ルネサンス

名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピア『ヘンリー八世』あらすじと感想~世継ぎを求め苦悩する王と側近たちの栄枯盛衰。エリザベス女王誕生までの物語

ヘンリー八世は1509年から死去する1547年までイングランド王として在位した実在の人物です。

そして男の世継ぎを生めなかったキャサリン妃との離婚問題からバチカンと対立しそのままイギリス国教会を設立したという、イギリスの歴史においても屈指の重大事件を巻き起こした人物でもあります。

今作『ヘンリー八世』ではそんな彼の離婚問題を中心に王の苦悩と側近たちの栄枯盛衰の物語が語られることになります。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

陶山昇平『ヘンリー八世 暴君かカリスマか』~王の離婚問題とイギリス国教会創設の流れを知れるおすすめ伝記

この本はものすごく面白いです。著者の語りも素晴らしく、歴史の流れがすっと入ってきます。ヘンリー八世という圧倒的カリスマの驚異の人生を私達は目撃することになります。

この本はシェイクスピアファンにも強くおすすめしたいです。この王の娘が後のエリザベス女王であり、その治世で活躍したのがシェイクスピアです。彼が生きた時代背景を知ればもっとシェイクスピア作品を楽しむことができます。時代背景を離れた芸術はありません。私にとってもこの伝記は非常にありがたいものとなりました。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

石鍋真澄『教皇たちのローマ』15~17世紀のローマ美術とバチカンの時代背景がつながる名著!1527年のローマ劫掠の衝撃!

私はこの本に衝撃を受けました。それは私の中にあった常識が覆されたかのような凄まじいショックでした。

なぜ私がそこまで強烈なインパクトを受けたのかと言いますと、この本に出てきた1527年のローマ掠奪(サッコ・ディ・ローマ)があまりにショッキングな内容だったからです。

この事件は1527年にローマが攻撃され、虐殺、略奪の限りが尽くされた恐るべき出来事です。

そしてそれを行ったのが何を隠そうカトリック王カール五世の神聖ローマ帝国軍でした。

この本ではそんな衝撃のローマ史が語られます

イタリアルネサンスと知の革命

エラスムス『痴愚神礼讃』あらすじと感想~ヒューマニズムの元祖、世界最初のベストセラー作家の風刺作品

この作品は真面目くさった神学者や哲学者を風刺して、人間とはいかなるものかをユーモアたっぷりに描いています。腐敗した聖職者への批判も書かれており、よくこの作品をカトリック教会が許してくれたなと読んだ瞬間思ったのですが、案の定この作品はカトリックの禁書目録に入ることになったようです。

巨大な出版業界がまだ存在していない段階にしてベストセラー作家として最高の地位にあったエラスムス。

その人気の源泉となった作品が『痴愚神礼讃』です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

イタリアルネサンスと知の革命

石鍋真澄『フィレンツェの世紀』~メディチ家やフィレンツェの政治状況と美術の流れを知れるおすすめ参考書

この作品はフィレンツェの芸術作品そのものよりもその作品が生み出された時代背景に注目していく点にその特徴があります。

フィレンツェには有名な建築や芸術作品がありすぎて何を見ればいいのか混乱してしまいます。ですがこの本ではそれを時代順に見ていくことになるので頭がすっきりします。歴史の流れとセットで作品の背景まで見えてくるのでこれまで本や映像で漠然と見ていたフィレンツェがまた違って見えてきます。

フィレンツェの歴史や魅力を知るのにこの本は非常におすすめです。

イタリアルネサンスと知の革命

松田隆美『煉獄と地獄 ヨーロッパ中世文学と一般信徒の死生観』~ダンテ『神曲』の参考書としてもおすすめ!

この本ではなぜ煉獄が生まれてきたのかということを時代背景からとてもわかりやすく解説してくれます。

やはり思想というのは何もないところからぽんと生まれてくるものではありません。必要とされる時代背景があるからこそ生まれてくるのだということをこの本では感じることができます。

煉獄が生まれてきたのは12世紀頃とこの本では語られます。

そしてダンテが『神曲』を書いたのが14世紀初頭ということで200年ほどのスパンがあります。

この本を読めばダンテが何を参考にして作品を作り上げていったのかがわかるおすすめの参考書です

イタリアルネサンスと知の革命

ダンテ『神曲 天国篇』あらすじと感想~「天国・浄土の生活はつまらない」問題について考えてみた

ダンテの『神曲』は中世の人々の死生観を考える上でものすごく興味深い作品でありました。

この記事では「天国・お浄土はつまらない」問題について考えていきます。

『地獄篇』『煉獄篇』『天国篇』と続けて読んできましたが日本の地獄と浄土と比べながら読むのもとても刺激的なものになると思います。ぜひ仏教とセットで読んで頂けましたら幸いでございます。

イタリアルネサンスと知の革命

ダンテ『神曲 煉獄篇』あらすじと感想~煉獄はいつから説かれるようになったのか。中世ヨーロッパの死生観とは

前作『地獄篇』で案内人ウェルギリウスと共に地獄を巡ったダンテは、今作で煉獄という場所を巡ることになります。 煉獄は天国でも地獄でもなく、いわばその中間にある場所です。天国へ入る前に身を清めるための場として煉獄はあったのでした。 この記事では作品の流れと、その煉獄とはいかなるものかについてお話ししていきます。

イタリアルネサンスと知の革命

ダンテ『神曲 地獄篇』あらすじと感想~仏教の地獄との比較も面白いイタリア文学最高の古典

『神曲』といえば誰もがその名を知る古典。ですがこの作品がいつ書かれて、それを書いたダンテという人がどのような人物だったのかというのは意外とわからないですよね。

この記事ではダンテはどんな時代に生き、どのような背景の下この作品を書いたのか、また、この作品で描かれる地獄の最下層がなんと氷漬けのキンキンの世界だったことに衝撃を受けた私の感想をお話ししていきます。仏教の地獄と対比して読んでいくと非常に興味深い作品です。

イタリアルネサンスと知の革命

ボッカッチョ『デカメロン』あらすじと感想~ペスト禍を舞台にしたルネサンス文学の傑作ーダンテ、ペトラルカとのつながりも

ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョはイタリアルネサンス文芸の三巨星と呼ばれる存在です。

この三人の生涯や思想のつながりを考えながら読んでいくとものすごく面白いです。かつて漠然と読んでいた『デカメロン』が全く違う作品のように感じられました。

現在も続くコロナ禍ではありますが、この作品もペストという悲惨な疫病が広まった世界が舞台となっています。そういった意味でもこの作品は注目されることになるかもしれません。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。