ツルゲーネフ

死せる魂ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

ゴーゴリ『死せる魂』あらすじと感想~ロシア文学史上最高峰との呼び声高い作品

『死せる魂』は1842年に発表されたゴーゴリの代表作たる長編小説です。

ゴーゴリはプーシキンに直接師事していました。ここにプーシキン―ゴーゴリというロシア文学の流れを作った偉大な関係がありました。

そんな尊敬する師プーシキンから譲ってもらったテーマをゴーゴリはこの作品で発展させていきます。

ドストエフスキーもこの作品を非常に好んでいたとされています。

ロシアの現実をリアルに描写する。

後のロシア人作家たちの共通のテーマがこの作品によって明確に示されることになったのでした。

ゴーゴリロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

ゴーゴリ『外套』あらすじと感想~小官吏の悲哀に満ちた日々~ドストエフスキー『貧しき人びと』に直結

『外套』はドストエフスキーを理解する上でも非常に重要な作品と言えます。

また当時のロシア社会を知る上でも興味深い作品です。ロシアの小役人たちの生態をゴーゴリはユーモアを交えて語っています。

ドストエフスキーは『外套』を下敷きに彼独自の物語を書き始めます。それが彼のデビュー作『貧しき人びと』だったのです。

ゴーゴリロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキンに続くロシア文学界の星ゴーゴリとドストエフスキー

これまでの記事でドストエフスキーが最も敬愛していたプーシキンについてお話ししてきましたが、今回からそのプーシキンの後にロシア文学界を牽引したゴーゴリについてお話ししていきます。

ゴーゴリもドストエフスキーが非常に好んでいた作家で、彼のデビュー作『貧しき人びと』はゴーゴリの影響を強く受けていると言われています。

また、晩年には彼の子どもたちにゴーゴリの『タラス・ブーリバ』を読んで聞かせたりするなど、生涯を通してこの作家に対する愛情がうかがわれるエピソードが残っています。

プーシキン講演ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキンおすすめ作品一覧~ドストエフスキーの心の師匠!日本でマイナーなのがあまりにもったいない作家!

ドストエフスキーやトルストイを読まれた方なら特にプーシキンはおすすめです。彼らがいかにプーシキンの影響を受けているかがわかり、読んでいてとても興味深い体験になると思います。

ぜひこのページをきっかけにプーシキン作品に触れて頂けましたら幸いでございます。

ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

レールモントフ『現代の英雄』あらすじと感想~ロシア最初の心理的小説!ロシア三大文豪とのつながり

『現代の英雄』は後の作家たちに大きな影響を与えました。

特に、「しかしこのような風俗的亜種を生み出したのも、作品にそれだけ強い毒が含まれているということであって、人間の魂の暗い部分、いわゆる存在の「悪」の意味をドストエフスキイに先んじてつかまえていたこの作品は今日もその新鮮さを失っていない。」とロシア文学者川端香男里氏が述べるのは非常に重要です。

ロシア文学に特有の、人間の本質に迫るどろどろした展開はここに根があったのです。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

バイロン『マンフレッド』あらすじと感想~「バイロン的」とは?プーシキンの『オネーギン』とのつながり

バイロンは後の作家たちに多大な影響を与えました。プーシキンもその一人です。

そしてそのプーシキンを深く敬愛していたドストエフスキーもバイロンを読み込み、そして『オネーギン』を通してバイロン的なるものへの思索を深めていったのでありました。

こうして考えてみると改めて、あらゆるものは繋がっているのだなと感じさせられました。

『マンフレッド』は近代人の自我の悩みを描いた古典中の古典です。その迫力は今でも色あせないものがあると感じました。言っていることに全然古さを感じさせないです。

オネーギンロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキン『エヴゲーニイ・オネーギン』あらすじと感想~ロシア文学に巨大な影響を与えた傑作!

『エヴゲーニイ・オネーギン』はプーシキンの代表作であり、ロシア文学史上最高傑作の一つに数えられています。

この作品はドストエフスキーに多大な影響を与え、彼の最晩年のプーシキン講演の中心主題もこの『エヴゲーニイ・オネーギン』でした。

そしてこの作品は19世紀ロシアだけではなく、今でもロシア人に愛されています。

私の通うロシア語教室の先生も「プーシキンは私たちの全てです。彼は本当に素晴らしいです。ロシア人の心が彼の詩にあります」と仰られていました。

プーシキン講演ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキンをこよなく愛したドストエフスキー。伝説のプーシキン講演とは

プーシキン講演はドストエフスキーが亡くなる前の年の出来事です。

病気が進行し『カラマーゾフの兄弟』の執筆だけでもやっとの状態で、命がけで臨んだ講演です。

おそらくこの遠征が彼の命を縮めることになってしまったのかもしれません。

ですが彼にとってプーシキンという詩人に対する思いはそれほどのものだったのです。命をかけてでも臨むべき戦いだったのです。

ロシア正教古儀式派ドストエフスキーとキリスト教

『ロシア正教古儀式派の歴史と文化』~ドストエフスキーは無神論者で革命家?ドストエフスキーへの誤解について考える

この記事では「ドストエフスキーは無神論者であり、革命思想を持った皇帝暗殺主義者だった」という説について考えていきます。

これは日本でもよく聞かれる話なのですが、これはソ連時代、ソ連のイデオロギー下で発表された論説が基になっていることが多いです。

この記事ではなぜそのようなことになっていったのかもお話ししていきます。

ヒングリーロシアの歴史・文化とドストエフスキー

R・ヒングリー『19世紀ロシアの作家と社会』~知られざるロシア社会と文学者のつながりを網羅した名著

ドストエフスキーをはじめとしたロシア文学がなぜこうも私たちの心を打つのか。

それは彼らの人生に対する真剣さにあったのだ。

著者のヒングリーはそう述べます。

この本は19世紀のロシア社会やその文化と作家たちのつながりを解説しています。

文学論や哲学講義としてはよく出てくる19世紀ロシアですが、その社会事情や文化面はなかなか話に上ってくることがありません。そういう意味でこの本は非常に興味深い視点を与えてくれます。