親鸞とドストエフスキー・世界文学

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(15)ホルバインの『墓の中の死せるキリスト』に衝撃を受けるドストエフスキー~『白痴』にも大きな影響を与えた名画とは

バーデン・バーデンでの地獄の5週間を過ごしたドストエフスキー夫妻はスイスのジュネーブへ向けて旅立ちました。

そしてその途中、バーゼルという街で二人は1泊しある絵を観に行くことになります。

それがハンス・ホルバイン作『墓の中の死せるキリスト」という絵でした。

この絵はドストエフスキーに強いショックを与え、彼の長編『白痴』にも大きな影響を与えることになります。
この記事ではそんなホルバインの絵とバーゼルの街におけるドストエフスキーをご紹介します。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(14)ドストエフスキーとアンナ夫人の結婚は運命だとしか思えない~なぜアンナ夫人は彼を愛し、守ろうとしたのか

ここまでこの旅行記に付き合って頂いた皆さんもそろそろ思い始めているかもしれません。

「それにしても、なぜアンナ夫人はこんなにもドストエフスキーを好きなのだろう。なぜこんなにひどい目にあっても逃げ出さないのだろう」と。

まさにその通り。私もこのバーデン・バーデンで改めてそう思わずにはいられませんでした。特に、最終夜にカジノを体験し、翌朝こうしてアンナ夫人が泣き暮らしたであろう家を最後に見た時には強く感じたものです。

しかしやはりこの二人の結婚は運命だったのだ。この記事では私がそう確信する理由をお話ししていきます。

名作の宝庫・シェイクスピア

山﨑努『俳優のノート』~リア王と向き合い続けた山﨑努さんの壮絶な演劇日記!作品への深い愛、ストイックさに驚愕!

私はシェイクスピアとの関わりからこの本を手に取りました。そしてこの本では『リア王』と真摯に向き合った山﨑さんの姿を知ることができました。

単に頭で考えて理論を組み立てるのではなく、生活すべてをかけて全身でリア王にぶつかる!そうして生まれてきた深い思索がこの本で語られます。これには驚くしかありません。シェイクスピアを学ぶ上でも非常にありがたい作品でした。

俳優という職業とはいかなるものなのか、そして俳優という一つの仕事の枠組みを超えてあらゆる職業におけるプロフェッショナリズムというものも考えさせられる作品です。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(13)バーデン・バーデンでドストエフスキーゆかりの地を巡る~カジノで有名な欧州屈指の保養地を歩く

この記事でぜひ皆さんに紹介したいものがあります。これは全世界に声を大にして伝えたいです!ここバーデン・バーデンに世界最高レベルの傑作彫刻があるのだと!

バーデン・バーデンでの日々はこの旅で最も強い衝撃を受けたものになりました。この旅のハイライトです!

ドストエフスキーが狂ったカジノ、山の中の散歩道、丘の上に立つドストエフスキーの彫刻、ぜひ皆さんにお薦めしたい記事となっています。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(12)バーデン・バーデンでの賭博者ドストエフスキーの狂気~ドストエフスキー夫妻の地獄の5週間

ドレスデンで妻を一人残し、ホンブルクへカジノへ出かけたドストエフスキー。そこから彼は賭博熱に完全に呑み込まれてしまった・・・

ドイツ西部の有名保養地バーデン・バーデンへと移った二人。ドストエフスキーはここのカジノで狂ったようにルーレットにのめり込む。

今回の記事ではそんなドストエフスキーの狂気とアンナ夫人の絶望の日々を見ていく。

名作の宝庫・シェイクスピア

細野晋司『PASSION 蜷川幸雄 舞台芸術の軌跡』~NINAGAWA舞台最前線の写真集

私がこの本を手に取ったのは蜷川さんの演出の代名詞である色彩豊かで派手な舞台演出を見てみたいからでありました。その色彩豊かな舞台と役者さんのエネルギー溢れる姿。それを映像だけでなく写真で見てみたい。「そこしかない完璧な一瞬」を切り取るのが写真の素晴らしさです。蜷川さんの色彩豊かでパワフルな舞台をプロが魂を込めて写真に収めたらどのようなものが出来上がるのか、これに興味があったのです。

そしてそれは大正解。この本は演劇というものをまた違った視点から見ることができました。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(11)妻を残しカジノの街ホンブルクへギャンブルに行くドストエフスキー~地獄への扉が開き始める・・・

ドレスデンでの平穏で幸福な日々を過ごしていた矢先、ついに悪魔の囁きがドストエフスキーをつつき始めます。

これから2人を苦しめ続けた、あのギャンブル中毒という恐ろしい悪魔がついに顔を出し始めたのです。「最悪のダメ人間」ドストエフスキーの始まりです。

ドストエフスキーは異国の街で妻を一人残しカジノに行ってしまったのでありました。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(10)ドストエフスキー夫妻のドレスデン滞在~『システィーナの聖母』や『アキスとガラテイア』などの名画を堪能

ドストエフスキー夫妻はベルリンに2日ほど滞在し、ほどなく次の街へ出発しました。彼らが目指したのはこの街の南に位置する古都ドレスデンです。

ここで夫妻は絵画や音楽を楽しみ暮らしました。

この記事ではそんな二人の様子と私の現地での体験をお話ししていきます。

『システィーナの聖母』や『アキスとガラテイア』という、ドストフスキー定番の絵以外のものも観れたので大満足でした。ドストエフスキーの絵の好みを知る上でも、様々な絵画を比べながら観ることができたドレスデン絵画館での体験はとてもありがたいものでありました。

名作の宝庫・シェイクスピア

とんぼの本『蜷川幸雄の仕事』~蜷川父娘の対談も魅力のおすすめ本!舞台写真も満載!

「とんぼの本」シリーズは写真やイラストが満載でガイドブックとして非常にありがたいです。本作『蜷川幸雄の仕事』もまさにその長所が生きた作品となっています。

『蜷川幸雄の仕事』というタイトル通り、この本では蜷川さんの仕事を多くの写真と共に見ていけるのでその流れがとてもわかりやすいです。

コンパクトにまとめられた「とんぼの本」シリーズのいいところがぎゅぎゅっと凝縮された素晴らしい一冊です。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(9)ドストエフスキー夫妻最初の滞在地ベルリンへ~初々しい2人のけんかと仲直りのエピソード

ドストエフスキー夫妻は4月14日、ペテルブルクを出発しヨーロッパへと向かいました。

そのルートはベルリン、ドレスデン、バーデン・バーデン、バーゼル、ジュネーブ、ミラノ、フィレンツェ、ボローニャ、ベネツィア、プラハ、ドレスデンというもの(※経由地は除きました)。

出発当初は3カ月ほどの予定だった彼らの旅はなんと4年にも及びました。

この記事はそんな彼らの最初の滞在地ベルリンについてお話ししていきます。