ルネサンス

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

A・エヴァリット『キケロ もうひとつのローマ史』~古代ローマの哲学者キケロのおすすめ伝記!

キケロは古代ローマの哲学者、弁論家として有名ですが、彼はあのカエサル(前100年頃~前44)とまさしく同じ時代を生きた政治家でもありました。

ローマ帝国と言えばカエサルというイメージが強い中、この本では主人公キケロを中心にローマ史を見ていきます。英雄の物語ではなく、ある意味敗者と言ってもいいキケロから見た古代ローマを見ていけるこの作品は非常に興味深いものがありました。

独裁を目指したカエサル。それに対し共和制を守り、立て直そうとしたキケロ。

この本はこの2人の立場の違いがはっきりとわかる名著です!

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

石鍋真澄『カラヴァッジョ ほんとうはどんな画家だったのか』~誤解された生涯やマタイ問題を問い直す名著!

この本の「カラヴァッジョに関しては、事実と推測や仮説とが節操なく語られているのが実情だ」という著者の指摘はドキッとするものがありました。と言いますのも、これまで私もいくつかカラヴァッジョについての本を読んできたからです。

案の定、この本では「え!?そうなの!?」という事実がどんどん出てきます。

この作品はカラヴァッジョの生涯や特徴を時代背景と共に見ていける貴重な作品です。とても刺激的で興味深い作品でした。カラヴァッジョや当時の時代背景を知りたい方に特におすすめしたい名著です。

イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

ジェイムズ治美『緋衣の女王』~悲劇的、あまりに悲劇的なスコットランド女王メアリの生涯を知れるおすすめ伝記

悲劇的、あまりに悲劇的!

この伝記を読んで私は思わず頭を抱えてしまいました。

こんなに悲劇的な人生があるだろうかと思わず涙が出そうになってしまいました。

この伝記で描かれるメアリ・ステュアートがあまりに魅力的で、こんな偉大な人物がどうしてここまで悲劇的な目に遭わなければならないのかと運命を恨みたくなります。

この伝記はぜひぜひおすすめしたいです。ジェイムズ治美さんの語り口も素晴らしく、あっという間に引き込まれてしまいました。この本を読めばイギリス・スコットランドの見え方が変わってくるほどです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

アンドレ・シャステル『ローマ劫掠 1527年、聖都の悲劇』~神聖ローマ帝国軍によりローマが破壊略奪された衝撃の事件とは

この本は石鍋真澄著『教皇たちのローマ』とセットでおすすめしたい作品です。

荘厳で圧倒的な美しさを誇るバチカンの信じられない歴史を目の当たりにすることになります。

私はこの本を読んでからのこの一か月弱、いまだにそのショック状態から抜け出せておりません。それほどの衝撃です。宗教だけでなく、人類の歴史としてこの出来事は非常に大きな意味を持っていると私は感じています。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

江村洋『カール五世 ハプスブルク栄光の日々』~スペイン最盛期の王カール五世の生涯と当時の西欧事情を知れるおすすめ作品

「この男をもって、ハプスブルク家は最盛期を迎える。若きスペイン王として君臨し、皇帝の冠を抱いたのちは、ヨーロッパだけでは飽きたらず、アフリカにまでその手を伸ばした戦いと栄光の日々。しかし、王家と自身の黄昏は、静かに忍び寄っていた―。ハプスブルク家が光に満ちた最後の姿を描いた傑作評伝」

この本はサッコ・ディ・ローマ事件について知りたかった私にとって非常にありがたい作品でした。中世ヨーロッパに君臨した巨大な王の生涯を知れる素晴らしい一冊です。

名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピア『ヘンリー八世』あらすじと感想~世継ぎを求め苦悩する王と側近たちの栄枯盛衰。エリザベス女王誕生までの物語

ヘンリー八世は1509年から死去する1547年までイングランド王として在位した実在の人物です。

そして男の世継ぎを生めなかったキャサリン妃との離婚問題からバチカンと対立しそのままイギリス国教会を設立したという、イギリスの歴史においても屈指の重大事件を巻き起こした人物でもあります。

今作『ヘンリー八世』ではそんな彼の離婚問題を中心に王の苦悩と側近たちの栄枯盛衰の物語が語られることになります。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

陶山昇平『ヘンリー八世 暴君かカリスマか』~王の離婚問題とイギリス国教会創設の流れを知れるおすすめ伝記

この本はものすごく面白いです。著者の語りも素晴らしく、歴史の流れがすっと入ってきます。ヘンリー八世という圧倒的カリスマの驚異の人生を私達は目撃することになります。

この本はシェイクスピアファンにも強くおすすめしたいです。この王の娘が後のエリザベス女王であり、その治世で活躍したのがシェイクスピアです。彼が生きた時代背景を知ればもっとシェイクスピア作品を楽しむことができます。時代背景を離れた芸術はありません。私にとってもこの伝記は非常にありがたいものとなりました。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

石鍋真澄『教皇たちのローマ』15~17世紀のローマ美術とバチカンの時代背景がつながる名著!1527年のローマ劫掠の衝撃!

私はこの本に衝撃を受けました。それは私の中にあった常識が覆されたかのような凄まじいショックでした。

なぜ私がそこまで強烈なインパクトを受けたのかと言いますと、この本に出てきた1527年のローマ掠奪(サッコ・ディ・ローマ)があまりにショッキングな内容だったからです。

この事件は1527年にローマが攻撃され、虐殺、略奪の限りが尽くされた恐るべき出来事です。

そしてそれを行ったのが何を隠そうカトリック王カール五世の神聖ローマ帝国軍でした。

この本ではそんな衝撃のローマ史が語られます

イタリアルネサンスと知の革命

エラスムス『痴愚神礼讃』あらすじと感想~ヒューマニズムの元祖、世界最初のベストセラー作家の風刺作品

この作品は真面目くさった神学者や哲学者を風刺して、人間とはいかなるものかをユーモアたっぷりに描いています。腐敗した聖職者への批判も書かれており、よくこの作品をカトリック教会が許してくれたなと読んだ瞬間思ったのですが、案の定この作品はカトリックの禁書目録に入ることになったようです。

巨大な出版業界がまだ存在していない段階にしてベストセラー作家として最高の地位にあったエラスムス。

その人気の源泉となった作品が『痴愚神礼讃』です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

イタリアルネサンスと知の革命

石鍋真澄『フィレンツェの世紀』~メディチ家やフィレンツェの政治状況と美術の流れを知れるおすすめ参考書

この作品はフィレンツェの芸術作品そのものよりもその作品が生み出された時代背景に注目していく点にその特徴があります。

フィレンツェには有名な建築や芸術作品がありすぎて何を見ればいいのか混乱してしまいます。ですがこの本ではそれを時代順に見ていくことになるので頭がすっきりします。歴史の流れとセットで作品の背景まで見えてくるのでこれまで本や映像で漠然と見ていたフィレンツェがまた違って見えてきます。

フィレンツェの歴史や魅力を知るのにこの本は非常におすすめです。