいてその場に立ち会うことができませんでしたが、彼らは歴史の必然としてやってくるであろうプロレタリアート革命に向けて政治活動を熱心に行います。

しかし1848年のフランス二月革命をきっかけにヨーロッパ各地で起きた革命はマルクス・エンゲルスが予想していた展開とは全く異なる動きを見せ始めるのでした。

イタリアルネサンスと知の革命

W・アイザックソン『レオナルド・ダ・ヴィンチ』~映画化決定!人間ダ・ヴィンチを知れるおすすめ伝記!

ダ・ヴィンチがある種の巨大な才能を持っていたことは確かです。ですがだからといって私たちが彼を圧倒的な超人として遠ざけてしまっては大切なことを見逃してしまうことになります。私達はダ・ヴィンチから学ぶことができる。私たちも彼に習ってできることがあるのではないか。

そのような立場から著者はダ・ヴィンチを論じていきます。スティーブ・ジョブズの伝記を書いたアイザックソンらしい非常に刺激的な一冊でした。

光の画家フェルメールと科学革命

元木幸一『笑うフェルメールと微笑むモナ・リザー名画に潜む笑いの謎』~笑顔とキリスト教とのつながりまで知れるおすすめ解説書

この本はタイトルにありますように、フェルメールとモナ・リザの笑顔を主題に、絵画史における知られざる笑顔の意味を探究していく作品です。

この作品で私が印象に残ったのはキリスト教における笑顔の意味です。

これは絵を観ただけではなかなか気づけないものではありますが、一度知ってしまったらその見え方が一変してしまうほどです。ぜひおすすめしたい作品です。

ロシアの巨人トルストイ

V・ベリゼ『ジョージアの歴史建築 カフカースのキリスト教建築美術』~ジョージア観光の予習におすすめ!

この作品はジョージアの独特な教会建築を余すことなく解説してくれる非常に貴重なガイドブックとなっています。

日本ではジョージアの教会についてはほとんど知られていませんが、その独特な構造や美しさは写真を見ただけでもどきっとするほどです。

そしてこの本では教会建築の解説だけではなく、教会を巡るための旅のガイドまで掲載してくれています。

これは貴重な1冊です。