フランス

ロシアの文豪ツルゲーネフ

スラブ派・西欧派とは?ドストエフスキーとツルゲーネフの立場の違い―これがわかればロシア文学もすっきり!

ドストエフスキーやツルゲーネフ、トルストイの作品や解説を読んでいてよく出てくるのがタイトルにもあるスラブ派・西欧派という言葉。

当時のロシア文学は純粋な娯楽や芸術としてだけではなく、国や人間のあり方について激論を交わす場として存在していました。

彼らにとっては文学とは自分の生き方、そして世の中のあり方を問う人生を賭けた勝負の場だったのです。

その尋常ではない熱量、覚悟が今なお世界中でロシア文学が愛されている理由の一つなのではないかと私は考えています。

ロシアの文豪ツルゲーネフ

ロシアの文豪ツルゲーネフの生涯と代表作を紹介―『あいびき』や『初恋』『父と子』の作者ツルゲーネフの人間像

ドストエフスキーのライバル、ツルゲーネフ。彼を知ることでドストエフスキーが何に対して批判していたのか、彼がどのようなことに怒り、ロシアについてどのように考えていたかがよりはっきりしてくると思われます。

また、ツルゲーネフの文学は芸術作品として世界中で非常に高い評価を得ています。

文学としての芸術とは何か、そしてそれを補ってやまないドストエフスキーの思想力とは何かというのもツルゲーネフを読むことで見えてくるのではないかと感じています。

芸術家ツルゲーネフの凄みをこれから見ていくことになりそうです。

石の客ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキン『ペスト流行時の酒もり』あらすじと感想~疫病の極限状態でロシア人は何を思うのかをプーシキン流に問うた名作

ひとつ前の記事で紹介しました『石の客』でもそうでしたが、この作品でもプーシキンは従来の作品とは異なる視点でこの物語を書き換えます。

ページ数にして20ページにも満たないコンパクトな作品ながらこの作品に込められた主題はあまりに根源的です。プーシキンはたった20ページ弱の物語でそれを見事なまでに凝縮し、芸術にまで高めました。

短いながらも強烈なインパクトを残す作品でした。苦悩や絶望、死に対して私はどんな向き合い方をするのかということを考えさせられた作品でした。

凄まじい名作です

石の客ロシアの偉大な作家プーシキン・ゴーゴリ

プーシキン『石の客』あらすじと感想~プレイボーイの代名詞「ドン・ファン」をロシア流に翻案した名作悲劇

プーシキンは既成のドン・ファン像をそのまま採用することはしませんでした。

彼の描くドン・ファンはたしかにプレイボーイではあるのですが、スペインやイタリア、フランスのように女をもてあそんでは捨てるというような軽薄な男ではありません。

ドストエフスキーがプーシキンを高く評価するのも、こうした彼の独特な世界の見方とそれをロシア人の心に響くものにまで磨き上げた点にあるのでした。

プーシキンは読めば読むほどその革新性や後代に与えた影響力の大きさを感じさせられます。

この作品もとても面白い作品でした。非常におすすめです。

ブログ筆者イチオシの作家エミール・ゾラ

Yahoo!ニュース「百貨店はついに「大閉店時代」に突入、東京商工リサーチが解説」を読んで

ゾラの『ボヌール・デ・ダム百貨店』と鹿島茂氏の『デパートを発明した夫婦』を読めば百貨店の誕生の過程やその繁栄の秘密をかなり詳しく知ることができます。

私は経済学者でもビジネスの専門家でもありませんのでこうしたことを言うのは僭越なこととは思いますが、文学、思想、社会という視点から百貨店を見ていくのも非常に興味深いことなのではないかと思います。

ニュースを見て改めてゾラの視点というのは現代にも必ず生きてくると感じた今日この頃でありました。

神野正史ロシアの歴史・文化とドストエフスキー

神野正史『世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こった』なぜ日露戦争は勃発したのか―ウラジオストクとシベリア鉄道との関係

この本ではまず眠れる獅子清国がいかに繁栄しいかにして衰退していったのかが書かれ、それに伴い朝鮮や日本がどのように動いていったのかが描かれます。

その時日本はまさに幕末。外国勢力の圧力が否が応にも増し、開国か攘夷かで揺れていた時期です。

この頃の日本の混乱や、その当時の中国、朝鮮、ヨーロッパ情勢が神野先生によってわかりやすく解説されます。かなり意外な発見もありとても楽しく読むことができます。

神野先生のお話を聞くと、つくづく「世界は複雑極まりなく、単純なものなどひとつもない」と思わされます。

神野正史イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

神野正史『世界史劇場 天才ビスマルクの策謀』普仏戦争とエミール・ゾラ、ドストエフスキーへの影響を考えるのにおすすめ!

普通に生活していてはなかなか知ることができない戦争の真の姿や、なぜ戦争が起こるのか、なぜ平和は実現しないのかということを神野先生は国際関係の歴史から丁寧に解説してくれます。

この本を読めば世界に対するものの見方が変わってくると思います。

そして同時に、日本人たる私たちが今世界でどのような状況に置かれているのかも考えさせられることになります。

この本では日露戦争のことも言及されていて、遠いヨーロッパの出来事がいかに日本にも強力な影響を与えていたかが一目瞭然でした。

二都物語イギリスの文豪ディケンズ

ディケンズ屈指の人気作『二都物語』あらすじと感想~フランス革命期のロンドンとパリを描く!

この作品は展開が早く、またそれぞれの登場人物もキャラが際立っていて読みやすいです。

解説でも、

「『二都物語』は、そうした〝ダーク〟ディケンズ全開の一篇で、二十を超える作品のなかでも傑出したエンターテインメントだ。二作しかない歴史物のひとつだが、『クリスマス・キャロル』とともにもっともよく知られ、小説として世界歴代トップクラスのべストセラーでもある。」と紹介されている名作です

スピリディオンフランス文学と歴史・文化

ジョルジュ・サンド『スピリディオン』あらすじと感想~『カラマーゾフの兄弟』に決定的影響!?サンドの修道院小説

ドストエフスキーに大きな影響を与えたジョルジュ・サンド。そのサンドの作品をもう少し読んでみたいと思い、本を探していると驚くべきフレーズが私の目の前に飛び込んできました。本の帯に大きくこう書かれていたのです。

「ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に決定的に影響を与えた作品」

え!?

私は自分の目を疑いました。これには驚きでした。

というわけで私は早速この本を読んでみることにしたのですが、驚きの内容がどんどん出てきました。この記事ではそれらをまとめています。

ジャンヌフランス文学と歴史・文化

ジョルジュ・サンド『ジャンヌ』あらすじと感想~高潔な少女を描いた傑作小説!ドストエフスキーも絶賛!

ジョルジュ・サンドは「私の方は、こうあって欲しいと私が望むように、こうあるべきだと私が信じるように描こうとしたのです」という姿勢で作品を書いています。

ここがジョルジュ・サンドが理想主義的な小説家と言われる所以であります。ここにバルザックやゾラのように「あるがまま」の人間の姿を描く作家との違いを見て取ることができます。