資本主義

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』~唯物論的歴史観誕生の書として知られる未刊の1冊

『ドイツ・イデオロギー』は彼らの存命中には出版されず、1932年になって初めて日の目を見た作品でした。
この本を読んだことで彼らの思想を理解できたかといいますと、正直厳しいものがあります。

ですが、その厳しさを体感できたことが今回の収穫だったように思えます。マルクス・エンゲルスの難解さのひとつが「そもそも文意・文脈がつかめないという欠陥」によるものだということを知れたこと、そして原稿のすさまじさも見ることができたのはありがたかったです。

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マルサス『人口論』概要と感想~リカード、マルクスにも大きな影響を与えたマルサスの人口論とは

リカードの作品を読んだ後だとマルサスの文章は非常に優しく感じられます。想像していたよりもはるかに読みやすくまとめられている本だなというのが私の感想でした。

有名な「マルサスの法則」の出典を読むことができたのは私にとってもありがたい経験となりました。こうした経済学の作品をマルクスやエンゲルスは必死になって勉強していたんだなと思うと私も身が引き締まる思いになりました。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

リカードウ『経済学および課税の原理』アダム・スミスの後継者~マルクスに大きな影響!

当たり前のことではありますが、マルクスも無から『資本論』をはじめとした経済理論を生み出したわけではありません。マルクスは鬼のような勉強家です。マルクスはこうしてアダム・スミスやリカードウの著作を読み耽り、自らの説を構築していったのでありました。

そうしたマルクスの側面を知る上でもこの本を読めたのは大きな意味があったなと思います。

私自身はこの本が難しすぎて完全にお手上げでしたがウルリケ・ヘルマンの解説によってこの本の大きな意味を知ることができました。

この本は解説と一緒に読むことをお勧めします。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

アダム・スミス『国富論』概要と感想~「見えざる手」で有名な古典経済論。資本主義の暴走はこの本のせい?

この本が書かれたのはマルクスが『資本論』を書くおよそ90年前です。マルクスは当然アダム・スミスの著作も読んでいました。

マルクスといえば資本における独自な理論や「剰余価値」などの有名な言葉を生み出したというイメージがありましたが、それらは彼が突然「歴史上誰も考えたこともない新説」を思いついたわけではなく、こうした経済学の歴史の流れで彼が到達した考えなのだなということを知ることができました。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

堂目卓生『アダム・スミス』概要と感想~「見えざる手」の誤解を解くおすすめ参考書

この作品はスコットランドの経済学者アダム・スミスの『道徳感情論』と『国富論』についての参考書です。

アダム・スミスといえば「神の見えざる手」で有名です。

しかしこの「見えざる手」が通俗的な理解では誤解されているというのがこの本で学ぶことができる最大のメリットです。

アダム・スミスが『国富論』で本当に言いたかったのは何だったのか。それをこの本でじっくりと見ていくことになります。

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マルクス・エンゲルス『聖家族』~青年ヘーゲル派とブルーノ・バウアーへの批判が書かれた2人の初めての共同作品

この作品はマルクスとエンゲルスの初めての共同作品になります。

マルクスとエンゲルスは1844年8月にパリで対面し、その時から生涯続く友情が始まっていきます。

元々、ブルーノ・バウアーとマルクス・エンゲルスはベルリンで「ドクトルクラブ」という知識人グループで一緒に活動していた仲間でした。

そんな元同窓であるマルクス・エンゲルスがブルーノ・バウアーとの決別の姿勢を示したのがこの作品になります。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

マルクス『ヘーゲル法哲学批判序説』概要と感想~「宗教はアヘン」はどのような意味なのか

私たちは「宗教はアヘン」と聞くと、何やら宗教が人々を狂わせるかのような意味で受け取りがちです。ですがそういうことを言わんがためにマルクスは「宗教はアヘン」と述べたわけではないのでした。

この記事ではそんな「宗教はアヘン」という言葉はなぜ語られたのかということを見ていきます。

「宗教はアヘン」という言葉は僧侶である私にとって非常に厳しいものがありました。なぜマルクスはそのように語ったのか、何を意図して語っていたのかを知れたことはとても大きな経験となりました。

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エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』~『共産党宣言』『資本論』に大きな影響を与えた若きエンゲルスの代表作

エンゲルスはドイツの綿工場経営者の御曹司として生れました。

その商人修行の一環としてエンゲルスは1843年からイギリス、マンチェスターで過ごすことになります。

父の経営するマンチェスターの工場で見習いをしながら、そこに暮らす労働者たちの地獄のような生活を目の当たりにします。

そこでの経験をまとめ、労働者の実態と資本家たちの横暴を告発したものが本書、『イギリスにおける労働者階級の状態』になります。

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カーライル『過去と現在』あらすじと感想~『共産党宣言』に巨大な影響!マルクスの「現金勘定」はここから!

『「現金勘定」以外のどんなきずなをも残さなかった』

この強烈な言葉はマルクスが資本主義の仕組みを痛烈に批判した言葉としてよく知られていますが、実はこの言葉はすでにカーライルが『過去と現在』の中で述べていた言葉だったのです。

今回の記事ではその『過去と現在』からマルクス・エンゲルスに大きな影響を与えたであろう箇所を2つ紹介していきたいと思います。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

フォイエルバッハ『キリスト教の本質』~マルクスに強い影響を与えた作品!「人間が神を作った」と主張するフォイエルバッハ

フォイエルバッハはドイツの哲学者で、若きマルクスが強烈な影響を受けた哲学者として知られています。

「宗教はアヘン」というマルクスの有名な言葉はこのフォイエルバッハから着想を得ています。マルクスの唯物論の基礎を作った人物こそこのフォイエルバッハと言えるかもしれません。

本作の『キリスト教の本質』ですが、読んでいて驚くほど真っすぐにキリスト教を批判しています。それも単に教会への批判というよりも、もっと根源的に宗教そのものに切り込んでいく考察がなされています。