(33)マルクス『哲学の貧困』とプルードン批判について
プルードンはフランスで活躍した社会主義思想家です。ロシアの革命家バクーニンや、ゲルツェンなどともつながりがあった人物として知られています。
マルクス・エンゲルスも当初は彼の思想に感銘を受けていたのですが、例のごとく、彼らは仲違いし批判し合うことになります。
そしてマルクスが出版したのが『哲学の貧困』というプルードン批判の書だったのでした。
プルードンはフランスで活躍した社会主義思想家です。ロシアの革命家バクーニンや、ゲルツェンなどともつながりがあった人物として知られています。
マルクス・エンゲルスも当初は彼の思想に感銘を受けていたのですが、例のごとく、彼らは仲違いし批判し合うことになります。
そしてマルクスが出版したのが『哲学の貧困』というプルードン批判の書だったのでした。
マルクス・エンゲルスは武力革命も辞さなかったというイメージがありますが、1845年から48年段階では労働者がいきなり武力革命を起こすというやり方は認めていませんでした。
マルクス思想の参考書で「マルクスは武力革命に反対だった」という解説がなされるのは、ここに依拠しているのでしょうか。たしかにブルジョワ社会が成熟するまでは労働者による武力革命に反対していたかもしれませんが、彼らが生涯にわたってずっと武力革命に反対していたかは別問題です。この件も今後注意して伝記を読んでいかなければなりません
この記事ではマルクス・エンゲルスが共同で執筆した『ドイツ・イデオロギー』についてお話ししていきます。
上部構造、下部構造というよく聞く言葉もここから出ています。
そしてこの作品においてマルクス・エンゲルスは革命は歴史を変えるためには必要であると結論したのでした
また、マルクス・エンゲルスの思想を考える上で非常に重要なポイントが出てきます
1845年段階でマルクスとエンゲルスが構想した共産主義世界のユートピアがここで語られるのでありました
「ブルジョワの一語が罵り言葉にされ、彼らはそれをうんざりするほど繰り返すが、自分たち自身、頭のてっペんからつま先までブルジョワが染みついている」
このバクーニンの言葉ほどマルクス・エンゲルスの生活ぶりを的確に表したものはないのではないでしょうか。
これから先も彼らの生涯を見ていくことになりますが、実際にこの後も彼らはブルジョワ的な生活を決して捨てません。
こうした矛盾があるというのも、マルクス・エンゲルスを考える上では重要な点ではないかと思います。
エンゲルスに空想的社会主義者と呼ばれたロバート・オーエンですが、彼は明らかに他の二人(サン・シモン、フーリエ)とは異質な存在です。
結果的に彼の社会主義は失敗してしまいましたが、その理念や実際の活動は決して空想的なものではありませんでした。
後の記事で改めて紹介しますが彼の自伝では、彼がいかにして社会を変えようとしたかが語られます。19世紀のヨーロッパにおいてここまで労働者のことを考えて実際に動いていた経営者の存在に私は非常に驚かされました。
彼のニューラナークの工場は現在世界遺産にも登録されています。
若きエンゲルスは自身の矛盾と向き合わざるをえませんでした。
自身が激烈に攻撃していたブルジョワに自分自身がなっている。
マルクスにもその心情を吐露していますが、彼はこの後もずっとそうした矛盾を抱え続けることになります。
ですが後には開き直って堂々とブルジョワ的な行動をするようにもなります。マルクスもそうです。マルクスもブルジョワ的な生活に憧れ、実際にそうしたお金の使い方をしては金欠に苦しむという、矛盾をはらんだ生活をしていたのでした。
エンゲルスは1年間のベルリンでの兵役を終えた1842年、イギリスへ旅立ちました。
その旅の途中、ドイツの共産主義者モーゼス・ヘスから直接指導を受け、熱烈な共産主義者となったことまで前回の記事でお話ししました。
エンゲルスがなぜマンチェスターを訪れたかといいますと、彼の父が共同経営者となっている「エルメン&エンゲルス商会」がそこにあったからでした。彼の父は哲学にのめり込み急進的な言動を繰り返す息子を商人として鍛え直すために、エンゲルスをマンチェスターに送ったのでした。(もちろん、会社経営の面でも必要でしたが)
共産主義といえばマルクスを思い浮かべてしまう私たちですが、この思想自体はマルクスの独創ではありません。
マルクス・エンゲルスも無から偉大な思想を生み出したわけではありません。二人とも猛烈な勉強家です。彼らは過去の偉大な思想家や同時代の思想を学び、自身の思想を作り上げていきます。こうした彼らの思想背景を辿っていくのは非常に興味深いものがあります。
その代表例が今回ご紹介するドイツの思想家モーゼス・ヘスです。この記事は特におすすめの内容となっています。
空想的社会主義者とはエンゲルスによって1880年に出版された『空想から科学へ』の中で説かれた有名な言葉です。
エンゲルスはマルクス以前に社会主義思想を説いた有名な3人、サン・シモン、シャルル・フーリエ、ロバート・オウエンを「空想的社会主義者」と述べました。
そして彼らの「空想的」な理論に対して、マルクスの理論は「科学的」であると宣言します。
今回の記事ではまず、そのサン・シモンという人物についてお話ししていきます。
私はマルクス主義者ではありません。
ですが、マルクスを学ぶことは宗教や人間を学ぶ上で非常に重要な意味があると考えています。
なぜマルクス思想はこんなにも多くの人を惹きつけたのか。
マルクス思想はいかにして出来上がっていったのか。
そもそもマルクスとは何者なのか、どんな時代背景の下彼は生きていたのか。
そうしたことを学ぶのにこれから紹介する伝記は大きな助けになってくれます。