冷戦

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

横手慎二『スターリン 「非道の独裁者」の実像』~スターリン入門におすすめの一冊

この本は単純にスターリンを大悪人として断罪するのではなく、なぜロシア人は今でもなお彼を評価するのだろうかという観点を軸にスターリンとは何者かを解説していきます。

スターリン入門として読みやすく、偏りのない記述ですのでこの本はおすすめです。

クドリャフツェフドストエフスキー論

クドリャフツェフ『革命か神か―ドストエフスキーの世界観―』ソ連的ドストエフスキー像を知るならこの1冊

この本は前回ご紹介した佐藤清郎著『観る者と求める者 ツルゲーネフとドストエフスキー』と共にものすごい本でした。ぜひ2冊セットで読むことをおすすめします。そうするとこの本の持つ意味がより深まると思います。

ソ連時代にドストエフスキーがいかにしてソ連化していったのかがとてもわかりやすいです。そしてドストエフスキーが非信仰者であるという論説がどのようにして生まれてきたのかも知ることができます。これはドストエフスキーとキリスト教を学びたいと思っていた私にとっては非常に興味深かったです。あまりに面白かったので夜寝る時間が大幅に遅れてしまったほどです。読んでいて途中で切り上げるなんて到底できなくなりました。それほどこの本はすごいです。

キューバキューバ編

社会主義と資本主義、そして宗教のつながり~ぼくがキューバを選んだ理由 キューバ編⑥

ここまで4本の記事にわたってキューバの歴史をお話ししてきましたが、みなさんの中には次のような疑問をお持ちになった方もおられるかもしれません。

「なぜいきなりキューバの歴史をここまで話し出したのだろう。いや、そもそもなぜキューバ?キューバと宗教って何か関係はあるの?」と。

たしかにキューバは宗教の聖地ではありません。

ですが、私にとっては宗教を学ぶ上で非常に重要な国がキューバだったのです。

今回の記事ではその「なぜ私が宗教の聖地でもないキューバを選んだのか」ということについてお話ししていきます。

ボスニアボスニア・クロアチア編

サラエボオリンピック競技場の墓地とヴレロボスネ自然公園と~平和の象徴が紛争犠牲者の墓地に… ボスニア編④

1984年の冬季オリンピックの会場がまさしくここサラエボ。

平和の祭典オリンピックが行われてから10年と経たない内に、この地は紛争へと突入していくことになってしまったのでした。

紛争中、サラエボ市内では多くの犠牲者を出すことになりました。そのためもともとあった墓地区画に遺体を埋葬しきれなくなるという事態に。

そこで急遽オリンピック競技場のサブグラウンドを墓地として利用することになったのでした。

平和の祭典の会場がそのまま紛争の犠牲者となった人たちのお墓となっている。こんな皮肉があっていいものなのだろうか。

私はなんともいたたまれない気持ちで目の前のお墓を呆然と見続けたのでした。