SF

ディストピア・SF小説から考える現代社会

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』あらすじと感想~『一九八四年』と並ぶディストピア小説の傑作

『一九八四年』が徹底した管理社会の構築によって完成された暗い世界を描いているのに対し、この作品ではそんな暗さがありません。そこに生きる人たちはあくまで幸福なのです

ですが、その不気味な幸福さとその幸福がいかにして出来上がっているかに私たち読者は恐怖や違和感を覚えることになります

SF、ディストピア小説の王道中の王道です!おすすめ!

ディストピア・SF小説から考える現代社会

香西秀信『レトリックと詭弁』~詭弁の仕組みとその対策法とは~優しい人、真面目な人ほど知ってほしい詭弁や圧力から心を守る術

口が強い人に言いくるめられて、辛い思いをした方はきっとたくさんおられるのではないかと思います。

そして悲しいかな、優しい人や真面目な人ほどそうした相手の言葉に反論できず、自分の中にその苦しみを溜め込んでしまう。

そんな世の中にあって、この本はそれこそそんな苦しみへの処方箋というべき素晴らしい1冊となっています。

ディストピア・SF小説から考える現代社会

オーウェル『動物農場』あらすじと感想~こうして人は騙される。ソ連の全体主義を風刺した傑作寓話

敵を作りだし、憎悪や不安、恐怖を煽って宣伝してくる人たちには気を付けた方がいいです。敵を倒した後に何が起こるのか、それを『動物農場』は教えてくれます。

この作品は150ページほどの短い小説で、読みやすくありながら驚くほどのエッセンスが凝縮されています。衝撃的な読書になること請け合いです。非常におすすめな作品です!

ディストピア・SF小説から考える現代社会

オーウェル『一九八四年』あらすじと感想~全体主義・監視社会の仕組みとはー私たちの今が問われる恐るべき作品

『一九八四年』は非常に恐ろしい作品です。ですがこれほど重要な作品もなかなかありません。現代の必読書の一つであると私は思います。

私はコロナ禍が始まった頃から特にオーウェル的世界に対し恐怖を感じています。この作品は「今私たちはどのような世界に生きているか」を問うてくる恐るべき作品です。今だからこそ特に大事にしたい名作です

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

P・ルセサバキナ『ホテル・ルワンダの男』~虐殺は「言葉」から始まった…恐るべき民族虐殺の実態とは

ルワンダの虐殺中、危険を顧みずおよそ1200人もの人の命を救ったホテルマンの物語。この出来事は映画化され、世界中でヒットしました。 この本もルワンダの虐殺を知る上で非常に貴重な一冊です。

なぜ人々はあっという間に虐殺者に変わってしまったのか。彼はその原因を「言葉」だと言います。私はこの本を初めて読んだ時、鳥肌が立ちました。この「言葉」を聴いて私は伊藤計劃さんの『虐殺器官』を連想してしまったのです。

冷戦世界の歴史・思想・文学に学ぶ

ティモシー・スナイダー『暴政-20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』~世界的な歴史家が説く読書のすすめ

私たちは歴史から学ばなければなりません。そのために実際に何から始めればよいのか、それをこの本ではアドバイスしてくれます。

この記事ではその中でも私が気になったひとつ、「自分の言葉を大切にしよう」という章を紹介したいと思います。そこでは読書の意義について語られており、私の中で一番印象に残った箇所でもありました

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

(10)『ドン・キホーテ』のおすすめエピソード「焚書詮議の物語」と異端審問のつながり

今回ご紹介する『ドン・キホーテ』の焚書詮議の物語は私の大好きなエピソードです。何回読んでもくすっと笑ってしまいます。セルバンデスのユーモアがこれでもかと詰まったシーンです。

『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』を読んだことで、そんな私の大好きなシーンが異端審問とつながり、新しい視点を得ることができました。セルバンデスの驚くべき手腕にただただ感嘆するのみです。

とても興味深い読書体験でした。