読書

遺跡から「聖地」へ—グローバル化を生きる仏教聖地インドにおける仏教

前島訓子『遺跡から「聖地」へ—グローバル化を生きる仏教聖地』~ブッダの悟りの聖地ブッダガヤを巡る衝撃の事実とは

本書はインドの仏教聖地ブッダガヤの衝撃の事実を知れる作品です。

ブッダガヤといえばブッダが悟りを開いた地として世界的に有名な聖地です。

ですがこの聖地がずっと忘れ去られていて、最近発見されたものだとしたらどうでしょう。

正直、本書で書かれている内容は日本人にはかなりショッキングなものかもしれません。

この地で何が起きていたのかを知ることは決して無駄なことではないと思います。それが仏教徒である私にとっていかに不都合なものでも・・・

河童三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『河童』あらすじと感想~河童の国へ迷い込むとそこには?奇妙な異世界を通して近代日本を風刺した名作

芥川は「河童の世界」を通じて痛烈に日本のありさまを問うてきます。

ひとりひとり(一匹一匹?)の河童がなんと個性的でユーモラスなことか。そして、なんと不気味なことか・・・。

これが芥川龍之介の決死の抗議、人生最後の警告の意味も込めての作品だったかと思うとぞっとします。彼はこの作品の発表後一年も経たずして自殺してしまいます。

芥川龍之介の死から間もなく100年になります。ですが100年経っても芥川の作品は決して色あせません。文学の力は連綿と今を生きる私たちに受け継がれています。

地獄変・偸盗三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『地獄変』あらすじと感想~地獄絵の完成には地獄を見ねばならぬ…天才画家の狂気を描いた傑作!

この作品を読んでいると、まるでサスペンス映画を観ているかのような緊張感に自分が包まれていることを感じます。天才画家良秀が弟子を鎖で縛ったりミミズクをけしかけるくらいまではまだいいのです。「また始まったよ良秀の奇行が」くらいのものです。ですがそこから段々妙な予感が私達の中に生まれ、次第に不気味に思えてきます。「まさか、良秀がやろうとしていることって・・・」とついハラハラしてしまいます。この徐々に徐々に恐怖や不安を煽っていくスタイルは、ミステリーのお手本とも言うべき実に鮮やかなストーリーテリングです。さすが芥川龍之介です。

この作品には「完璧な絵を描き上げんとする狂気の画家を、言葉の芸術家が完全に描き切るのだ」という芥川の野心すら感じさせられます。

この作品が芥川文学の中でも傑作として評価されている理由がよくわかります。

羅生門・鼻三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『羅生門・鼻』あらすじと感想~大人になった今だからこそ読みたい!悪へと進むその決定的瞬間を捉えた名作!

ま~それにしても芥川の短編技術の見事なこと!羅生門を上り、夜の闇に現れる不気味な気配。そこに何がいるのかと大人になっても変わらず夢中になって読んでしまいます。まるで映画的な手法と言いますか、臨場感がとてつもないです。

この作品である一人の男が悪の道へと踏み出すその瞬間を決定的に捉えた芥川。その微妙な心理状態を絶妙にえぐり出したラストは絶品です。

『羅生門』は厳しい。厳しい厳しい世の有り様をこれでもかと見せつけます。悪の道へ踏み出すというのはどういうことなのか、まさにそこへと通じていきます。実に素晴らしい作品です。

また、この記事では芥川龍之介とロシア文学、特にゴーゴリとのつながりについてもお話ししていきます。

美女と野獣夢の国ディズニーランド研究

ディズニーの原作『美女と野獣』あらすじと感想~ディズニー版との違いはどこに?その違いから見るディズニー版の魅力とは

原作を読んでみることでディズニー版の『美女と野獣』の素晴らしさがもっともっと見えてくることになりました。

私たちはすでに出来上がった完成品の『美女と野獣』を観てきたわけですが、この作品が出来上がるまでには並々ならぬ苦労があったことでしょう。そのことに思いを馳せながら観る『美女と野獣』はきっとこれまでとは違った味わいが感じられるのではないでしょうか。私もいよいよこの作品が自分にとって大きな存在となっていることを感じています。

