橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』~ニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ
橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』概要と感想~ショーペンハウアー、ニーチェのニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ! フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)…
橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』概要と感想~ショーペンハウアー、ニーチェのニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ! フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)…
今、世の中は「教養ブーム」と言えるかもしれません。
「ビジネスに効く教養」や「人生の役に立つ教養」をわかりやすく紹介する本や情報が大量に出回っています。
ですが、知識をたくさん得ることで自分が教養のある人間だと思い込み、他者を下に見るようになってはそれこそ本末転倒なことになってしまうのではないでしょうか。人としてあなたはどう生きるか、何をしているのか、その生き様が問われるのが教養なのではないかと感じました。
本書の中で個人的に驚きだったのがドストエフスキーとの関係です。他の参考書ではニーチェがドストエフスキーの後期作品を読んでいたかは不明だとされていたのですが、西尾氏によると『悪霊』や『白痴』の影響が『アンチクリスト』には明らかに反映されていて、資料的な裏付けもしっかりとなされているとのことでした。
『偶像の黄昏』、『アンチキリスト』、『この人を見よ』をもっと深く知りたい方にはこの本は非常に役に立つと思います。これらの作品に込められた意味や制作の背景がくっきりと見えてきます。
また、ニーチェの問題作『権力への意志』についての詳細な解説もこの本の魅力の一つです。『権力への意志』がどのように成立したのか、そしてその問題点はどこにあるのかということが詳細に語られます。
なぜニーチェは難しいのか、人によって解釈が異なるのか 前回の記事では西尾幹二の『ニーチェ 第一部』をご紹介しましたが、今回はその本の中でも特に気になった箇所があったので皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 タイトルに…
私はこれまでドストエフスキーを学ぶ過程でヨーロッパの歴史や文化を「文学の観点」から見てきました。
ですがこの本では「音楽という観点」から当時のヨーロッパを知ることができました。
よくよく考えてみれば本来、文学も音楽も切り離されるものではなく、互いに関連し合って存在するものです。一九世紀半ばのヨーロッパがどのような世界だったのかを音楽という側面から眺めることができたのは非常に大きな体験でした。
音楽に興味がある人だけでなく、文学やヨーロッパそのものに興味がある方にもぜひおすすめしたい作品です。
この本ではマルクス、ドストエフスキー、ニーチェについても言及されます。
ワーグナーと思想、文学、哲学の関係についても著者はお話ししてくれますので、様々なジャンルがつながり非常に興味深いです。
ワーグナーの生涯や特徴だけでなく、西洋文化の歴史も知ることができるのでとても面白い本です。クラシック音楽に疎い私でしたが、とてもわかりやすくて夢中になって読むことができました。
中学高校と音楽の授業に大苦戦していた私でしたがこの本はあっという間に読み終えてしまいました。こういう本が教科書だったらもっと音楽が好きだったのにと思ってしまいました(笑)
ニーチェに関してはそれこそ無数の見解があることでしょう。それほど難解で多面的な顔を持つ存在です。
ニーチェと言えば難解過ぎてなかなか触れる機会もない存在だと思います。ですがそれにも関わらず様々な場所で顔を出してくる存在です。「なんかよくわからないがとにかくすごい人」というのが世の大体のイメージなのではないでしょうか。私もその一人でした。正直、ニーチェがいかなる存在かよくわからないのです。
今回の記事ではこれまで紹介してきた参考書の中から「ニーチェとは何なのか」ということについて書かれた4つの箇所を見ていきたいと思います。
萩原俊治氏は大阪府立大学の教授として勤められ2012年に名誉教授となられました。
また、現在も大阪府立大学の公開講座「ドストエフスキーを読む」を開講されています。
上のプロフィールにもありますが、私も萩原氏のブログのファンで、特に『カラマーゾフの兄弟』について書かれた記事に大きな感銘を受けました。ぜひおすすめしたいです。
この本は萩原氏の熱いメッセージで溢れています。この本は単にドストエフスキーを解説するだけでなく、ドストエフスキーを通して人生そのものを探究していく1冊です。とてもおすすめな作品です。ぜひ手に取って頂きたい1冊です。
この本の特徴は何と言っても、単なる伝記ではなく、「思考の伝記」であるという点にあります。ニーチェの生涯を辿りながらその思考のプロセスをこの本では見ていくことになります。
しかも難解な哲学者の代表とも言えるニーチェの思想を小難しい言葉をなるべく使わずに解説してくれる点もありがたいです。
この本はわかりやすくも、その本質をしっかりと押さえた参考書になっています。難解なものをわかりやすい言葉で説明するというのはある意味危険を伴います。簡単に表現することで本来のものからかけ離れてしまう危険があるのです。しかしこの本ではそうしたことにならないよう、著者は細心の注意を払っていることがうかがわれます。
「ニーチェとは何者なのか。」
これは永遠のテーマなのかもしれません。
読まれる時代、読む者それぞれの違いによって違った姿で現れてくるニーチェ。
この本ではそんな「多面体」というべきニーチェについて考えていく参考書となっています。
ニーチェの生涯や思想面についても簡潔にまとめられていますので、困った時の参考書としても非常に便利な1冊となっています。