道教

儒教とは何か中国仏教と思想・歴史

加地伸行『儒教とは何か』~死と深く結びついた宗教としての儒教とは。中国人の宗教観を学ぶのにおすすめの解説書

この本はタイトル通り、儒教とは何かを見ていく作品です。儒教といえば宗教というより倫理道徳と見られがちですが、著者によれば儒教こそまさに中国人の宗教に大きな影響を与えたと述べます。

儒教は死と深く結びついており、儀礼、倫理道徳だけで収まるものではないことをこの本で知ることになります。

加地伸行氏の著作については前回の記事で紹介した『孔子』もとてもおすすめです。孔子がどのような人物でどのような人物だったかがわかる素晴らしい伝記です。本作とセットで読めば相乗効果抜群です。ぜひ二冊セットでおすすめしたいです。

孔子中国仏教と思想・歴史

加地伸行『孔子 時を越えて新しく』~儒教の成り立ちや時代背景も詳しく知れるおすすめ伝記!

この本はとにかく面白いです!

この本では孔子を神のように崇め奉るのではなく、あくまで「人間」孔子を探究していきます。徒に孔子を神格化し聖人君子のように描くのではなく、時代背景から丁寧にその生涯を追っていきます。なぜ孔子が世に現われ、彼の教えが中国に広まっていったのかがよくわかります。

この伝記ではまさに孔子その人だけでなく、彼の生きた時代も見ていくことになります。孔子が何を望み、何に苦しんだかを学べるのは非常に刺激的です。著者の語りも素晴らしく、ものすごく読みやすいです。

信仰の現代中国中国仏教と思想・歴史

イアン・ジョンソン『信仰の現代中国』~共産党政権下における宗教生活の実態に迫る!信仰とは何かを問うノンフィクション!

この本は宗教を禁じていた共産党中国において、今宗教はどのような状況になっているかを追っていく作品です。

現在の中国の宗教事情を知れたのは非常に興味深いものがありました。

ただ、本書でも述べられていたのですが、近年共産党当局が厳しい統制をかけているため今後どうなるかはわからないというのは非常に恐ろしく感じました。

この本は私達の知らない中国を目の当たりにすることになります。著者が実際に長期の密着取材をしたからこその情報が満載です。現代中国の宗教事情を知るのにこの本は非常におすすめです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

中国の思想中国仏教と思想・歴史

村山吉廣『中国の思想』~中国宗教の時代背景と全体像を掴むのにおすすめの参考書!

私がこの本を読んだのは以前当ブログで紹介した菊地章太著『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』がきっかけでした。その本の中で本書が次のように紹介されていたのです。

「村山吉廣氏の『中国の思想』という本は、興味がある方にはおすすめの一冊。中国思想史を簡潔にまとめた本だが、ときどき身も蓋もないが書いてあってワクワクする。たとえば開口一番こんな惑じだ。

「中国の古典や思想に関心を抱いている人は多いけれども、そういう人の持っている知識はおおむね。不正確であり、時として大いに間違っている」

いきなり目のまえの人をたたっ斬るようで痛快ですね」

実際この本を読んでみるとまさに切れ味抜群の刺激的な一冊でした。

中国人の宗教中国仏教と思想・歴史

松本浩一『中国人の宗教・道教とは何か』~道教の入門書としておすすめ!写真、資料も多数

道教は中国人の生活にあまりに深く根付いています。そして興味深いことに、儒教と仏教とも混じり合って今も信仰されているとのこと。これは日本人の宗教のありかたとも似ていますよね。

道教は日本人にとってはなかなかイメージしにくいものではありますが、この本では写真や資料も多数掲載されていますので視覚的にも優しい作りになっています。

解説も初学者でもわかりやすく読めるよう配慮されているのも嬉しいです。

道教の入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。

儒教仏教道教中国仏教と思想・歴史

菊地章太『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』~中国の宗教は何なのかを知るためのおすすめ入門書

著者によればこの本は入門書としての位置づけではありますが、この本で説かれることはものすごく濃いです。

この本では儒教、仏教、道教それぞれの教えや特徴を見ていきながらそれらがどのように絡み合っているかを見ていきます。

さらには「そもそも宗教とは何なのか」という直球ど真ん中の問題にもこの本では切り込んでいきます。これは面白いです!

私達の隣人である中国。その隣人の宗教は一体何なのか。意外とこれがわからない。そんな疑問をずっと持ち続けていた私にとってこの本は非常に刺激的で興味深いものがありました。

遊牧民から見た世界史中国仏教と思想・歴史

杉山正明『遊牧民から見た世界史』~私達の先入観を粉砕する刺激的な一冊!歴史を多角的に見る視野を得るために

この本では私たちが漠然と想像する遊牧民のイメージを根底から覆す作品です。また、単に遊牧民という存在だけにとどまらず私たちの歴史認識そのものを問う恐るべき作品となっています。

そして本記事のタイトルに「先入観を粉砕」と書きましたがまさにその通り。少なくとも私は思いっきり粉砕されました。

これまで様々なジャンルを読んできて、なるべく色んな視点から物事を見ていこうと意識していたにも関わらずこの様です。この事実にものすごく恥じ入ってしまいました。

この本を読めばきっと私と同じ思いになる方も多いのではないでしょうか。いやあ痛快な一冊でした。

ビジュアル大図鑑中国の歴史中国仏教と思想・歴史

『ビジュアル大図鑑 中国の歴史』~写真や図版多数のおすすめ資料集!見て学ぶ中国史!

この本は中国史を学ぶ上で非常に参考になると作品です。何と言っても圧倒的なボリュームの図版が最大の魅力です。しかもオールカラー!中国の歴史と文化をビジュアルで学べるありがたい作品です。中学高校時代にあった資料集のような存在ですね。

この本は素晴らしい写真が満載です。中国の壮大さ、文明の洗練さに度肝を抜かれること請け合いです。

中国の歴史07中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史07 中国思想と宗教の本流』~印刷術がもたらした知の革命や仏教・儒教への影響を知るのにもおすすめ!

宋といえば私の中で平清盛の日宋貿易のイメージしかなかったのですがこの本を読んで驚きました。隋や唐と比べて印象が薄い宋ではありますが、中国文化が圧倒的に洗練されたものになったのはこの時代だったのでした。
本書ではそんな宋の歴史とともにその文化面も詳しく見ていくことができます。写真も豊富ですのでその見事な陶磁器の姿も見ることができます。視覚的にイメージできるのでこれはありがたいです。

そして私が最も驚いたのは印刷術の発明によってもたらされた革命的な変化です。「本を読む」という行為が決定的に変容したその瞬間が非常に興味深かったです。

中国の歴史06中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史06 絢爛たる世界帝国 隋唐時代』~遣唐使、仏教、円仁についても学べる一冊!

日本史でも馴染み深い隋唐ですが、実際のところはどんな政治状況だったのかということはこれまで私もほとんど知りませんでした。隋や唐が巨大な勢力を誇った世界帝国だったという漠然としたイメージ以外はあまりありませんでした。それこそ豪華絢爛な中国文化というイメージです。

ですがこの本ではこれら隋唐がどのような経緯で建国され、衰退していったかを詳しく見ていくことになります。そして何より、中国全土を統治するというとてつもない難事業をどのように行おうとしていたのかというのは非常に興味深かったです。

現代のような通信手段がない中でどうやって広大な国土を治めるのか。そのことについて改めて考えさせられるのがこの本です。