実に興味深い読書となりました。

ピーターパン夢の国ディズニーランド研究

J・M・バリ『ピーターパン』あらすじと感想~ディズニーの原作は想像以上に切なくて、バイオレンスな作品だった

私がこの『ピーター・パン』の原作を読もうと思ったのは何と言ってもディズニー映画の影響です。ウォルト・ディズニーは童話からアニメ映画を多数制作しています。そしてその映画化にあたり、ディズニーは大幅なアレンジを加えています。原作と映画の違いがわかればディズニーのオリジナル部分が見えてきます。

そして原作を読んでみるとそこで語られる彼の性格や物語に私は驚くことになりました。

まず、ピーター・パンの性格がとにかくどうしようもない!ディズニー映画でも彼は自由人過ぎますし抜けてる部分もありましたがまだ愛嬌があります。ですが原作のピーター・パンはもはや恐ろしさすら感じます。

ピノッキオの冒険夢の国ディズニーランド研究

『ピノキオ』の原作は残酷?ジミニーを殺すピノキオ…ディズニー映画の見事な改変について考えてみた

『白雪姫』でもそうでしたがやはり原作はバイオレンスで残酷です。

なんと、『ピノキオ』の原作ではあのジミニー・クリケットがピノキオに木槌で叩き殺されるという衝撃の展開が繰り広げられます。

その他にもディズニー映画とはまるで違うピノキオの世界が原作では描かれています。

ディズニーがいかにこのバイオレンスな世界を家族で安心して見られる映画に改変したのかは非常に興味深いです。

グリム童話 白雪姫夢の国ディズニーランド研究

グリム童話『白雪姫』あらすじと感想~ディズニーの原作!原作との違いからわかるディズニーの驚くべき改変とは

あのお妃は三度も白雪姫を殺そうとした?

死体愛の王子様?

今回ご紹介するグリム童話の『白雪姫』は私たちが想像する『白雪姫』に比べると明らかに暗く、ブラックな展開となっています。

このブラックな展開を知ることでディズニー映画がいかに物語を改変したかがよくわかります。

そしてこの改変にこそディズニーの特徴を知る鍵があります。この記事ではそのことについて考えていきます。

ディズニー伝説夢の国ディズニーランド研究

ボブ・トーマス『ディズニー伝説』~天才ウォルトを支えた実務家の兄ロイに注目した伝記!天才は支える人あってこそ!

本書の特徴は何と言ってもミッキーマウスの生みの親ウォルト・ディズニーの兄ロイ・ディズニーに焦点を当てている点にあります。

いくらウォルトの天才的な創造力があったとしても、それを実現する資金と環境を用意できなければ破滅しかありません。ウォルトの伝記でもそれは強調されていました。天才ウォルトは実務的なことが全く見えていません。彼が見ているのはその作品の究極のクオリティーだけなのです。無謀としか言いようのない計画をウォルトはいつもぶち上げます。普通なら絶対に無理なはずのその企画を実際に完成に導いた陰の功労者こそロイ・ディズニーというもう一人の天才なのでした。

天才も天才だけでは世に出てはいけない。支えてくれる実務家の存在も重要なのだということを感じさせられる一冊です。

ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯夢の国ディズニーランド研究

ボブ・トマス『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』~ディズニー社公認伝記!バイブルとしてのウォルター伝

本書はディズニー社公認のウォルト・ディズニー伝です。

1928年に『蒸気船ウィリー』でデビューしたミッキーマウス。本書はその生みの親ウォルト・ディズニーの規格外の生涯を知れるおすすめ伝記です。

ボブ・トマスの伝記は割とすっきり書かれ、さらにウォルトのよい面や功績がわかりやすく説かれるので入門書として読みやすい作品です。

ディズニーファンにぜひおすすめしたい一冊です。よりディズニーのことが好きになること間違いなしです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。