ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

P・ゴーレイヴィッチ『ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実』~信じられない惨劇がアフリカで起きていた・・・

まずはじめに申し上げます。この本はあまりに衝撃的で、私は心底参ってしまいました・・・

ボスニア紛争やスレブレニツァの虐殺を学ぶ流れで手に取ったこの本でしたが、あまりの悲惨さに言葉を失ってしまいました・・・

たった数か月足らずで少数民族であるツチ族80万人が虐殺されたのです。

しかもその虐殺の方法があまりに残虐でした。銃による殺害ではなく、上の解説にもありますように山刀(マチェーテ)で切り刻むという、極めて原始的な方法での殺害でした。

この本ではそんな悲惨な虐殺がなぜ起こったのか、そしてどのような経緯で行われていったのかが語られます。読んでいて本当に心が痛みます・・・というより、具合が悪くなってきます。それほどショッキングで恐ろしい事実が語られます。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

長有紀枝編著『スレブレニツァ・ジェノサイド 25年目の教訓と課題』~ジェノサイドを様々な視点から考える1冊

この本は前回紹介した長有紀枝著『スレブレニツァ―あるジェノサイドをめぐる考察―』の続編と言ってもいい作品です 25年という年月によって事件発覚当時では掴みきれなかった全容がようやく少しずつ明らかになって来ており、様々な角度から検証や研究が進んできています。この本はそんな長期にわたる研究の成果が詰まった1冊となっています

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

長有紀枝『スレブレニツァ―あるジェノサイドをめぐる考察』~スレブレニツァの虐殺を学ぶのにおすすめ

この本はスレブレニツァの虐殺について学ぶのに最適の1冊です。内容も、初心者にもわかりやすくありながらもかなり詳しいところまで伝えてくれるので非常に勉強になります。読みやすさも抜群ですのでぜひおすすめしたい1冊です。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

FAMA『サラエボ旅行案内 史上初の戦場都市ガイド』~ユーモアたっぷりに語られるボスニア紛争下の生活とは

あらゆるインフラが破壊され、水や食料も不足し、いつ狙撃されるかもわからない生活。死が日常となった世界でサラエボ市民はいかにして生き延びていたのだろうか。

この本はそのことを明らかにしていきます。

そして、この本で最も特徴的なのは「ユーモア」を強調しているという点です。悲惨な生活の中でユーモアがどんな意味を持っていたのか、そのことをこの本では強調しています。

当時の人々は何を食べ、どんな生活をしていたのか。普通なら絶望に沈んでしまうであろう中、ユーモアたっぷりに彼らの生活が語られていきます。

サラエボ市民がいかに過酷な生活をしていたかがものすごく伝わってくるのですが、このユーモアのおかげで不思議と重苦しさを感じません。

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J・ハリロビッチ『ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992-1995』~子供達から見たボスニア紛争とは

この本は幼少期にボスニア紛争を経験したヤスミンコ・ハリロビッチがSNSを通して集めた声をまとめた作品です。本の前半部分ではボスニア紛争、サラエボ包囲戦の概要が簡潔に解説され、そこから実際に紛争を体験した人たちの声を聴くことになります。この本も衝撃的です。

この本は普通の歴史書や参考書とはかなり異なった趣で書かれています。

ですが、紛争の恐ろしさをストレートに感じられるという点で非常に際立ったものとなっています。

ぜひ、この本はおすすめしたいです。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

高木徹『ドキュメント 戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』~メディアの絶大なる影響力!知られざる紛争の裏側とは

書名からして刺激的なこの一冊ですが、その内容もかなり強烈です。

「情報を制する国が勝つ」とはどういうことか―。世界中に衝撃を与え、セルビア非難に向かわせた「民族浄化」報道は、実はアメリカの凄腕PRマンの情報操作によるものだった。国際世論をつくり、誘導する情報戦の実態をこの本では知ることができます。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

梅原季哉『戦火のサラエボ100年史「民族浄化」もう一つの真実』~ボスニア紛争の流れを知るのにおすすめ!

この本は1992年から始まったボスニア紛争の流れを知るのにおすすめな作品です。 ボスニア紛争はあまりに複雑な背景の下起こった悲劇でした。 その複雑な背景を知るにはボスニアの歴史、ユーゴスラビアの歴史を知ることが不可欠です。 この本はそんなボスニア史を含めて、大きな視点で紛争の背景を見ていくのが特徴です。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

ボスニア紛争を学ぶためのおすすめ参考書15作品をご紹介

この記事ではボスニア紛争、スレブレニツァの虐殺を学ぶためのおすすめ参考書を紹介していきます。途中からはルワンダ、ソマリアで起きた虐殺の本もありますが、これらもボスニア紛争とほぼ同時期に起きた虐殺です。 長有紀枝著『スレブレニツァ―あるジェノサイドをめぐる考察―』にルワンダ、ソマリアの虐殺のことが述べられていました。この三者は紛争や虐殺が起こった背景や、それを防ぐことができなかった国際機関のメカニズムが非常に似ています。ボスニア紛争、スレブレニツァの虐殺の理解を深めるためにもこれはぜひ重要と感じ、ここで紹介させて頂くことにしました。

これからしばらくは重い内容が続く更新になりますが、ここで改めて人間とは何か、なぜ虐殺は起こってしまうのかということを考えていきたいと思います。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

柴宜弘『ユーゴスラヴィア現代史 新版』~ボスニア内戦の流れと全体像を知るのにおすすめ

この本は1990年代に深刻な分裂、内戦が起きたユーゴスラヴィアの歴史を解説した作品です。

私は2019年にボスニア・ヘルツェゴビナを訪れています。その時の経験は今でも忘れられません。

今回『ユーゴスラヴィア現代史』が改版され大幅に加筆されるということで、この機会に改めてボスニア紛争について考えてみようとこの本を手に取ったのでした。

この本を読んでいると、ユーゴスラヴィアという国家がいかに複雑な原理で成り立っていたかがよくわかります。

この本はボスニアだけでなく、ユーゴスラヴィア全体からその歴史を考えていくことができるので非常にありがたい作品です。