資本主義

ボヌール・デ・ダム百貨店ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』あらすじと感想~欲望と大量消費社会の秘密~デパートの起源を知るためにも

この作品はフランス文学者鹿島茂氏の『 デパートを発明した夫婦』 で参考にされている物語です。

ゾラは現場での取材を重要視した作家で、この小説の執筆に際しても実際にボン・マルシェやルーブルなどのデパートに出掛け長期取材をしていたそうです。

この本を読むことは私たちが生きる現代社会の成り立ちを知る手助けになります。

もはや街の顔であり、私たちが日常的にお世話になっているデパートや大型ショッピングセンターの起源がここにあります。

非常におすすめな作品です。

ごった煮ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『ごった煮』あらすじと感想~ブルジョワの偽善を暴く痛快作!貴婦人ぶっても一皮むけば…

この作品は『ボヌール・デ・ダム百貨店』の物語が始まる前の前史を描いています。

主人公のオクターヴ・ムーレは美男子で女性にモテるプレイボーイです。そして彼がやってきたアパートでは多くのブルジョワが住んでいてその奥様方と関係を持ち始めます。

そうした関係はもちろん危険な火遊びで、彼は何度も痛い目に遭います。

ですがそうした女性関係を通してオクターヴは女性を学び、大型商店を営むというかねてからの野望に突き進もうとしていきます。

ナナブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラの代表作『ナナ』あらすじと感想~舞台女優の華やかな世界の裏側と上流階級の実態を暴露!

ゾラの代表作『ナナ』。フランス帝政の腐敗ぶり、当時の演劇界やメディア業界の舞台裏、娼婦たちの生活など華やかで淫蕩に満ちた世界をゾラはこの小説で描いています。

欲望を「食べ物」に絶妙に象徴して描いた作品が『パリの胃袋』であるとするならば、『ナナ』はど直球で性的な欲望を描いた作品と言うことができるでしょう。

ゾラ得意の映画的な描写も健在で、読みやすいことこの上なしです。

世界文学屈指の名作に数えられる『ナナ』。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

獲物の分け前ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

ゾラ『獲物の分け前』あらすじと感想~土地投機に熱狂する1850年代パリ。金と権力を求める人間劇!

『獲物の分け前』は「金と権力」に飢えたルーゴン家の3男アリスティッドがパリ大改造という獲物を嗅ぎ付け、分け前を俺にも寄こせとパリで奮闘する物語です。

「金」、「投機熱」、「贅沢」、「色欲」・・・

これでもかと人間の欲望を描き出すゾラ。

金を求める貪欲な人間の姿や男女の欲望を知れる恐るべき作品です。ぜひぜひおすすめしたいです!

鹿島茂フランス文学と歴史・文化

鹿島茂『デパートを発明した夫婦』~デパートはここから始まった!フランス第二帝政期と「ボン・マルシェ」

私たちの生活に深く根ざしているデパート。当たり前のように私たちはデパートと共に生活していますが、このデパートがいつどこで生まれたのか、皆さんはご存知でしょうか。

実はそれがこのフランス第二帝政期のパリだったのです。

デパートの誕生は世界の商業スタイルを一変させることになりました。
私たちが普段何気なく買い物しているこの世界の成り立ちがビシッとこの一冊に凝縮されています。この本はものすごい本です。社会科の教科書にしてほしいくらいです。非常におすすめです。

水晶宮物語フランス文学と歴史・文化

松村昌家『水晶宮物語 ロンドン万国博覧会1851』~世界初の万国博覧会とドストエフスキーのつながり

ロンドン万博は世界で初めて開かれた万国博覧会で、1851年にその歴史は始まりました。

その頃ドストエフスキーはというと、シベリアのオムスク監獄で流刑生活を送っていました。

ドストエフスキーは1862年に初のヨーロッパ旅行に出かけています。そしてその時にロンドンを訪れており、第一回ロンドン万博後も残されていたこの水晶宮も見たと言われています。

この記事では松村昌家著『水晶宮物語 ロンドン万国博覧会1851』を参考にお話を進めていきます。

ナポレオンフランス文学と歴史・文化

ナポレオン三世とフランス第二帝政の特徴6つをざっくりと解説!現代社会を形作ったユニークな改革とは

ナポレオン三世はあのナポレオン・ボナパルトの血を引き、フランス二月革命後の政治混乱に乗じて1851年にクーデターを実行、そして1852年からフランス皇帝となった人物です。

この記事では鹿島茂氏の『怪帝ナポレオンⅢ世―第二帝政全史』を参考に、後期ドストエフスキー時代に大きな影響を与えたフランス第二帝政についてざっくりとお話ししていきます。

キューバキューバ編

「インバウンド頼みのキューバの現状と格差、教育問題」日本も他人事ではない! キューバ編⑫

「キューバにはいいところも悪い所もあります。いいところは教育と医療システムのすばらしさです。私もハバナ大学を6年、日本留学も1年しました。すべてタダです。誰にでも学ぶチャンスがあることはすばらしいことです。ですが現在のキューバには深刻な問題があります。経済と観光の問題です。」

現地ガイドはこう切り出し、私にキューバの厳しい現状を語ってくれました。観光業によって経済を成り立たせようとするあまり国の基盤が崩れかかっている恐ろしい現実をこの記事ではお話ししていきます。そしてこれは日本も全く他人事でありません。私はガイドの話を聞き戦慄を覚えたのでありました。

キューバキューバ編

サンタクララ市街地と装甲列車襲撃記念碑~チェ・ゲバラゆかりの地、サンタクララ⑵ キューバ編⑧

チェ・ゲバラの霊廟でお参りをした後、次に私が向かったのはサンタクララ中心部。

サンタクララ市街地に到着すると、年季が入ったカラフルな建物にキューバらしさを感じます。

街の中をぶらぶらしながら近くにある装甲列車襲撃記念碑に歩いて向かいます。キューバ革命においてここサンタクララでの勝利が革命軍の勝利を決定的なものにしました。そのきっかけとなった戦闘がまさにここで行われたということで私はここにやって来たのでした。

キューバキューバ編

サンタクララのチェ・ゲバラの霊廟とドン・キホーテの意外な関係 キューバ編⑦

サンタクララはチェ・ゲバラと切っても切れない関係のある街。

キューバの歴史を学ぶ中で知ることになったチェ・ゲバラの存在。

理想を追い求めた革命の戦士。 世界で最も尊敬される革命家。

どうして彼はこんなにも世界中の人を惹き付けるのでしょうか。

彼のことを調べているうちに、私はあることを知ることになりました。

チェ・ゲバラの愛読書が『ドン・キホーテ』であり、彼はドン・キホーテの生き様に大きな影響を受けていたという事実だったのです。

この記事ではそんなゲバラと『ドン・キホーテ』の関係とゲバラのお墓参りをした私の体験をお話ししていきます。