ドイツ文学

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

小栗浩『人間ゲーテ』~ゲーテ入門に最適!ゲーテとはいかなる存在か、その魅力を解説する1冊!

「人間ゲーテ」を描きだすこの1冊は非常に興味深いものとなっています。

そしてまたありがたいのが読みやすく、わかりやすいという点です。

ゲーテというと「難しい」イメージがありますがこの本は時代背景やゲーテの生涯を中心に、入門者でも理解できるように書かれています。

やはり当時の時代背景がわからないとその人物がなぜすごいのかということはわかりにくいです。

逆に言えばそこをしっかり押さえればその人物の魅力も浮き上がってくることになります。

ゲーテはなぜ世界史上最高峰の人物として称えられているのか。また、彼の代表作『ファウスト』がどれだけすごいものなのかということがこの本を読むことで見えてきます。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

アルセニイ・グリガ『カント その生涯と思想』~思想と時代背景を解説する1冊。ドストエフスキー、トルストイとの関係も

著者のアルニセイ・グリガはソ連の研究者です。かつてのソ連の研究はイデオロギーがかなり混入することが多かったのですがこの本の原著が書かれたのは1977年ということでそこまでイデオロギーを感じることはありません。

また、ソ連の研究者ならではの視点、ドストエフスキーとトルストイとの関係という点からカントを見ていく点もこの本の特徴です。

入門書としては少し厳しいものがあるように思えますが、カントが活躍した時代の社会情勢や文化背景を知ることができるのは非常に有益です。カントをより深く知りたい方におすすめしたい一冊です。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

石井郁男『カントの生涯 哲学の巨大な貯水池』~人となりや時代背景を知れるおすすめカント伝記

この伝記はカント入門に最適です。この本はそもそもカントとはどんな人間だったのか、どんな環境で生まれ、どんな生涯を送ったかをわかりやすく解説してくれます。とにかく読みやすいです。

カントといえば難解な哲学者のイメージがありますよね。私もカントの著作には何度も挑戦しましたがその度に跳ね返され挫折しています。

とにかく難解!私にとってもカントは巨大な壁でした。

ですがそれでもなんとか少しでもカントのことを知ることはできないだろうか、そう思い手に取ったのがこの本でした。

そしてこの本はそんな私の期待に見事に応えてくれました。ぜひぜひおすすめしたい伝記です。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

H・アルトハウス『ヘーゲル伝 哲学の英雄時代』~ヘーゲルの人となりに迫る新たなるヘーゲル伝

この伝記を読んでみるとローゼンクランツの『ヘーゲル伝』とその雰囲気がかなり違うことにすぐに気づきます。

ローゼンクランツの『ヘーゲル伝』ではヘーゲルの思想の問題にかなりの分量が割かれるのですが、アルトハウスの伝記では彼がどのような生活をし、どのように人と関わり、どんな出来事が彼に影響を与えたのかということを丁寧に追っていきます。

そのため、物語のようにヘーゲルの生涯を辿っていくことができます。正直、ローゼンクランツの『ヘーゲル伝』よりもかなり読みやすく、そして面白いです。

さらにこの伝記ではマルクスとの関係など、その後の世界に与えた影響も知ることができたのがありがたかったです。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

K・ローゼンクランツ『ヘーゲル伝』~権威あるヘーゲル伝記の古典

本書における解説の最後で「これを凌駕するへーゲル伝がかつて書かれたことはなく,今後も現われないであろう。」と述べられるほどこの伝記はヘーゲル研究において評価されている作品と言えます。

私にとっては難易度の高いこの伝記ではありましたが、ヘーゲルを学ぶ上では必読とも言える非常に評価の高い伝記です。ヘーゲル伝記の古典としてこの本は重要な作品と言うことができるでしょう。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

ホフマン『砂男』あらすじと感想~ホフマン怪奇小説の代表作!ドストエフスキーの作風にも影響?

今回ご紹介した『砂男』はホフマン怪奇小説の典型的なパターンに沿った作品でした。

まず、主人公の前に怪しい男が現れ、そこから物語はスタートするもいよいよ謎は深まるばかり。

しかしふとしたことから一気に展開は動き、その男の謎が解き明かされ、狂気の正体が顔を出す。

これがホフマン怪奇小説の王道パターンです。

私はこうしたパターンを『砂男』から読んだとき、ふとドストエフスキーの『罪と罰』を連想してしまいました。この作品に出てくるスヴィドリガイロフというキャラクターもまさしくこうしたパターンに当てはまるような気がしたのです。

ドストエフスキーは若い頃ホフマンを愛読していました。その時の影響がもしかしたら様々な形でドストエフスキー作品にも表れているのかもしれない、そんな風に思ったのでした。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

ザフランスキー『E.T.A.ホフマン ある懐疑的な夢想家の生涯』~ドストエフスキーも愛したドイツ人作家のおすすめ伝記

この本のありがたいのはホフマンが生きた時代の社会や文化、時代背景を解説してくれるところにあります。

ホフマンが生きた1776年から1822年のドイツというのはゲーテやシラー、ショーペンハウアー、ヘーゲルが活躍した時代でもあります。またホフマンが生まれたケーニヒスベルクはあのカントが住んでいた街です。しかもカントは1724年生まれの1804年没ですのでまさしくカントが活躍していた街でホフマンは生れたのでした。

そういう意味でもザフランスキーがこの本で語る時代背景や文化は、他のドイツ人哲学者の背景を知る上でも非常に役に立ちます。

ホフマンその人を学びながら他の哲学者の人生と絡めて私たち読者は考えていくことができます。これは楽しい読書でした。

哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

ザフランスキー『ショーペンハウアー 哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記』~時代背景や家庭環境まで知れるおすすめ伝記

ザフランスキーの著作では当時の時代背景や思想の流れを解説してくれます。ショーペンハウアーが生きた時代や人となりを知った上で読むとまったくその本が違って見えてきます。

やはり抽象的な「思想」といえど、それは「生きた人間」から生み出されるものです。その思想だけ見ようと思ってもなかなか理解するのは難しい。思想もその時代や社会、人間と密接に関わり合って生まれてくるのだということをこの本では考えさせられます。時代背景がわかればぐっとその思想がわかりやすくなる。その素晴らしい例がこの著作であるなと思います。

難解で厳しい哲学を生み出した哲学者ショーペンハウアーだけではなく、人間ショーペンハウアーを知れる貴重な伝記です。この本が傑作と呼ばれるのもわかります。

ニーチェとドストエフスキー

ニーチェおすすめ作品7選と解説記事一覧~ニーチェは面白い!哲学だけではなくその人生、人柄にも注目です

ニーチェの哲学書と言えばとにかく難解なイメージがあるかもしれませんが、それでもなお現代まで多くの人に愛され続けているのも事実です。難解なだけでなく、やはりそこに何か読者の心を打つような強いメッセージがあるからこそ多くの人に読まれ続けているのだと思います。

今回はそんなニーチェの哲学書の中でも私がおすすめしたい7つの作品とニーチェに関する興味深い解説をまとめた記事をいくつか紹介していきます。

ニーチェとドストエフスキー

おすすめニーチェ解説書10選~ニーチェとは何者なのか、その思想を学ぶために

この記事では私のおすすめするニーチェの解説書10冊をご紹介していきます。

これから紹介する本を見て皆さんは驚かれるかもしれませんが、一般的に「ニーチェ 入門」と検索しておすすめされる本とはたしかに違うラインナップです。ニーチェ入門の本を探している方にはハードルが高いと思われるかもしれませんが、実際読んで頂ければわかると思いますがとても丁寧でわかりやすい解説書ばかりです。