中国

中国の歴史06中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史06 絢爛たる世界帝国 隋唐時代』~遣唐使、仏教、円仁についても学べる一冊!

日本史でも馴染み深い隋唐ですが、実際のところはどんな政治状況だったのかということはこれまで私もほとんど知りませんでした。隋や唐が巨大な勢力を誇った世界帝国だったという漠然としたイメージ以外はあまりありませんでした。それこそ豪華絢爛な中国文化というイメージです。

ですがこの本ではこれら隋唐がどのような経緯で建国され、衰退していったかを詳しく見ていくことになります。そして何より、中国全土を統治するというとてつもない難事業をどのように行おうとしていたのかというのは非常に興味深かったです。

現代のような通信手段がない中でどうやって広大な国土を治めるのか。そのことについて改めて考えさせられるのがこの本です。

ブッダチャリタインドにおける仏教

『完訳 ブッダチャリタ』~アシュヴァゴーシャ(馬鳴)による『仏所行讃』としても知られる仏伝の大元!ブッダの生涯を叙事詩化!

今作『ブッダチャリタ』は1~2世紀頃にインドで活躍した仏教詩人アシュヴァゴーサ(馬鳴)による仏伝です。漢訳では曇無讖によって『仏所行讃』として翻訳されています。空海や最澄、鎌倉仏教の開祖たちもこの仏伝を読んでブッダの生涯を学んでいたのではないでしょうか。

現在語られるブッダの生涯の大元となったアシュヴァゴーシャの『ブッダチャリタ』。物語としても非常に面白い作品でした。

中国の歴史05中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史05 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝』~仏教興隆をもたらした梁武帝も登場!

これから先弾圧などの憂き目にも遭うことにはなりますが、中国仏教の発展に大きな影響を与えた時代が今作で説かれる魏晋南北朝時代になります。宗教は宗教だけにあらず。様々な社会要因も絡んで人々に伝わっていきます。

今作『中国の歴史05 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝』は時代背景と仏教のつながりについても知れるおすすめの一冊です。

ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

中国の歴史04中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史04 三国志の世界 後漢 三国時代』~『三国志演義』と史実との違いも知れるおすすめ参考書

三国時代は華々しい豪傑たちの舞台だけではなく、思想、文化面でも大きな意味を持つ時代でした。

この時代に中国に仏教が根付き、ゆくゆくは大きく花開いていくことになります。この本は仏教を学ぶ上でも非常に興味深い作品でした。そしてやはり三国志は面白いということを再確認した読書になりました。小説である『三国志演義』が面白いのはもちろんですが、史実そのものもやはりドラマチックで面白いということをこの本では知ることになります。

中国の歴史03中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史03 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国』~中国皇帝の誕生とその時代背景を学ぶのにおすすめ

前作『中国の歴史02 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国』では秦の始皇帝が生まれるまでの時代を見ていきましたが、今作ではいよいよ中国史の花舞台が始まってきます。

始皇帝が生まれた秦や、日本史ともつながりが出てくる漢や後漢の歴史をこの本で学んでいくことになります。

あの三国時代の前史となる時代背景を学べるのが本書です。中国全土を統一するのは誰か、そうした壮大な戦いがリアルな形となって生じたのはこの秦漢の存在があったからこそです。

また、中国において歴史がどのように編纂されてきたかということも学べるのも本書の嬉しいポイントです。始皇帝といえば「焚書坑儒」を行ったとよく言われますが、この言説の背景も知れるのもありがたかったです。

中国の歴史02中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史02 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国』~秦の始皇帝や孔子、諸子百家が生まれた時代を学ぶのにおすすめ

この本では秦の始皇帝が中国を統一するまでの時代を学ぶことができます。人気漫画『キングダム』で語られる世界はまさにこの時代がベースとなっています。

また、中国の思想や宗教を学ぶ上でもこの時代は孔子や諸子百家が出てきた重要な時期となります。思想や文化も時代背景を離れて存在しえません。当時の中国の大まかな歴史を学ぶのにこの本は最適です。

四大文明中国中国仏教と思想・歴史

『NHKスペシャル 四大文明 中国』~黄河は自然破壊から生まれた?遥かなる中国文明の概要を学ぶのにおすすめ

私がこの本を読んだのは以前古代インドを学ぶ際に読んだ『NHKスペシャル 四大文明 インダス』がきっかけでした。

この本がとにかく面白かったので、いざこれから中国史を学ぶにあたり、ぜひ今回もこのシリーズから始めようと私はこの本を手に取ったのでありました。

そしてそれは大当たり!この本も期待に違わぬとても面白い一冊でした。

この本では古代の黄河流域が緑豊かな土地だったという衝撃的な話から始まります。今の荒漠とした中国は森林伐採から始まったのでした。

〈文化〉としてのインド仏教史インドにおける仏教

奈良康明『〈文化〉としてのインド仏教史』~葬式仏教批判に悩む僧侶にぜひおすすめしたい名著!

この本は「僧侶としてのあり方に悩む方」にぜひおすすめしたい作品です。

文献に書かれた教義だけが仏教なのではなく、そこに生きる人々と共に歩んできたのが仏教なのだというのがよくわかります。私自身、この本にたくさんの勇気をもらいました。仏教は現代においても必ずや生きる力に繋がるのだということを私は感じています。

僧侶以外の方でも、仏教における儀礼の意味に興味のある方には多くの発見がある作品です。

ぜひぜひおすすめしたい名著です。著者の信念が伝わってくる素晴らしい一冊でした。

大乗仏教のアジアインドにおける仏教

『シリーズ大乗仏教 第十巻 大乗仏教のアジア』~インド仏教も葬式仏教的な遺骨崇拝や納骨、供養を行っていた

今作はヒンドゥー教やイスラーム、中国文化とのつながりから大乗仏教を見ていくというユニークな論集となっています。

そしてこの本の中で次のような指摘がなされます。

「大雑把な言い方をすれば、葬式仏教的な要素がインド以来、現実の仏教の場で強く働いていたことが知られる。従来しばしば、インドの本来の仏教は生者のためによりよい生き方を教えるもので、死者のためのものではないと主張され、日本の葬式仏教を否定するような言説がなされてきたが、それはまったく実態にそぐわないことが、明白に示されたのである。」

このようなショペンの刺激的な論文を読むことができるおすすめの参考書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

大乗の仏の淵源インドにおける仏教

新田智通「大乗の仏の淵源」~ブッダの神話化はなかった!?中村元の歴史的ブッダ観への批判とは。『シリーズ大乗仏教 第五巻 仏と浄土—大乗仏典Ⅱ』より

今作では浄土経典について説かれるということで浄土真宗僧侶である私にとって非常に興味深いものがありました。

特に第二章の新田智通氏による「大乗の仏の淵源」は衝撃的な内容でした。これは仏教を学ぶ全ての人に読んで頂きたい論文です。

「シリーズ大乗仏教」は2010年代初頭当時における最新の研究が反映されています。かつては主流だった仏教理解が今や通用しなくなっているということを肌で感じた作品でした。

新田智通氏の衝撃的な論文が収録された『シリーズ大乗仏教 第五巻 仏と浄土—大乗仏典Ⅱ』は仏教を学ぶ全ての方におすすめしたいとてつもない一冊です。このシリーズの中でも圧倒的に印象に残った作品です。