ロシア

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

マルクス・エンゲルス『聖家族』~青年ヘーゲル派とブルーノ・バウアーへの批判が書かれた2人の初めての共同作品

この作品はマルクスとエンゲルスの初めての共同作品になります。

マルクスとエンゲルスは1844年8月にパリで対面し、その時から生涯続く友情が始まっていきます。

元々、ブルーノ・バウアーとマルクス・エンゲルスはベルリンで「ドクトルクラブ」という知識人グループで一緒に活動していた仲間でした。

そんな元同窓であるマルクス・エンゲルスがブルーノ・バウアーとの決別の姿勢を示したのがこの作品になります。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

マルクス『ヘーゲル法哲学批判序説』概要と感想~「宗教はアヘン」はどのような意味なのか

私たちは「宗教はアヘン」と聞くと、何やら宗教が人々を狂わせるかのような意味で受け取りがちです。ですがそういうことを言わんがためにマルクスは「宗教はアヘン」と述べたわけではないのでした。

この記事ではそんな「宗教はアヘン」という言葉はなぜ語られたのかということを見ていきます。

「宗教はアヘン」という言葉は僧侶である私にとって非常に厳しいものがありました。なぜマルクスはそのように語ったのか、何を意図して語っていたのかを知れたことはとても大きな経験となりました。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

カーライル『過去と現在』あらすじと感想~『共産党宣言』に巨大な影響!マルクスの「現金勘定」はここから!

『「現金勘定」以外のどんなきずなをも残さなかった』

この強烈な言葉はマルクスが資本主義の仕組みを痛烈に批判した言葉としてよく知られていますが、実はこの言葉はすでにカーライルが『過去と現在』の中で述べていた言葉だったのです。

今回の記事ではその『過去と現在』からマルクス・エンゲルスに大きな影響を与えたであろう箇所を2つ紹介していきたいと思います。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

フォイエルバッハ『キリスト教の本質』~マルクスに強い影響を与えた作品!「人間が神を作った」と主張するフォイエルバッハ

フォイエルバッハはドイツの哲学者で、若きマルクスが強烈な影響を受けた哲学者として知られています。

「宗教はアヘン」というマルクスの有名な言葉はこのフォイエルバッハから着想を得ています。マルクスの唯物論の基礎を作った人物こそこのフォイエルバッハと言えるかもしれません。

本作の『キリスト教の本質』ですが、読んでいて驚くほど真っすぐにキリスト教を批判しています。それも単に教会への批判というよりも、もっと根源的に宗教そのものに切り込んでいく考察がなされています。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(69)レーニン・スターリンのマルクス主義について考える~マルクス・エンゲルスは有罪か?

さあ、いよいよ本書の総まとめに入ります。

著者は本書の冒頭で、近年世界中でマルクスの再評価が進んでいる一方、ソ連や中国などの共産国での恐怖政治の責任がエンゲルスに押し付けられているという風潮を指摘していました。

そうした風潮に対し、「エンゲルスは本当に有罪なのか?」ということを検証するべくこの本ではマルクス・エンゲルスの生涯や思想背景を追ってきたのでありました。

この記事ではそんなマルクス・エンゲルスに対する私の思いもお話ししていきます。

トルストイ復活ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『復活』あらすじと感想~カチューシャ物語としても有名なトルストイ晩年の大作

この作品は富裕な貴族ネフリュードフ侯爵と、かつて彼が恋して捨てた小間使いの女性カチューシャをめぐる物語です。

この作品はロシアだけでなく世界中で大反響を巻き起こし、トルストイの名を不朽のものにしました。

『復活』はとにかく宗教的で道徳的です。そして社会改良のための批判を徹底的に繰り返します。

そうした高潔な宗教的な信念が劇的な物語と絡み合いながら語られるところに『復活』の偉大さがあるように感じました。

ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『シェイクスピア論および演劇論』概要と感想~シェイクスピアを心底嫌ったトルストイ。その理由とは

この論文はシェイクスピア嫌いとして有名なトルストイがその理由を上下二段組で50ページほどかけて延々と述べていくという、ある意味驚異の作品となっています。

私はトルストイと反対にシェイクスピアが大好きですので、これは逆に気になる問題でもありました。「シェイクスピアの何が気に入らないんだろう。こんなに面白いのに」と思わずにはおれません。

この記事ではトルストイがなぜシェイクスピアを嫌うのかということをじっくりと見ていきます。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(68)1895年のエンゲルスの死と莫大な遺産について

エンゲルスの遺産はなんと400万ドル、現代の日本円で軽く4億円以上もあったようです。そこにさらに様々な形の資産もあったでしょうから総額で言えばとてつもないものがあったと思われます。そしてそれらのほとんどはマルクス一族に相続されることになりました。

またエンゲルスは本人の希望により死後海洋散骨されることになります。彼のお墓はこの世に存在しないのです。これには私も驚きました。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(67)大幅な改変も加えながらエンゲルスがなんとか完成させた『資本論』第3巻

マルクス亡き後、彼の思想を広めるために身を粉にして奮闘していたエンゲルス。

そのエンゲルスがマルクスの原稿に手を加え『資本論』第3巻は完成という形となりました。

ただ、はたしてこれがマルクスの作品、思想であると言えるのかは微妙なものなのではないでしょうか。

メモの集積をつなぎ合わせたものを果たしてその人の作品、思想と呼べるのか。

しかもそのメモ自体も、膨大な文献を読んでいたマルクスが無秩序に蓄えていたものにすぎません。思想として体系立ててそれが書かれていたかというと疑問が残るというのが正直なところです

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(66)『資本論』第2巻の編集に苦闘するエンゲルス

エンゲルスは『資本論』第1巻の時点ですでにマルクスの膨大な原稿を編集していました。マルクスが存命の時ですらこの作業に苦戦していたエンゲルスです。

マルクスの死後はどうだったのでしょうか。

その作業は想像を絶する苦難の道となったのでした。

解読困難な悪筆、支離滅裂な文章、無秩序な引用に満ちた膨大な原稿の山。

エンゲルスはこの編集作業によって眼を病んでしまうほどでした

この記事ではその詳しい顛末と『資本論』第2巻、3巻の問題点についてお話ししていきます。